三十一話目
今回襲ってきた賊は四人。トーマス・ジャーマン、メイナード、ウォーレン、ニール。
今は全員縛り上げて家の中に入れた。流石に夜も遅すぎる。
さて、どう処分したものかな。
鬼「さて盗賊諸君、君達の目的はアブルートでいいのかな?」
「「「「………」」」」
鬼「おお、だんまり決め込みますか。盗人の分際でなんともいい度胸だ」
ト「ち、違うんだ!これはその…酒の勢いでつい!」
鬼「あほか、お前!ついとかで強盗なんかされてたまるか!ボコボコにすんぞ!?」
メ「とりあえず話し合いません?それで結論を決めるという事で…」
鬼「…本当にいい度胸だ。現行犯逮捕でそんな事言える立場か」
ト「守備隊に突き出さないならどんな条件でも聞こう!どうだろうか?」
鬼「分かった分かった。一応話だけ聞いてやるから。話してみ」
そこでこいつらの身の上話に付き合う事になった。
こいつらが職人だという事、今回襲って来ることになった経緯等を聞いた。
ト「どうだろうか、これが私達の事情だ」
鬼「よしよし、よく分かったぞ。なるほど苦労したんだな…」
ト「そう思うか!?」
鬼「んな訳あるか、ボケ!!!完全に逆恨みじゃねぇか!そんな事情で襲われてたまるか!」
メ「ですよね…ああ、これで自分達も犯罪人か」
ウ「だから止めようって言ったじゃんか!」
二「誰が止めた誰が!全員ノリノリだったじゃねぇか!諦めろよ」
ト「…これもすべて工房の主の私の責任だ。
私はどうなってもいいからこの三人はなんとかならんだろうか?」
鬼「ほう、中々部下思いじゃねぇか」
メ「師匠、そんな!」
二「これは全員の責任です、師匠だけが責を負うなんて!」
ウ「ありがとうございます師匠!師匠の分まで頑張ります!」
メ「あ、ウォーレン、てめぇ!師匠への恩は無いのか!?」
二「ここは全員師匠思いっていうのを前面に押し出して感情に訴える所だろ!
一人がちで逃げんじゃねえよ!」
鬼「…あんたも色んな弟子もって幸せだな」
ト「…教育間違えたか」
鬼「まぁいい。そちらとしての希望は出来れば守備隊に突き出すのは勘弁してほしいと」
ト「ああ、そうだ」
鬼「そのためならある程度の苦行も耐え忍ぶ覚悟はあると!?」
メ「苦行って…」
二「それで犯罪人にならないなら」
ウ「ううっ…頑張ります。出来る範囲内なら」
ト「で、私達に何をさせたいんだ?悪いが金銭的な事なら無理だぞ」
鬼「んなもん強盗までするような輩に求めんわい。こっちが希望するのは労働力だ」
ト「労働力と?」
鬼「現時点この工房は武器を作る職人はいるが、防具に関しては不得手だ。
素材が少々余っちゃってなぁ。だもんで防具職人を探しとったのよ。
丁度いいところに馬車馬みたいにこき使える職人が来たもんなぁ。
日頃の行いがいいんだな」
ト「…分かった、飲もう。それで守備隊に突き出すのは勘弁してもらえるんだな?」
鬼「契約成立だ。安心しろ、契約は守ってこそ意味がある。
とりあえず今日の所は帰っていい。朝一…は流石に早いか。昼ご飯食ってから来てくれ」
四人をそのまま一旦帰すことにした。このままここに居たって仕事はまだ無いし。
しかし、あいつ等雇うって決めちゃったけど…相談してない…
エルト怒んないかな?
ア「いいのか?部外者勝手に雇うと決めて」
鬼「そうなんだよな~…いいや、もう寝ようや。起きたら相談しよう」
エ「ああ、おはよう。キリュウ今日はえらく遅いじゃない。もう昼前だよ」
鬼「深夜に賊に襲われちゃってね。対処してたら寝るのが遅れたのよ」
エ「うそ、本当に来たんだ。で、どんな奴だったの?」
鬼「ちょっと落ちぶれた職人、て所だな」
エ「落ちぶれた職人かぁ…なんか少し前の僕みたいだ」
鬼「そこでだエルト君、相談なんだがね。彼らをこの工房の労働力として使おうと思うんだが。
どうかね?」
エ「エ、雇うってこと?それは別にいいけど…信用できるの?そんなバカな真似するような人間だよ?」
鬼「何、人間誰しもそういう馬鹿の一つや二つはするさ。そういう人間にチャンスを与えてもいいじゃない。同じ人間じゃないか?」
エ「……本音は?」
鬼「タダで使える労働力。多少酷使しても文句の言えない関係性」
エ「やっぱりそういうこと…わかった、キリュウに任せる。僕は自分の作業に集中するから」
鬼「了解、任せておくれよ」
そこからしばらく待つと四人がやっと到着だ。
鬼「皆様ようこそ。エルト工房へ。ここが今日から君達の職場だ」
ト「ああ…約束は守れよ」
鬼「分かってるって。さてと、早速仕事に取り掛かってもらおうか」
ト「例のアブルートだな」
鬼「いや、その前に前に狩った魔族の素材がまだ余ってんのよ。
そっちの方でちょっと見てほしい。装備品が作れるかどうか」
四人を家の裏の方にある素材置き場に連れて行った。
それらを見るなり四人の顔は一気に職人になっていく。
四人はお互い相談をしながら使える部位を選んでいった。
これで素材が余るという勿体ない状況の一つが改善できたと。
武器と防具、両方が作れれば資金面はかなり余裕ができる。
よしよし、これで計画ももう一段階進められるな。




