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二十五話目

無事戦闘も終わり死傷者ゼロという素晴らしい戦果を挙げる事が出来た。

ま、ひとえに自分のおかげであることは言うに及ばずだ。

ただ、凱旋の折にあまりの歓迎を食らったので正直困っていたのだが…

ユリウスの言葉で多少心が動いたのか、初の魔格8の獣装(アルマ)生成を祝い宴が催される。

さっさと帰ろうかとしていたらその宴にお呼ばれしてしまった。

誘ってきたのは一番意外すぎる一人だ。


イ「今晩祝いの宴を行う。お前に参加してほしいのだがどうだろうか?」

鬼「……今なんて?」

イ「宴を行うから参加してほしいと言ったが?都合が悪いのか?」

鬼「いや、それ自体は別にいいんだけど…あまりにも意外な方からのお誘いだったからつい…」

イ「お前は力を示して我らの村の危機を救ったのだ。私とてアゴン族の獣神装(サクロアルマ)

を受け継ぐ一族の者としてお前には感謝している。…今までの非礼は詫びよう。すまなかった」

鬼「いや、こっちも仕事としてやったまでの事だし…とりあえず参加はするよ。

ただ…いいのか?他の村人は大丈夫なのか?」

イ「気にするな、これはすでに皆からの賛同は得ている。反対者は無し。

それがユリウス村の村人の総意だ」

鬼「承知した、では喜んで参加させてもらおうか」

イ「ではしばらく準備もある。それまではユリウスの家で待っていてくれ。

今回はそれこそ何百年ぶりかの人間族を主賓として迎えた宴だからな」

鬼「…種族間の溝は深いのね」

イ「お前個人には何の恨みも無ければ恐れもない。

だが、人間族という種族への感情はちょっとやそっとではどうにもならないという事は分かってくれ」

鬼「了解、じゃあユリウスの家で待つよ」


村の中はそれはそれは準備とやらで大忙しだ。

食料を運び、調理をし、食器などを並べていく。

慌ただしく準備の時間が過ぎていく。

皆、これからの宴を心から楽しんでいるのだろう。

今は、自分を見ても怖がらず笑顔を見せてくれている。

自分は人間族での方がよっぽど嫌われているんだろうと思ってしまう。

教会の人間なんかは絶対自分にあんな顔は見せないだろうからな。


カ「キリュウ、宴には参加するの?」

鬼「わざわざ、イザークのおっさんが誘いに来たんだ。断る事もあるまいて。

で、準備ができるまでそっちの家で待ってろってさ」

カ「じゃあ、一緒に帰ろうよ。子供達は手伝う事もないから家で大人しくしてろってね」


街のそこかしこに豪勢な食事が並び、飲み物が置かれていく。

こんなに食料を出してこの村の備蓄は大丈夫なのだろうかと心配になるくらいだ。

そんなに余裕があるのか?


各家庭が忙しくしているのに、この村長邸は何もしないのか?

中に入るとユリウスがのんびり茶をすすってやがる。


鬼「あんたは何もしないのか?」

ユ「私は村長だ。そんな私がのこのこ出て行き準備を手伝うと言っても周りが困ってしまう。

なれば最初から何もしない方が村人も準備に集中できるというものだ」

鬼「…若干屁理屈感が感じられるのは気のせいだろうか」

ユ「まぁいいじゃないか。ここでゆっくりサボろうではないか。

皆がせっせと働いている中でのんびり飲むお茶というのも中々に旨いものだぞ」


茶を飲み、そろそろ飽きて来たなぁという所で宴の準備ができたという知らせが来た。

家を一歩出ると人が歩く道に大量のテーブルが並んでいる。

テーブルの上に料理が並び、バイキング形式でとっていくらしい。

村の中心の広場には人が集まっていて熱気を隠しきれない御様子だ。

高台が設置されていてそこに席が二つ。ああ、自分にここに座れっていうのね。

椅子は無く地べたに直接座る文化らしい。…高いな、おい。

中心には自分と村で倒したアブルートの体が横たわり村人も興味津々だ。

流石に魔族界で過ごしているだけあってこういった魔族の死骸にも抵抗はないらしいな。



ユ「さぁ、同胞よ!今日は皆ご苦労だった!戦は我らの全面勝利を収めた!

そこにある破龍アブルートは後日、ビストガンによる儀式により獣装(アルマ)となる!

それを祝い、今日はこの宴を催した!そしてこの勝利に欠かせないのは横にいるキリュウだ!

彼がそこにいるもう一匹をたった一人で倒した!

その助力のおかげで我々は全面勝利することができた!

数百年ぶりの出来た人間の友を招いての宴だ!皆存分に食ってくれ!」

村「「「「「おおさーーー!!!」」」」」


話しの終わりが合図になり全員食い物に直行していく。

皆が思い思いに食っている中で自分はすでに用意されている料理を食っていく。


ユ「さて、これでは明日は全員で狩りに出なければな。食料の備蓄がなくなってしまう。

やれやれ、イザークがまたぼやくな」

鬼「おお、あのおっさん、結構細かいんだな」

ユ「食料の管理は生きていく上で必要不可欠だからな。

そこら辺はイザークに任せているのだよ」


周りを見渡すとイザークは食事もとらずにお仕事中だ。

少し離れた食料庫ではイザークのおっさんと女性陣数名が言い合っている。

おそらくその食料の管理で揉めているのだろう。

あのおっさんがそういう細かい事が出来るとは少し驚きだ。


鬼「こんな時でも仕事とは。意外と真面目なのね」

イ「全く、余計な仕事を増やしてくれるものだ。

どれだけ食えば気がすむのだ、この村の一体何日分だと思っているんだ」

鬼「女性陣とも揉めてたねぇ」

イ「お祭りなのだからイイだろうというのだから困ったものだ。

管理する側の身にもなれと言うのだ」

鬼「ユリウスは明日は全員で狩りだと言ってたぞ。それでなんとかなるんじゃないの?」

イ「この近辺ではもうしばらくは狩りには行けんな。あれだけの高位魔族が出たのだ。

暫くはここら辺には食料になるような低位魔族は身を潜めているだろうし…

多少遠出でもせねば狩りにもなるまい」

鬼「食料番は大変だね」

イ「私の仕事だ、別に構わん。さぁ、お前はもう行け。主賓がこんな所でずっといるのまずいだろ」

鬼「じゃあ、自分は腹いっぱい食ってきますよ」


折角の祭りだし、こちらも楽しむことにしよう。

あの高台は飽きるからもういいや。村の中をのんびり歩きますか。

村中に並んでいる料理が片っ端から消えていき、厨房では料理がどんどん出て行く。

ああ、またイザークの血圧でも上がりそうだな。


ア「中々に楽しそうではないか。イザーク辺りは倒れそうだがな」

鬼「盛り上がってるよ、こういう所は人間も妖族も関係なしか」

ア「ここの連中は本当にいい奴らばかりだ。

こんな風に人間が妖族の祭りに出るなど、他の奴らならば信じないだろうな」

鬼「自分自身には何の関係もない話だよ。他の妖族はどうだか知らないけどね」


ひょんなことから人間以外の種族に会い、喧嘩をし、共闘もした。

中々に濃い一日だ。段々夜も更けていき、そこらへんで寝る連中まで出る始末だ。

ああ…こんなに楽しい一日は久しぶりだったな。

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