五十二話目
禁止令がでて闘人ギルドの会長が工房に来た時、ギルドからの圧力があることはわかりきっていた。
そうなるとギルド関連の邪魔も入ることはもう明白だ。
こうなるととにかく、店を作り商業活動を早く始めないとこちらの資金も底をつくだろう。
だもんで、すべての行動の邪魔をしている禁止令を早く解かないと始まらいと。
エルト達職人が必死で働いている間、こっちだって遊んで過ごして居た訳ではない。
正直にいえば国からの禁止令は本当に誤算だったんだよ。お陰で一切の素材確保もできなかったしね。
んなもんでこちらとしても皆が働いている間に、色々動いておこうかと。
鬼「もう少し材料の在庫が欲しかったんだけれどな。
禁止令無視して犯罪者ってのは流石に外聞が悪いよな」
ア「で、お前自身はこれから何をする気だ?まさか、遊んで暮らす、という訳でもあるまい?」
鬼「その遊んで暮らすのを邪魔している禁止令を何とかするにはどうすればいいと思う?」
ア「……国を壊すか」
鬼「お前の発想はいちいちおっかねぇんだよ!んな事で国壊したら人間界が破滅すんぞ!」
ア「国を壊すの方に言及しない辺り、お前自身も大概だな」
鬼「まぁ、その辺は置いといてだ。…さて、やっと着いたか」
まず初めに来たのは国立図書館。アクアビス国内の公にできる情報はここに集められている。
図書館とはいうものの、中の情報は書物ではなくソウルマシンによる閲覧が殆どだ。
書物や書類は地下の環境が安定してるところでの保管がなされている。
ここにあるのは大量の映像を映すためのマシンがあるのみだ。検索方法は音声入力でいいらしい。
これだけのソウルマシンを維持するのにどれだけの資材が使われてるか。
ちっとは人魔エリアには使ってやれよ。
鬼「さてさて、ではまずは…国内の生産用資源の価格をここ数年単位で出してもらおうか」
ア「こんな情報どうするんだ?」
鬼「まぁまぁ…なるほど、こら酷いもんだなぁ」
ア「何がだ?」
鬼「これを見なさいよ。この国の生産に必要な資材と名の付く物が大体値段が上がっている。
二割三割は普通、酷いのになると四割も上がってやがる。
こんだけ上がると販売価格もかなり上がってるわな~」
ア「そうなると資材の調達方法を選びたいところだろうな」
鬼「人間界の資源が相当減っているってのはこらマジだな。
魔族界への資源獲得の期待は段々高まっている。そうなると闘人への資材確保の依頼は増えていくな」
ア「だが、国としても一度出した物は引っ込める事も出来まい。メンツや立場もあろうしな」
鬼「その辺をどうにかするのには今の状況はありがたい。
そうだな…次は商会ギルドに所属している商会の序列も知りたいなと」
画面上にはいくつもの商会の名前が表示されていく。
何を販売しているか、販売店の住所、所属している職人の数、雇っている人間等々。
各商会の細かい情報が色々と載っている。中にはどういう取引があるのかを少し載せている所もある。
取引相手の情報も検索してみるとどれも高位の戦団や契約者だ。
鬼「こういう相手と取引できる程自分の所はすごいですよって自慢てとこか」
ア「だが、そんなのを載せているのはどこも序列の上位ばかり。
これでは中々新規や中堅がこういうデカい所に勝つのは大変だろう」
鬼「例のリアムの工房は…これか。鋼の人?工房の名前か…変な名前。
なんだ、工房の責任者の名前かと思ったら自由なんだ」
ア「それで、こんな情報調べて何に使うんだ?」
鬼「そうだねぇ…使えそうなのは…これかな?序列5位の炎練工房、責任者は…
ホルロス・ケイン。場所はと…」
場所を調べた後も他にも面白い情報がないかと色々調べ物に時間を費やす。
ここで調べられる情報は頼めば紙に出してくれるサービスもあるらしい。
いくつかの資料をプリントしてもらい、図書館を出て目的地へと歩を進める。
炎錬工房は序列5位というだけあって街の中心部にある。
全くエルトの所はあんな人魔エリアの中でも外れなのにだ。
まぁ、最初からあそこにあるんだから仕方がないといえば仕方ないか。
ア「それで、序列5位の炎錬工房とかに何の用があるんだ?」
鬼「禁止令を解くための一つの策にならないかなぁと思ってね」
ア「ギルドの中の一工房にか?そんな事が本当にできると?」
鬼「世界の常識ではギルド、国家、教会は各々独立していてお互い不干渉が基本だ」
ア「そうだが、それが?」
鬼「だがこの三つが世界を形作っている以上、いくらかの関りはある。
組織としてはそうでももっと小さい単位では?戦団、一工房、商会、個人。
それらは解けて絡み合っているはず。なんとか頑張れば行けるんでないかなぁ」
ア「それは分かったが質問に答えてはおらんが?」
鬼「さっきの取引先一覧あったろ?流石に5位位になるとここに乗る名前も大きいみたいよ。
その中にこの名前があったのよ」
ア「ああ、これか。しかし、別段おかしい事でもあるまい?」
鬼「それだけならね。プラスこちらの情報も見ておくれ」
ア「これか…いや、まぁ気にはなるがこれ使えるのか?関連があるかどうかも分からんのだろ?」
鬼「聞くだけ聞いてみようや。後はこちらの出す条件がが魅力的であれば向こうから何か言ってくるって」
ア「なんともはや確証の無い考えだな…」
アレイスは結構愚痴ってはいるが正直こっちだって自信満々て訳でもないんだ。
ただ、この手が使えないとなると…後の手もまた考えないといかんと。
素人の浅知恵だが何とか考え通りいってほしいんだがな。




