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十七話目

入ってすぐに魔族と遭遇。幸先がいいと喜べばいいのか…

素材にならないと言われて思わず投げ捨ててしまったが、魂だけでも取っておけばよかった。

境界の壁から離れる事小一時間。

そろそろ危ない魔族も出るかもしれないという事で鎧を装備することにした。

いつもの通り全身を漆黒の鎧が覆う。そういえばこの装備の不安点が一つ。

頭の方が何もないのだ。ここ重要だろ?一撃で死ぬ場所だぜ?


鬼「アレイス、この鎧って頭部どうなんだろう?何もないってのはおっかないんだがな」

ア「ああ、そういえば…じゃあ作るか」

鬼「え、そんな簡単な物なの?」

ア「まぁ、これは私の体と言おうか、力の具現化だからな。

創るも変えるも自由というものだ」

鬼「てめぇ、だったら言われる前に作っとけよ!危ないな!」

ア「そう怒鳴るな。今から作るから」


一度鎧を解いていつもの服の状態に戻る。

数秒の時間をおいてもう一度フル装備で鎧を展開する。

近くに水溜りが有ったので覗いてみた。

頭全体を覆い、顔の前面は上下に動く可変式で視界性もそれなりにいい。

ただ…あまりに不恰好だ。確かに鎧と言えばみたいの所はあるが…


鬼「なんか格好悪いな…もう少し何とかならんかな」

ア「お前な、命を守る装備に格好悪いとか言うなよ。頭部守れって言ったのはお前だろ?」

鬼「そうだな、頭はこのままでいいからこの顔の方を変えようか。自由自在なんだろ?」

ア「そりゃそうだが、どういう風に変えればいいんだ?」

鬼「う~ん…そうだ!お前さ記憶探ってその体作ったじゃん?

それと同じ要領で自分の思い浮かべるイメージって読み取れるの?」

ア「それは出来るが…とりあえずやってみるか」


さっきと同様、アレイスが集中して鎧の再構成を行う。

さっきと違うのはこちらも集中して顔の部分の構成を考える。

時間はさっきよりもだいぶかかったが無事完成を迎えたらしい。

水溜りに行ってもう一度完成形を確認する。

頭はさっきと同じだが顔の部分をデザインを変えて面にしてもらった。

基本は黒だが、目と口に当たる部分を白くデザインした。

目と口を少し歪ませて笑っているような感じに。


鬼「おお、イメージ通り!いい出来だわ」

ア「しかし…なんだこの顔。気持ち悪いぞ?」

鬼「地球だとクラウンっていうのよ。ピエロの方が有名かな?人を笑わせる道化師っていうんだ」

ア「笑わせる?これがか?…子供とかだと泣くんじゃないか?」

鬼「そうなのよ。この怖さ加減が欲しかったのさ。前に自分の兄弟が言ってた。

ピエロは見てるとなんとなく怖いってな。何でだと思う?」

ア「何を笑ってるか分からないから?」

鬼「そうらしい。兄弟も言ってたわ。狂気すら感じるって言ってね。

だからいいのさ。自分はこの世界の全てを笑いながら否定してやる。

笑いながら、狂ったように…とまぁ、そんな感じで行くから。

これからこの鎧出すときは必ずこの面も出してね」

ア「分かった分かった。全く気持ちの悪い…」


魔族界を移動しながら適当な獲物がいないかと探し回る。

魔族といってもすべてが有用な武器に使える訳でもない。

それなら他に使える物に使いたいが、現時点そのための職人はいない。

どっかに無職で困ってる職人とかいないかな。


?「キャァァァァ!」

鬼「何だ?こんな所で女の子の悲鳴?」

ア「これは…向こうから近付いてくるな」


悲鳴と一緒に樹をなぎ倒す音も聞こえてきている。

音はどんどんこちらに近づいてきて、段々正体がはっきりしてきた。

最初魔族界で見たサンドスネークだ。獲物は…ああ、やっぱり女の子か。


鬼「あれ?あいつひょっとして…」

ア「サイズや鱗の色からしてもお前がぶっとばした奴だと思うぞ?」

鬼「あ、やっぱり?しゃーない、助けますか」


まさか、あいつとこんな短時間に二度も会うとは…

やっぱり、最初に倒しておくべきだったな。

とりあえす、女の子には危ないからどっかに行ってもらおう。

とりあえず一回あいつには止まってもらおうか。

そこらへんに転がっている樹を持ってみる。


鬼「おお、大木一本片手で持てるんか。こらすごいなと!」


持った樹を蛇めがけて思い切り投げつける。

ことのほかスピードの乗った一投。顔面にクリーンヒット!

サンドスネークは数mほど後退し倒れこむ。襲われていた少女は起こっている現状に戸惑っている。


鬼「そこの女の子!危ないからこっち避難しなさい!」


こちらの呼びかけに一瞬動きが止まるがすぐにこちらに走ってくる。

ある程度少女が距離を取ったところでこちらも最後の片づけをしますか。

蛇に近づくと樹の一投はそれなりにダメージがあったのか、起き上がってもフラフラしている。

蛇の急所というのは知らんから…顔面でいいな。


鬼「では今度こそさようならだ!!」


胴体を蹴りつけ、頭が下がったところで顔面を連打!!

ドンドンドンドン!!!!!

リズムよくボコボコニしていると体から動きが消えた。

拳を止めて顔に近づくも反応なし。死亡確認と。

体を掻っ捌いて心臓から魂石をゲット!これでマシンの動力確保だ。

後はさっきの少女の保護だ。こんな所に一人で置いていくのは流石にまずい。

周りを見渡すと少し離れた所からこちらの様子を窺っている。


鬼「お~い、こっちおいで!もう片付いたから」


こちらの呼びかけに応じる様に、少女はこちらとの距離を詰める。

ただ、その歩みは中々に遅く警戒しているようでもある。

近づくにつれてその子の容姿が見えるようになったが…なんだあれ?

肌は褐色で髪の色は真っ白。年齢は10歳そこそこだろうか。

そこまではいいが一番びっくりなのは額だ。数センチほどの青い石が埋まっている。


鬼「ありゃなんだ?」

ア「そうか、魔族界に子供だからおかしいとは思った。あの子は妖族だな」

鬼「妖族?聞いたことないぞ?」

ア「魔族と違い、そこまで人間の敵というほどではないが…

文化の違いと身体的構造。様々な面で人間族とは折り合いが悪い。

中には出会えばお互いに殺しにかかるくらいの奴も居るだろうて」

鬼「ふ~ん…敵じゃないならいいか」

?「貴方どこの村の人?」

鬼「村?いや別に何処と言われても…」

カ「私、ユリウス村のカミラ・バボラーク。貴方は?」

鬼「はぁ…キリュウです。どうも」

カ「そうだ、お礼もしたいし村まで送ってくれない?」

鬼「御礼?いや別にそこまでしなくても…」

カ「いいじゃない。お礼もそうだけど送ってっていうのが本音なの。

逃げていいるうちに村から大分離れちゃったし…また襲われるのも怖いし」

鬼「そういう事ね…まぁ、いいか。じゃあ案内してよ」

カ「は~い」


言われるがままに軽い保護者役を仰せつかった。

確かに子供一人歩かせるにはここは治安は悪いだろうが…

それ以前に妖族と人間て仲悪いんじゃないのか?何でこの子は自分を怖がらないんだろうか?

目の前で魔族を素手で殺した自分を。う~ん…分かんねぇ。

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