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二十四話目

ユ「総員、まずは鱗の除去を最優先とせよ!!鱗の上からでは我らの攻撃はまったく通らん!!」

村「「「「おおさ!!!」」」」


アゴン族側の戦闘はまだまだ序盤戦だったらしい。

様々な魔族が一匹の大きな龍に群がり、襲っている。

これはまた…なんとも言えん光景だな。


鬼「うわぁ…これはおっかない絵面だな。こら、人間サイドも怖がるかなぁ」

ア「今のところは…死者は無しか。いくつかの塊を作り、交代しながらの戦闘。

陽動係、攻撃係、防御係。それぞれの魔族の特性を生かしながら戦っているな」

鬼「時間は掛るが、リスクは少ないと。いやぁ、勉強になるな」

ア「戦い方は人も妖族も変わらん。死にたくないというのは種族共通の認識だ。

契約者も同じだよ。龍などの高位契約者ならともかく、鬼以下では徒党を組んで戦う」

鬼「自分には関係のなさそうな話だこと」

ア「他の契約者が聞いたらキレる所だが、実際問題そうだから仕方がないか」

鬼「…今の所手出しの必要性はなさそうだな」


時間をかけてリスクを最小限にして戦闘を行った結果、アブルートもかなり疲弊しているご様子だ。

いくつもの鱗がはがれて落ち、中の生身の部分が見えている所もある。

どうやらこれで終わったらしいな。止め役は…おお、以前私がはったおしたバルドイ君じゃないか。

疲弊して動きが鈍ったアブルートの生身の部分にバルドイの二本の角が突き刺さる。

肉を裂き、骨を砕く音が辺りに響き渡りアブルートは地に落ちる。

ユリウスが近くに行き、アブルートの生死を確認する。


ユ「我らの勝利だ!!!」

村「「「「「おおー!!!!!」」」」」


周りでへたり込んでいた戦士達もよろける足で踏ん張り立ち上がり、共に雄たけびを上げている。

…よし、とりあえず死んだ戦士はいないみたいだ。


鬼「村人全員無事みたいだね」

ボ「ええ、貴方が片方を引き受けてくれたおかげですよ。本当に感謝します」

鬼「お互い仕事でやった事、気にしない気にしない。

ところでさ、一つ気になってたんだけど聞いていいかな?」

ボ「私にですか?ええ、構いませんが」

鬼「あんたの自分への態度さ、えらく丁寧じゃないの。

あのイザークのおっさんなんてのは最初から喧嘩腰だったのに」

ボ「…弟を殺さないでくれたからですよ。貴方が来た当初、私は外に狩りで外に居ました。

帰ってきた時、あいつが村に入った人間と戦い負けたと聞いた時私は弟の死を覚悟しました。

しかし、弟は軽い傷で済んでいました。私は本当に安心しました

しかも弟は貴方にえらく興味を持っていました。

自分は素手でなぎ倒された、あれは本当に人間なのかと。いえ、変な意味ではなくですよ」

鬼「分かってるよ、いちいちフォローしなくてもいいよ」

ボ「他のたおされた戦士も同様でした。人に、しかも武器も持たない素手で。

笑っていましたよ、訳も分からないうちに倒されたと。

誰も死ななかった、人間と戦い負けたのに。

あの四人を圧倒する力を持ちながら妖族を気遣った貴方という人間に興味を私も持ちました」

鬼「なんだか照れるねぇ。別に深い意味を持って彼らを殺さなかったわけじゃないよ。

そこまでするのが面倒だっただけ」

ボ「さらに貴方はユリウスの要請にも応えてくれた。

無視をし、村が滅ぶなどどうでもいいと逃げれたのに。

イザークを怒鳴る貴方の姿はとても魅力的でしたよ。貴方をより近くで見たいと感じるほどに」

鬼「監視のほかに観察もしてたって事?まぁ、いやらしい」

ボ「ですがとても面白かった。武器も持たず、オディアス教にも属していない。

貴方という人間はまるで他の人間すべてに喧嘩を打っているようにすら見える」

鬼「そんな大それたこと出来るような人間に見える?」

ボ「見えるから聞いてるんですが?」

鬼「まあまあ、いいじゃないの。さて、皆様村に凱旋するみたいだし。戻りましょうか」

ボ「この話はここまでという事ですか?」

鬼「…意外にしつこいんだな。あんたは」

ボ「分かりました、今度ゆっくり話しましょう」


村人全員でアブルートの体を担ぎ上げて、運んでいく。

こっちも一応運んでおくか。村人と共に倒した魔族を担ぐ。

村人側のアブルートがボロボロなのに対してこちらは前足一本と鱗が数枚壊れていただけ。

村人たちも流石にこれだけ状態に差があると驚きを隠せない御様子だ。

ただ彼等も戦士という性質なのか、自分を恐がらずにただ称賛の意示してくれている。

意外と友好的な態度にこちらが驚く位だ。


ユ「キリュウ、ありがとう。皆が無事に村に戻れるのも貴方のおかげだ。

ここに居る戦士全員が君に感謝している」


周りの戦士達も本当にそう思っているのだろう。

いやぁ、ここまで急激に態度を変えられるとこっちも恥ずかしいんだが…



巨龍を二匹村の中に運んでいくと村は歓声と共に騒ぎが広がっていく。

村人は大きな歓声と賛辞の声で村の戦士達を迎えている。

しかし、片方を人間一人で担いで運んでいると認識した時村の声は止まった。

あちゃ…やっぱりひかれたかなぁ。思わず一緒に村に入ったけど…やめときゃよかったな


ユ「皆、よく戦った!今日村を襲ったのは魔格8破龍アブルートだ!

しかもそれが二頭、その片方を我らが村の友人であるキリュウが打ち取ってくれたのだ!

故に我らはもう片方に集中でき、戦士には一人も戦死者は出なかった。

これもキリュウのおかげだという事を覚えてもらいたい。

同胞よ、貴方方の父を、息子を、友人を助けたのは彼だという事考えてもらいたい。

人間族を信じろとは言わないが、命を懸けて戦ってくれた彼を信じてもらいたい」

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