三十四話目
工房ギルドの紹介の元、建築系の工房業界の最大手のいくつかと打ち合わせをした。
したのはいいんだが…
鬼「どこも駄目だな…一流工房というのもあかんな」
ア「トップ揃いというのも考え物だな」
今回打ち合わせをしたのは四つ。
最上位の工房は金額が気に入らないのか、まず話をロクに聞いていない。
仕事が安いんだよというのが目に見える態度だ。
他の工房はこっちの要望をどんどんデカくしていきやがる。
それに細かい見積もりくれって言ってんのに渋い顔しやがる始末だ。
ここの工事はそんなにドンぶり勘定でやりやがるのかっての。
鬼「黙ってこっちの言う事聞いてくれりゃいいんだがな…
それに対しての意見とかならありがたいんだけど、
こっちの意図を無視してただ金額だけでかくしていきやがる」
ア「どうする?上位が駄目なら中堅なんかを当たるか?
そうなると一つ一つ工房を当たる事になるが」
鬼「うわ、それ考えるとマジだるいわ~…そこら辺は一旦帰るか。エルトに相談しよう
家に帰るとエルトが慌ててこっちに駆け寄ってきた。
ああ?また面倒事か?勘弁しろよ~。
鬼「何、何、何?今度は何よ?」
エ「今お客さんが来てキリュウに用があるっていうんだよ?
誰ど思う?誰だと思う!?」
鬼「イイから先を言いなさいよ。誰が来たの?」
エ「闘人ギルド長のオリバーさんだよ!何でそんなえらい人がキリュウに会いに来るの!?」
鬼「あのおっさんがか?わざわざこんな辺鄙なところに何しに来たんだろ?」
エ「…さらっと人の家の悪口言うなよ」
家の中に入ると居間でのんびりと茶をすすってやがる。
おぅおぅ、あいも変わらず偉そうじゃないのよ。
オ「おお、キリュウ君。お久しぶりじゃないか。君の噂は聞いているよ。
中々の御活躍じゃないか。今この国は君の噂で持ちきりだよ」
鬼「御褒めに預かり大変恐縮です…といえばとりあえずの挨拶は終わりだな。
で、こんな所まで一体何の用だ?」
オ「おやおや、随分と嫌われてるじゃないか。そんなに邪険にするなよ。
例の事をまだ怒っているのかい?」
鬼「いや、その件に関しちゃもう何も思ってはおらんよ。
そちらも大変だったんだろ。あのジジィも陰険な事考えるよな。
人の就職活動邪魔するなんてな」
オ「ジジィ?何の事だい?」
鬼「アクアビス国教会長マグリス・オーダー。あれの願いを聞いたんだろ?
ギルドとしても契約者に影響力のある教会とは仲良くしたいもんね~」
おお、流石にこの情報が漏れているとは知らんかったようだね。
顔が一瞬だけ曇ったよ。すぐに戻っちゃうのは残念だけどね。
オ「いやいや、ギルド、国家、教会は各々独立した組織だよ。
教会からの圧力などある訳がないじゃないか」
鬼「そうかそうか。僕の勘違いだったか~。そうなると他の情報も間違いかな~」
オ「…他の情報とは?」
鬼「いやいや、確認の取れない事なんか闘人ギルドの長に教えるなんかできませんよ」
オ「……まぁいいでしょう。それよりもこの工房大変賑わっているようじゃないか。
暫く開店休業状態だったのがいきなり魔格7の素材で作った武器をいくつも納品。
数千万ディアもの儲けをだし、この後もアブルートが控えている。
いやはや、一体この工房がどこまで伸びていくのか。国では大変民衆の関心を引いていますよ」
鬼「それはどうも。御褒めに預かり光栄ですよ」
オ「しかしだ。商売というのは中々どうしてうまくいかない事が多々あるものだ。
私も以前経験がある。納入する筈の物が入らなかったり、取引先が倒産したりなどだ。
そういう時に急な代わりを探すというのは大変だよ。
ましてや後ろ盾もなく個人だけではとてもとても」
鬼「ほぅ…いろんな苦労をしたんだな。まさかとは思うが、そんな苦労話を聞かせるためにここに?」
オ「まあ、そのような所だ。年長者のいう事は聞くものだよ。
頑張って仕事に励みたまえ。では私はこれで」
そう言い残してギルド長は出て行った。ふらっとお茶でもしに来たようにだ。
内容はかなりおっかないものだが…
ア「何をどう好意的に受け取っても脅しだろ。あんなものは」
鬼「多分。こっちの取引相手が何処か知ってんな。多分商業ギルド側からでもなんか仕掛けてくる。
それが嫌ならきちんとギルドに入ってあれの要求に答えろと」
ア「しかし何を今さら…入りたいというのを向こうが断ったじゃないか」
鬼「アブルート。こいつが原因だろうな。
ギルドもまさか自分がここまでの力を持っているとは思わなかったんだろうて。
そんだけ使えるんなら教会の言う事聞いて放置するより、何か理由付けて使いたいと。
国からの圧力っていうのは向こうも勘付いてるだろうしな。
そこらへんのちょっとした報復も兼ねてんじゃないの?」
ア「どうする?あれの言う事を聞くのか?」
鬼「まさか!そんな程度で向こうに譲歩するなら最初からこんな無茶するかよ。
……向こうの出る手はある程度は予想がつく。そこら辺で何とか向こうの手を利用できないか…」
ア「そんな奥の手みたいなのがあるのか?」
鬼「う~ん…良い人だからちょっと気が引けるが…」
闘人ギルドの長が商業ギルドに何らかの圧力をかけてくるのは目に見えている。
その手がどう言うてかはまだわからんが予想はつく。その辺でこっちの希望を叶えたいものだが…
ただ、その後もギルド、教会、国と要らん茶々を入れられる可能性は高いだろう。
それをどこまできちんと処理できるかどうか。そんな頭が自分にあるとも思えんが…
行ける所まで行きますか。




