十六話目
若干騒動もあったが昼飯も終わったし店に戻りますか。
店に入ると言われた通り、査定は終わっていて支払いの段階になっていた。
バ「お前ら何を店で騒いでんだ?ここまで騒ぎが聞こえたぞ?
鬼「失礼な奴だったから少々教育をね」
バ「全く…あまりめんどくさいのは勘弁しろ。とりあえず査定の結果を伝えるぞ。
剣は一本三百万、槍は一本二百万、双剣は一組二百五十万、棍は一本二百八十万、
ハンマーは一本四百万、バトルアックスは五百万。これでいいなら契約書にサインしてくれ」
鬼「え~と…全部で…二千四百の二千の五百の千四百の千二百、最後に千か。
合計が、八千五百万ディアか。どうなの?相場通り?」
エ「いや…あまりにも金額がデカすぎて判断が…」
バ「素材の魔格、武器としての出来の良さ。まぁ後は少し色を付けてあるが、大体こんなもんだ。
エルト、これでいいか?」
エ「え?あ、はい…じゃあサインすればいいんだね」
渡された契約書にサインをして、武玉に報酬金が振り込まれた。
八千五百万がどういう金額かは知らないが…多分大金なんだろう。
エルトがもうどうしていいか分からず、挙動不審だ。
宝くじに大当たりした人間てのはこんな感じなんだろうな。
さてさて、とりあえず資金は手に入った。これを今使うのは簡単だが…
目的のためにこれからいくらかかるかさっぱりわからない状況だ。
手持ちの資金が多い事には越した事はない。もう少し増やしておくか。
鬼「エルト、もう一回魔族狩ってくるからそれまた武器にして。
それが終わってから次の段階に移行。いいかな?」
エ「もう僕は君に全部任せるからいいけど…本当にそんな事やるの?」
鬼「しゃーないじゃん。自分ギルド側からは嫌われちゃってるし。
向こうが仲間に入れないって言ってんだ。後はこっちが勝手にやるだけさ」
エ「分かった、もう聞かないよ。じゃあ僕は家に帰るよ。キリュウは?」
鬼「飯も食ったしこのまま行ってくるわ」
エルトとは街で分かれてそのまま魔族界へ。
前のが魔格が全部6。今回もそれ位で狙っていきますか。
魔族界への扉の前に着くと以前と同様守衛がこちらに気付いたが…
なんだ?今回はやたらと人数が多いが?
守1「おい、皆!こいつだぜ!この門を一人で開けた奴!
武器からの力も使わずにだ!しかも入ってしばらくしたら魔格6の魔族を三体も狩ってきやがった!」
守2「てことはこいつが今噂の素手の無契約者?黒服と黒鳥。噂通りだな」
守3「すげぇな!6を三体!いや、大したもんだな」
鬼「あの、ここ通りたいんだけど?」
守1「おお、すまなかったな。おい、門を開けるぞ!」
そこにいた守備隊員数名がかりで扉を開ける。
ああ、さっき言っていた力云々というのはこの事か。
扉が開き、いざ魔族界へと侵攻…とその前に標的はすぐそこにスタンバイしていた。
数mはあろうかという大蛇。コブラのように両脇に広がる顔。
隊員たちのそれなりの慌てぶりからするにそこそこの魔格はあるようだ。
守1「総員、先頭配置!左右に広がり決して顔の正面に立つな!
胴体のしなりにも気をつけろ!動きに巻き込まれると死ぬぞ!」
鬼「これ何?」
ア「サンドスネイク。土中をかき分けて移動する見つけるのにそれなりに厄介な魔族だ。
魔格は4。ただし武器なんかの素材にはならんぞ」
鬼「じゃあ殺すのはやめだな。めんどくさい」
守備隊員が慌ただしく距離を取っているところをかき分けて蛇に近づく。
こちとらさっさと行きたいのにこの蛇は出鼻くぢきやがって。
守1「おいあんた!何してる!?正面は危ないぞ!」
一人の声かけに応じる様に蛇はその大きな顎を開き丸のみの態勢に入る。
これだけでかい蛇なら人間一人位余裕で食えるだろうな。
「シャアァァ…」
開けた口がエライスピードでこちらに突っ込んでくる。
そういえばこいつの攻撃はこの服耐えれるのか?
アレイスが何も言わないから鎧は装備してないけど…
とりあえず、攻撃は躱そう。一か八かで怪我したくないし。
突っ込んでくるのを少し後ろに下がり躱す。
そのまま地面に潜ろうとする尻尾を掴んで全力で引っこ抜く。
こいつは地面に潜られると発見が困難だという。であるならば地面の上に居てもらわないと。
ただ、殺しても素材にならないというならば…退場していただくとしようか。
鬼「じゃあ、またな!!!」
力いっぱい引っこ抜いた後は魔族界の奥深くに放り投げた。
向こうには空を飛ぶことができないため、何も抵抗できずにそのまま飛んでいく。
漫画とかなら星になってキラーン!みたいな効果音もついてくるだろう。
鬼「おお!結構飛んだなアイツ!距離測ればギネス行くんじゃないのか!?」
ア「いいのか?折角の獲物を」
鬼「いいのいいの。今は武器の素材集めに来てるんだから。
使い物にならない魔族は要らない」
ア「だが、魂は取れたぞ?それもいらないのか?」
鬼「あ」
ア「まぁ、いい。あの程度の魔族ならどれだけでもいる。
もっと奥に行くとするか。…他の人間が見ている、鎧の装備はもう少し奥に行ってからにしよう」
守1「はぁ~…ありゃ何だ?魔族放り投げる奴なんか初めて見たぞ」
守2「あれが評判の無契約者ですか。本当にあれ人間技なんですか?
神との契約もないのに」
守1「細かい事は分からんが…命の恩人であることには変わるまい。
アイツのおかげで魔族との戦闘が一回減ったんだ。儲け物だと思え。
さぁ、他の魔族が来る前に門を閉めるぞ!一匹でも入られたら俺らの命でも償えんと思え!」
守「「「「了解しました!」」」」