四十二話目
法聖騎士団団長からなんともおっかない話を聞いてしまった。
自分があまりにも騎士団をコケにしすぎたせいか…
国が怒っちゃって自分に最大限の嫌がらせをしてきた。
工房運営の生命線である魔族。彼らの生息地である魔族界進入禁止令がでちゃったと。
根拠が無契約者たる自分が、魔族など狩れるはずがないというものだ。
なもんで自分を捕えに来た騎士団をボコれば実力が証明できると思ったんだが…
これが逆効果だった。国がキレちゃって禁止令解かないと言い出しているそうだ。
鬼「う~ん…まさか国がそこまで怒ってるとは思わなんだな。
何とかしないとな…あのおばさんなんか協力してくれないかな?」
エ「アンタね!団長をおばさん呼ばわりはないでしょ!団長と呼びなさいよ」
鬼「うるさいな。別に自分は団員でも国の役人でもないんだからいいだろ別に」
エ「駄目よ駄目!それにどうして団長がキリュウのことを助けるのよ」
鬼「少なくとも自分に興味はあると思うよ。かなり自分のこと知られてるみたいだし」
エ「はぁ?何よそれ?」
鬼「聞きたいんだけどさ。エリーゼは団長と結構面識あるの?」
エ「ある訳ないじゃない。あっちは騎士団のトップでこっちは新入りよ?
話したことも無いわよ」
ア「であるならばなぜお前の名前と顔を知っているんだろうな?
まだ実績も上げていない新入りのエリーゼという名前がだ」
エ「それは…新人をきちんと覚えようっていう団長の努力じゃないの?」
鬼「努力かどうかは別にしても自分達の関係性程度はきっちりばれてんな。
それにこっちの今の情報もしっかり収集されていると」
ア「詳しい額までは流石に知らんと思うが…資金的に余裕があるということも知られているな」
エ「…どういう意味よ?」
鬼「少なくとも法聖騎士団は自分たちを利用するか、もしくは自分達側につけたいと考えてる。
じゃなきゃこっちの状況なんか調べないだろうし、そもそもお茶になんか誘わないだろ?
多分自分達に使える要素がないか聞きたかったんだと思うけど…」
ア「出来ればこの禁止令絡みで何か取引でも持ってきてくれると助かるんだがな。
こっちの差し出せるものは力しかないがな」
鬼「そうねぇ…う~ん、どうしようか」
ア「とりあえず帰るか。ここにいたとて妙案が浮かぶというわけでもあるまい」
鬼「そうしますか…ああ、エリーゼここでいいわ。そっちも忙しいんでしょ」
エ「そうね、じゃあ仕事場に戻るわ。じゃあねキリュウ。無茶は駄目よ?」
鬼「死なない程度にはね」
城を出て家に帰る道中、頭の中はフル回転中だ。
どうすればこの国の連中から自分の禁止令を解かせるかだ。
何せ、こんな所で計画を頓挫させる訳にはいかないからな。
鬼「いやぁ…今までやりすぎたか…」
ア「そうとも思えんがな…何度かボコって追い返しただけだろ?
なんとも器の小さい連中だ」
鬼「全くもってその通りだわな。しかし、相手が魔族だ契約者だいうんなら楽なんだが…
国家となるとこれまたやりようがないわな…これ以上やりすぎると犯罪者になりそうだし」
ア「国を動かす案か…何か思い浮かぶか?」
鬼「いんやなんにも。いいか、後は家で飯でも食いながら考えようや」
と言いながらもお互いだんまりで家に着いてしまった。
頭を使って案を必死で考えていた証拠だ。喋らないとなるとこいつも何も思い浮かばなかったらしいがな。
鬼「ただいま、エルト晩飯は…」
エ「やっと帰ってきた!大変だよキリュウ!」
鬼「……最近そのフレーズ何回聞いてっかな~」
ア「全く…今度は誰が攻めてきたというのだ?」
エ「いや今回のはマジでやばいって!国家レベルで問題になるよ!?」
鬼「いいからその国家レベルのもめ事を見せなさいって」
家の中のリビングにはおよそ平和な工房兼自宅には似つかわしくない人間が二人だ。
片方は何度か見たことがある。
鬼「アンタ何回か会った事あるような気が…」
ス「私はザカリー隊所属のスカイアと言います。貴方が通る時には御会いしてますよ」
鬼「おお、隊長の所の隊員か。ん?それが門を離れてこんな所で何してるのさ?」
ス「それは…こちらをここに連れてくるためです」
要件の話になるとスカイアは途端に緊張した顔に変わった。
彼がこちらといった先には全身をフードで被った人物がいる。
頭から爪先までといった様相だ。顔を見られたくないというのがよくわかる。
しかし…こいつ小さくないか?大人にしてはあまりにも体積が…
鬼「子供に知り合いなんか…」
?「お願いキリュウ!!お父さんを、村を助けて!」
泣きながらフードを取り、こちらに抱き着いてくる小さい体。
以前世話になったアゴン族の村の一つ、ユリウス村の村長の娘だ。カミラだ。
その幼い口からはおおよその事はわからんが結構な事態ということだけは理解できる。
ただでさえ、工房の件で揉めてんのにこれ以上何をしろっていうんだよ…




