四十三話目
国からビックリ情報を聞いて意気消沈して家に帰ればそこにはこれまたビックリな客人が二人もいた。
片方は守衛団ザカリー隊所属のスカイアという隊員だ。
もう片方はフードに隠れて誰かは分からなかったが…
これが今まで以上のビックリ!アゴン族ユリウス村村長の娘、カミラだ。
人間界に妖族がいるんだ。他の人間にばれれば相当な問題になりそうだが…
しかし、カミラの口から出た言葉はそれ以上の事態だという感じだ。
鬼「カミラ、何があったんだ?」
カ「魔族が…群れで村に襲ってきたの」
ア「群れでだと?…それは単一の種族がという意味か?」
カ「違うの!種族はバラバラなの。魔格も全然違う。下は4くらいから最高は6位」
ア「さて、魔族にそんな統率の取れる行動ができるのか…」
鬼「そんな事ありえるのか?」
ス「過去にもそういった例はあります。
ただ、魔族の生態や魔族界の環境に関しては研究が進んでいません。
ですので原因は分かっていませんが…」
鬼「……何故自分に要請が来たんだ?子供のお前がわざわざ人間界に来るという危険まで冒して。
近くに同族は居ないのか?」
カ「一番近くの村まで移動に優れた獣装でも一週間はかかるの。
そこから戦士を集めて救援に来るまでどれだけの時間がかかるか。
そんな時間はないの!ここなら往復でもそこまで時間はかからないから…
それにキリュウなら村の仲間も信用しているから」
ア「しかし、そんな大役を子供のお前に任せるか?」
カ「…いくらなんでも子供の私をいきなり殺すようなことはないと考えたの。
大人の戦士が行くと警戒されると思って…」
鬼「それは…そうなのか?スカイア」
ス「それは大きいと思いますよ。流石に隊長も困惑していましたから」
ア「しかし、大丈夫なのか?子供とはいえ妖族をこっち側に入れたのがばれるとヤバいのでは?」
ス「…間違いなく隊の責任は問われるでしょう。こんな重大な事を一隊長の独断で決めたんですから」
鬼「おいおいおい、いいのか?そんな危ない事してさ?」
ス「ん~…良いかどうかと言われれば駄目なんでしょうね。ただ…」
鬼「ただ?」
ス「…必死に泣きながら助けてほしいと懇願する子供。
必死に魔族界を走り抜けてきたんでしょう。彼女の身なりは傷だらけでした。
これに拒否を突きつけて武器を構えるのが正しい騎士団と言われるのなら…僕達は騎士団失格でしょうね」
ア「確かに国防という意味なら駄目だろうな」
鬼「でも…感謝しているよ。この子をここまで隠して連れてきてくれて。ありがとう」
ス「全くですよ。折角守衛団に入れてというのに…これで首にでもなったら責任とってくださいよ」
鬼「そんときゃ、この工房で隊ごと雇うさ」
ア「しかし、隊長見直したぞ。団員失格でも漢じゃないか」
鬼「さて、助けに行くのは当然として…」
カ「本当!?来てくれるの!?」
ア「しかしだ…問題がな」
鬼「ああ、あれだよな」
カ「何?何があるの?」
鬼「今国家命令で魔族界には入れないんだわな」
ス「ああ、そういえばそんな噂が…」
カ「そんな…一体どうすれば…」
鬼「とりあえず、門の所に行きますか。隊長と相談しなきゃな」
門の所には隊長以下隊員が雁首そろえて立ってやがる」
向こうも流石に警戒してやがんな。
カミラの持ってきた話を隊長に隠すことなくすべてを話した。
ザ「そうか、一族の危機か」
鬼「でだ、隊長に選んでほしい訳。自分を通すか、それとも職務を全うするか」
ザ「……職務を全うする場合、お前をどうする?」
鬼「押しとおる。問答無用でだ。多少手荒い方法なるけどもね」
ザ「ふぅ…何処の世界に守衛団を脅す人間がいるのだ?そんな事をすれば!お前犯罪者になるのだぞ!?」
鬼「いいから退いてくれ。この子の一族には世話になっているんだ。
みすみす魔族に殺されるのを黙っているつもりはない」
ザ「何故、そこまで妖族に味方をするのだ?
お前ほどの力があれば間違いなく成功できるのだぞ?」
鬼「…お願いだ。行かしてくれ。これ以上時間をかけるつもりはない。職務を全うするというのなら…」
鎧を展開、戦闘準備を整えて向こうの出方を待つ。
このまま戦闘かと覚悟をしたんだが…
おかしいな、なんでこいつら武器を構えないんだ?
鬼「…何で武器を取らない?」
ザ「…もう覚悟を決めているんだな?キリュウ。犯罪者処か国家に背く者という烙印を押されてもだ」
鬼「正直自分としては人間も妖族も違わないんだよ。生きてそこにいるんだから。
それを見殺しにでもしたら自分は今後楽しく生きていける自信がないんだよ」
ザ「自分のために、今から魔族界に行って魔族の群れと戦うと?」
鬼「ああ、ごちゃごちゃうるせぇな!さっさと構えやがれ!
瞬殺してちゃっちゃと行かなきゃいけねぇんだよ!」
ザ「分かった…総員直ちに扉を開けろ!急げ!」
隊長の号令で隊員全員が所定の位置について扉を開け始める。
全員迷うことなく瞬時に。
鬼「隊長、これは一体?」
ザ「行くのだろう?問答無用で。我々とてわざわざ痛い目には遭いたくはないよ。それに…」
鬼「それに?」
ザ「ここにお前を止めれるような契約者は居ないんだよ。…行ってこい。死なんように頑張れ」
鬼「それじゃあ、お言葉に甘えるか。行くぞカミラ」
カ「…ありがとうございます!」
扉も開いて、いよいよ久しぶりの魔族界だ。
さて、気張って頑張り…
ザ「キリュウ!24時間だ!」
鬼「ああ?なんだよ、今気合い入れ直したところなのに!」
ザ「我が隊のここでの任務は24時間後に違う隊に移る!
そうなってはお前も我々も本当に犯罪者か、下手をすれば反逆者になってしまう!
24時間以内にここに戻ってこい!いいな!?」
鬼「時間制限付きかよ、面倒だなオイ!カミラ行くぞ!制限付きとなれば最初から…全力で行く!」




