四十話目
エルト工房店舗計画。とまぁ、タイトルをつけるならこんな感じだろうか。
資金を得、店舗を任せられる人間も雇い、店舗もバッカスの馴染と進行中と。
後は…商品が問題だな。数が全く足らんと。前に作った商品はバッカスに売っちゃったし…
それに現時点で作っている武器防具は魔格7に8ばかりだ。値段にして数百万から数千万単位。
そんな値段の装備品を変える契約者は高位の者しか無理だ。
客の幅をいきなり狭めるのはどうだろうか…
鬼「エルト、商品の数はどの程度作れてる?流石に店出すっていうならそれなりに数がいるし」
エ「素材はまだあるからいいけど、金額ちょっと高すぎない?もう少し安い武器もいると思うんだけど」
鬼「そこだよな~…そうなると今度はもう少し低位の魔族狩らんといかんか~」
エ「そうだね~…1,2,3辺りか、それだったらここら辺で採れる鉱物とかもいいかもね」
鬼「金属製か。ま、武器と言えば本来ならそうなんだよな~。
あっちじゃ生物から武器造るなんか原始の話だもの」
エ「ゲンシ?何言ってるの?」
鬼「いやいや、気にしないで。しかし鉱物なんかは流石に分からんぞ」
ア「私ならある程度分かるぞ」
エ「……何で鳥がそんな事わかるの?」
ア「私の知能を舐めるな。人間のその程度の知識など習得済みだ」
鬼「そうだな。ほんじゃま発掘作業に行きますか」
ア「いやいや、それなら生産ギルドに行けば買えるって。
よっぽど希少な金属でなければそんなお金もかからないだろうし」
鬼「いや!自分が行く!武器生産のための材料確保は今まですべて自力でやったんだ!
今更他人の力なんか借りるか!」
エ「我儘言うなよ。その方が楽でしょ?最近キリュウも忙しいみたいだし」
鬼「おお、丁度いい!忙しかった成果をここで試してみるか。どうだ、アレイス?」
ア「いいんじゃないか。最近ここら辺でばかり練習していたからな。
そろそろ実戦といこうか」
エ「練習?何をしていたの?」
鬼「ふっふっふっ…内緒♪」
ア「ただまぁ、こいつの異常性がさらに増した、という事かな。まぁた浮くぞ~」
鬼「さぁ、行こうか!発掘と狩猟だ!」
意気揚々と魔族界に入ろうとしたその時だ。
扉を開けるようにいつもの第三境界門守衛団ザカリ―隊隊長ザカリー・クロウリー。
この人とそれに所属する面々に頼んだんだが…
ザ「すまない、キリュウ。扉を開けることは出来ない」
鬼「……何で?」
ザ「前のアブルート絡みでお前揉めたろ?その時のお前の魔族界での狩猟禁止令が解けていないんだ。
騎士団との戦闘は噂で流れているから実力的な疑いは晴れてるんだろうが…」
鬼「おいおいおい、マジかよ。ああ、そういえばあの撃龍そんな事言ってたな…」
ザ「すまない、そういう事なんだ。悪いが…」
鬼「いや、分かったよ。禁止令が解けたらまた来るから」
隊長や隊員の面々のすまなそうな顔。いや、別にアンタらの所為って訳じゃないんだから。
しかし…困ったな。これから商品の大量生産となると素材も揃えないといけない。
その唯一の方法の狩猟が出来ないとなると…
ア「どうする?こうなると計画も止まるんじゃないか?」
鬼「そうなのよね~。資金はあと半分の三千万位残ってるから生産系から仕入れは出来るが…
それだとやたらと金かかって仕方ないじゃん。自力でやりたいんだけどね~」
ア「そこら辺の手回しをどうするかだな」
鬼「国へのコネなんか無いよな~。とりあえず知り合いに聞きに行きますか」
鬼「という訳なんだよ~。詳しい話なんか聞いたことないかなぁ?」
エ「……いきなり訪ねてきて一体何の話をしているの。あんたは」
国関係の仕事をしていて自分の話を聞いてくれる人間。
そんなものは唯一わが身を心配してくれているエリーゼ。彼女ただ一人だ。
ここは騎士団用の食堂、人目が多いから場所を変えようと提案したんだが、何を今更と却下された。
一応自分の身に起きている国からの嫌がらせの話を聞いてもらう。
城内での自分の立ち位置なんかも聞いてみる。
エ「あ~…評判は良くはないわよ。考えてみなさいよ、あんた何回騎士団員返り討ちした?
