二十八話目
この世界では魔格8以上の魔族を狩った場合国に報告をしなければならない。
狩った場所や戦闘状況、戦闘過程等を報告せねばならんと。
まさか、そんな面倒なシステムがあったとは…
で、守備隊の方々にそんな事を聞いたもんだから仕方なく城まで行くことに。
騎士団から担当官が来るからそいつに報告しろだと。
そうしたら、担当官はお久しぶりの御友人エリーゼさんに当たった。
若干の世間話をした所で一応ありのままを報告したんだけど…
エ「………」
鬼「とりあえず理解できない、こいつ何言ってんの?てことでいいかな?その顔は」
エ「当たり前でしょ!魔格8を一人で討伐してアゴン族の村で一泊した?
嘘並べるにしてももう少しまともな嘘にしなさい」
鬼「純粋に事実をのみをお伝えしておりますが…そうなるよね」
エ「大体、魔格8を一人でって…ねぇ、キリュウ本当に何があったの?
普通の契約者ではないというのはよく分かったけど」
鬼「言ったろ、いろいろあったんだよ。今は喋る気はないけど。
で、これどうすんの?自分は事実を言っているというのに君は嘘だと決めつけている。
これでは永遠に話は平行線だよ」
エ「私だってどうすればいいのか…報告書どう上げればいいのよ」
鬼「そしたらさ、そのアゴン族の部分はバッサリ抜いて自分が一人で倒したってとこだけ報告してよ。
そしたら後で何か問題が起きてもエリーゼはキリュウがそう言ったで押し通せばいい」
エ「それはいいけど…アゴン族は抜くの?何で?」
鬼「自分はアゴン族がどこに住んでいるのか分かるようになっちゃったのよ。
色々な流れ上でねそれが人間側に漏れるのは自分の信用問題にもなるわけよ」
エ「えっ?アゴン族とそこまでの信頼関係を作ったの?うわ、数百年記録無かったのに…
まぁ、確かに公表しない方がいいかもね。
昔アゴン族と戦争した原因が彼等のその村を隠す独自の技術だったわけだしね」
鬼「マジ?何でよ?」
エ「それが分かれば人間も魔族界に生存領域を広げられるわ。
そうなれば魔族界にある様々な資源が使えるようになるわ。
実際問題人間界の資源はいずれ底をつくわ。そうなると今度は人間同士で戦争になるわね
資源や食糧の奪い合い。人間族の終わりと言ってもいいんじゃない」
鬼「魔族界は人間からしたら良い事尽くめか。魔族の体に魂という資源。
更には鉱物資源や食糧問題の解決。しかしだ、そらアゴン族も恨み深いわな~。
自分らが大事にしている物寄越せって言って来るんだもの。
しかし、戦争って事は…どっちかが実力行使したって事か。この場合は…」
エ「そう、人間側。それ以来、他の妖族も人間を忌み嫌うようになったって訳よ」
鬼「なんとも人の欲の深い事よ。さて、じゃあもう帰っていいか?」
エ「いいけど…後でどうなっても知らないわよ」
鬼「だって事実しか言ってないし~。揉めようがないわよ」
エ「じゃあ…気をつけてね。無茶ばかりしないで」
鬼「へいへい、じゃあ持ち帰りますか。やれやれ、また注目を集めるのね」
一応報告も終わり、後はすぐに家に戻る事にした。
後はさっさとこいつをエルトに渡してちゃっちゃっと寝ましょう。
ア「今の女はお前の友人か?それなりに楽しそうだったが?」
鬼「まぁ…一応そのジャンルには入るかな。唯一だけどね。
そうだな、アレイスにとってのマリアスみたいなものよ」
ア「まぁ…であるなら仕方ないか。今の所一番問題なのはエルトだろう」
家に着いたが…工場からは音が聞こえている。
恐らく作業を続けているんだろう。
門限過ぎた子供が家に帰る気分そのままだな。
鬼「ただいま~…エルトさん居ますか~?」
ア「そんなにビビりながら入らんでも…」
エ「キリュウ!?あ~良かった!生きてたんだね」
鬼「まぁ、何とか…すまんね、心配かけて」
エ「キリュウの事だから大丈夫だろうとは思ってたけど…流石に一晩は怖いよ」
鬼「魔族界からは連絡のしようがないからね。ごめんね」
エ「無事ならそれでいいよ。で、収穫は?外にあるんでしょ?」
ア「ああ、あるぞ。ド級のプレゼントがな」
工房の外に出て今回狩ったアブルートを見せる。
ただ、守備隊同様こいつの知識は無く驚けばいいのかが分からんらしい。
エ「これ…見た事ないな。うわ、でも素材としてはかなり凄そうだ。
この鱗かなりの強度あるみたいだし…加工すればかなりの装備品になるよ。これ何なの?
見た所龍種みたいだから…結構高ランクでしょ?」
鬼「調べた所魔格は8、名前は破龍アブルート。さっき騎士団に報告も済ませたわ」
エ「……えっ?」
鬼「さて、じゃあさっさと仕事にかかろうや。自分はちょっと休むわ。
アイツ運んで街中動かされたものよ。疲れちった」
エ「ちょっと待って!え、何、8?これが?嘘でしょ!?
8って言ったら国中大騒ぎになる位の存在なんだけど!?
それこそ龍以上が複数出るくらいの何だけど!?」
鬼「ここからそれなりの距離の場所だからね~。国には知られてないんだと思うわ。
いやぁ、良かったよ。知られてたら国に持ってかれちゃったものな」
エ「うわぁ…魔格8の装備品か。ちょっとハードル高いな…」
鬼「頼むぞ~。これで一旦武器造りはストップだ。
かなりの収入は期待できるからその金で店舗建設といこう。
店が出来れば色々と都合がいいんしね」
エ「えらくこだわるね~。まぁここまでくればもう心配はしないけどね」
鬼「とりあえず頼むな。じゃあ部屋行くわ」
この破龍アブルートの一件で自分とエルトの名前は大分有名になるだろう。
そうなるとそろそろ色々起きそうだしな~。
今は収入の心配はもう無さそうだから早く店を作ろう。
自分もそこまで行ければ…大分安心できるから。




