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四十八話目

アゴン族との戦闘はそれはそれは激しいものだったんだが…

人間界には全く関係のない話で、こちらは平穏そのものだ。

家の中には誰もおらず、全員工房の方にいるみたいだな。一応顔だけでも見せておこうか。

工房扉を開けると思った通り、全員中で必死に作業中だ。

扉を開けるとエルトがこっちに駆け寄ってきた。


エ「キリュウ!意外と早かったね。で、どうだったの?」

鬼「問題なし。きちんと片づけた」

エ「特に問題なし?えっと、あっちの問題の方は?」

鬼「そっちの方もクリアだ。それで、こっちの作業状況は?どの程度進んでる?」

エ「以前狩った三体の方はほぼ終わってる。アブルートの方は中々大変だよ。

強度が凄いから加工が大変でね」

鬼「どの程度まで進んでる?」

エ「剣が数本、槍にバトルアックス、棍棒が各一本ずつ。

防具は全身鎧が三領、後はそれぞれの部位の防具がいくつかだけど…」

鬼「それじゃあ、武器と防具いくつか借りてくわ」

エ「借りる?いや、何するの?」

鬼「色々理由はあるんだけど、一番でかい理由は舐めんなよって当たりかな」

エ「いやいや、意味全く分かんないんだけど!?」

鬼「いいからいいから。じゃあ借りてくね~。大丈夫、無くしたりしないから」


倉庫にある荷車を引っ張り出して武器を数点、鎧を一領。

いくつかの部位に分かれている防具も借りていくか。

これだけあればかなり注目は集めれるかな。


鬼「よしよし、こんだけできてるんなら上出来だ」

ア「これだけの装備品、お前どうするんだ?」

鬼「報酬。これがないと今からやる事が出来ないからな」

ア「少しは私にも話せ。何が何やら分からんぞ」

鬼「先に手続きを済ませたからな。それをしてからの方が分かりやすいだろ」




ア「手続き?ここでか?」

鬼「来るのは久しぶりだな~。さて行きますか」



エルトの家を出て真っ先に向かったのが闘人ギルド。

ここでは国に所属しない自由な立場の契約者がここに集まる。

ギルドに所属し、依頼をこなし、対価を得る。

つまり、ここには国仕えは嫌だが魔族と戦うことを選んだ契約者がごろごろいる。

さて、手続きに行きますか。闘人ギルドの建物に入り、受付を済ませよう。



鬼「悪いんだけど仕事の依頼をしたいんだけど」

受「はい、ではこの用紙に依頼内容と場所、そして報酬をお書きください」

鬼「ヘイヘイと………これでいいかな?」

受「はい、では確認を……は?何ですかこれは?」

鬼「何が?どこか問題あるの?」

受「いや、意味が全く分からないんですけど?」

鬼「意味は分からなくていいよ。それで依頼はこれで通るの?通らないの?」

受「…では少々お待ちください。上の者に確認してまいります」

鬼「そう、キリュウね。初めまして、今後ともよろしく。それでさ、場所なんだけど…」




その日の闘人ギルドの依頼書が張られる掲示板にはおかしな依頼書が張られていた。

ここに張られる依頼書はほとんど魔族を狩ってほしいという類の物ばかりだ。

時折違法契約者相手の依頼もあるが、そこら辺は基本守備隊や騎士団の仕事だ。

あまりここに来るようなものは本来ならない。

しかし、今日ここに張られている依頼書は今までの依頼とはかなり異なる内容になっている。



依頼者・キリュウ・

依頼内容・キリュウを倒して報酬を貰おう!

詳細・さて、闘人ギルドに所属している契約者諸君!

今回の仕事内容はいたって簡単な内容になっている。

今国中の噂になっている素手で戦う無契約者ことキリュウ。

自分と戦い、見事勝てれば!豪華賞品をあげようじゃないか!

報酬品の詳細は参加者のみ知らせる事とします。

ヒントとしましては最近自分が討伐した魔族は何なのかという点です。

参加者に関しまして制限は設けておりません。皆様奮ってご参加ください!

報酬・秘密!

依頼場所・闘人ギルド三番訓練所



闘人ギルドが結成されて以来、様々な依頼が来たがこれだけふざけた類は無かった。

依頼書が張られる掲示板の前は人だかりができていた。

ふざけた無いように憤慨する者、報酬に興味を示す者、そもそも意に介さないもの。

それこそ十人十色である。建物内はこのいかれた依頼の話が一気に広まり注目の噂第一位だ。

ただ、この依頼を見かけた職員の一人がギルド長の元に詰め寄った。


職「ギルド長、なんですかあの依頼書は!?あんなものは前代未聞ですよ!?

どこの世界に自分で自分の討伐依頼を出す馬鹿が要るんですか!?」

オ「初めて出たんだから前代未聞は当たり前だろ。

それにどこにも自分の討伐依頼を出してはいけないと決めている法はないぞ?

ここはあくまでも依頼の斡旋を請け負うだけであって中身をとやかく言う物ではない」

職「それはそうですが…しかし!」

オ「まぁ、別にいいではないか。誰かが迷惑をしているでもないしな」

職「…分かりました。ギルド長がそう言われるのであれば。失礼いたします」



職員達の困惑も確かに分かる。ギルドが出来て以来こんなふざけた内容の依頼など聞いたことがない。

だが、それを面白いと私は考えている。これまでギルドの誘い、教会の誘い、国の誘い。

それらすべてを断り彼は黙って自分一人での行動を貫き通してきた。

それが初めて周りの環境というものを使い始めようとした。これはとてもいい兆候だと思うのだ。

恐らく国の禁止令を受けて個人ではどうにもならないと判断したのだろう。

何らかの目的があると思うのだが…真意は分からない。この騒ぎが終わればそれもわかる事だろう。

それが分かればあれの力を利用できる算段もつくかもしれん。

さて、あれは一体何を考えているのやら…

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