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二十二話目

獣装(アルマ)を装着した村人全員が二匹の魔族の片方に突っ込んでいく。

破龍アブルート、魔格8の貴重な高位魔族だ。こちらとしてもありがたい。


鬼「さてと、こちらも行きますか。大分乗り遅れたけど」

ボ「そういえば自己紹介をしていませんでした。ボリス・ブラーハ。

獣神装(サクロアルマ)闘獅子バルバスを持つ一族です」

鬼「そらご丁寧にどうも。キリュウ、名字は無し。それでアンタは獣装着けないの?」

ボ「ん~…私要ります?」

鬼「はい?」

ボ「いえね、貴方の戦い方も知らないのに私がサポートしようにもねぇ…

それに貴方の実力は大体知ってますし」

鬼「何でよ?」

ボ「貴方が一番最初にのした四人、覚えています?あの中に私の弟がいたんですよ」

鬼「あちゃ…そらどうも、なんていうか…」

ボ「いえ、その点をどうこう言う気はありませんよ」

鬼「だとしても、あんた何しに行くのよ?自分を監視するのも仕事でしょ?」

ボ「いや、その点は疑ってませんから。だって逃げるのならとっくにしてるでしょ?

あんな村人たちの前であんな話なんかしないで。勝算が有るから参加する、違いますか?

それに貴方は他の人間族と違って私達に対して恐怖や恨みなどないでしょ?

でなければカミラをわざわざここまで送るような真似もしない。

以上の事から改めて聞きます。私のサポートは要りますか?」

鬼「…信じてもらえるならありがたい。とりあえず助力は要らない。

村人側に参戦できるように力は温存しといて。

あっち側はよっぽどまずくならないと自分手は貸さないから」

ボ「そうしてもらえると助かります。

あの中には人間の手など借りれるかと思っている者も少なからずいるでしょうし」

鬼「そこら辺は種族間の長い時間かかってできた解消できない感情の話だ。

とりあえず今はビジネス、仕事の話だよ。自分にとってもあの魔族の素材は魅力的だし。

では…突撃といきますか。少々無駄話が過ぎた。…アレイス、起きろ」


初めて戦う魔格8の魔族。アディアス教の契約者だとどの程度の強さだろうか?

多分…大丈夫だろうと信じてはいる。

鎧の装着を確認後、村をすぐに飛び出す。ユリウス曰くなるべく村から話して戦えとの事。

であるならばとりあえずどこかに飛んでもらいましょうか!!

走りだし勢いをつけて、そのまま飛び上がり…


鬼「吹っ飛べぇぇぇぇぇ!!!!」

ドオォォォォォン!!!

「ゴアアアアアア!?」


村人の集っていない片方に思い切り跳び蹴りをぶち込む。

この一撃に100m程度吹き飛んでくれた。


鬼「ユリウス!こっちはこっちで勝手にやる!そっちの事までは責任を取らんぞ!」

ユ「よし!キリュウが片方を片付けてくれる!こっちはアゴン族の名誉にかけて我らで倒すぞ!」

村「「「「「オオォォォウウ!!」」」」」


よし、これで戦闘準備は万全だ。

全力で移動し、倒れている破龍アブルートのそばに着いた。

見た感じ…ろくなダメージはなさそうだ。身の丈は10mは超えているだろうか。

四肢を覆う色黒き鱗、頭には二本の曲がって角が生えて、腕と足には人など簡単に引き裂く爪。


鬼「おお…これぞドラゴン!!ザ・ファンタジーという所か」

ボ「蹴り一発でよくここまで…貴方の実力は凄いものだな」

鬼「初の魔格8の魔族。さて、どう戦ったものか…」

「グァァアアアアアア!!!!」

鬼「おお、怒ってるね~」

ボ「そらそうでしょう。どこの世界にいきなり蹴り食らわされて怒らない生物がいますか」


一しきり吠えた後、こちらを正式に敵に認定してくれたらしくあちらからの先制攻撃。

前足を振り上げ、こちらに勢いよく振り下ろす。

腕で受けて、反撃…をしようとしたが攻撃を受けた瞬間思い切り吹き飛ばされた。


鬼「のぁ!?」


後方十数m。自分が吹き飛ばされた距離だ。

ダメージと呼ぶようなものは無いが…なるほど、ここまでやられるのは初めてだな。


鬼「なるほど、これが7以上の魔格の魔族か。初手でここまで飛ばされるとはね」

ア「これだけの攻撃を受ければいかな龍や聖でもかなり痛手を負うのだ。

私の鎧に感謝しろ」

鬼「それはマジで感謝してるよ。さてと…真剣にやりますか。一応村側も心配だし」

ア「あちらは手を出さないのではないか?」

鬼「知り合いが死ぬのは誰でも悲しい。そういう事よ」

ア「では私も力を入れよう。なるべく短時間で終わらせろよ」


この鎧はアレイスの掌神としての力を鎧という形で顕現させたものだ。

展開中アレイスは何をしているかと言えば戦闘なんかを完全に傍観しているらしい。

言い方を悪くすれば遊んでいるのと同じという訳だ。

掌神としての力を普段なら人間たる自分の意識で扱っている。

ただ、それはアレイスの全力より幾分か落ちるそうだ。

人の意識と体では神の力は大きすぎるという事らしい。

ここでいう彼の力を入れるというのはこの力のコントロールを変わるというものだ。

彼自身が行う事でより強大で安定的な力の演算ができるらしい。

力の制御を彼が行い、力の行使を自分が行う。

分業することで自分はより力を扱うという事に集中できるという事だ。

ただ、どれだけ制御を彼が行うと言っても使うのはあくまで人間たる自分の体だ。

彼からは長時間の力の使用はなるべく抑える様にと言われている。

後々強い疲労感が伴い、更にそれがひどくなると強制的な睡眠による回復が行われる。


鬼「承知してるよ。頼むぞ、アレイス」

ア「では行くぞ」


一瞬力が無くなったのが理解できた。おそらく普通の人間に戻った瞬間だろう。

その感覚がすぐになくなり、今度は通常よりも体が熱くなったような感じがし始める。

徐々に熱は治まり、感覚的には普段と同じになっていく。


ア「いいぞ、安定した。お前は普段通り動け。後は私が手伝ってやる」

鬼「では…反撃だ!!」

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