それで評判がよくなる事なんかある訳ないでしょ?」
鬼「ですよね~…で、他にどんな話出てる?」
エ「国とギルドは訳分からないけど味方につけれるなら欲しい。
教会はあまりにもあんた絡みの動きが聞こえてこないから分からないわ」
鬼「そこら辺含めての今の嫌がらせか…」
エ「まぁ、こんだけ噂が流れてるから近いうちに禁止令は解けると思うけど…」
鬼「その近いうちにってのがいつか分かんないじゃん。
こちとらさっさと素材集めしたいのによ。そこら辺早まる様に何かコネとか無い?」
エ「まだ騎士団に入って新人の私にそんなものある訳ないでしょ。
もっと上の役職の人とかじゃないと」
?「あら、エリーゼさん。お友達かしら?」
自分の格好は今日も変わらず黒衣に両手と両足に手甲に脚甲。
そのせいか周りには自分がだれかはバレまくっている。
中には今にも襲い掛かろうかという人間もいるが今回の戦闘で自分の実力が広まったんだろうな。
それに城内で乱闘騒ぎにしようという馬鹿者も居ないみたいだし。
向こうから来てくれたら正当防衛が成り立つからそれはそれでいいんだが…
とまぁ、そんな状況だからこっちに話しかける人間なんかいないと思うのだが…
三十後半くらいの中々に優しい顔立ちをしている。
ふむ、こういう母親なら自慢にもなるだろうか。手首にはいくつかの腕輪が嵌まっている。
という事はこの人は法神契約者かな?
鬼「てか、エリーゼ。何をそんなに固まってんだよ?知り合いか?」
エ「馬鹿!いいから頭を下げて!この人は!」
オ「エリーゼさん、いいんですよ。自己紹介は自分でしますから。
初めまして。オルガ・ドルイユ。アクアビス国法聖騎士団団長を務めています」
鬼「……これが聖……いやぁ、結構迫力あるのね」
エ「ちょ!?何を団長にそんな舐めた口を!?」
オ「まぁ、構いませんよ。彼も騎士団にはあまりいい印象は無いでしょうしね」
鬼「あれ、自分はまだ名乗っていませんが?」
オ「キリュウさん、でいいかしら?この国で今最も注目されている人。
黒衣にその装備。今日は黒い鳥は居ないのかしら?」
鬼「ご希望とあらば。アレイス、出て来いよ」
胸のあたりからモゾモゾと出てくるアレイス。
本来ならこんな事はせずともすっと出てこれるんだけどね。
一応普通の鳥って事になってるし。
鬼「自分の相棒のアレイス」
オ「本当に真っ黒いのね。喋ると言うのは本当なの?」
ア「カラスのアレイスだ。初めまして」
オ「本当に喋るのね、初めて見たわ。カラスというのも聞いたことないけど…」
エ「…ちょっと気味悪いわね」
鬼「人の相方になんて失礼な。まぁ、いいわ。じゃあエリーゼ。またな」
エ「えっ!?ちょっとここで帰るの!?」
オ「そうですよ。折角ですから私の部屋でお茶でもどうかしら?」
鬼「ええ?そうですか…アレイスどうする?」
ア「別にいいんじゃないか?どうせ帰ってもやる事ないだろ」
鬼「それもそうか。じゃあお邪魔しますか」




