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十四話目

魔族の素材を渡して早幾日。一日中の作業でもまだ素材は半分以上残っている

出来たものは剣が5本、槍が4本、双剣が2組、棍が2本。

これが早いスピードなのか、遅いスピードなのかはよくわからないが。

工房内は結構ソウルマシンが入っていて意外にも近代的だ。

もっと原始的にハンマーで叩くとか、石で磨いたりとかするのかと思ったけど。

そこら辺の作業がマシンでかなり時間短縮できてるし。体力面でも大分負担は減るな。

これだけのマシン揃えるのに結構金かかってんじゃね?


鬼「ここって結構マシン入ってるけど、何処の工房もこんなに設備揃ってんの?

エ「いや、そんな事はないよ。父さんが積極的に設備投資してたみたい。

仕事も結構数があったらしいからね。マシン化できる所はして生産性上げてたみたい。

それでも最終的には職人の腕なんだけどね。

でもこれだけのマシンを動かせるのもキリュウがあれだけの魔族の魂を持ってきてくれたからだよ。

あの質の魂をギルドから買うとなると幾ら掛るかわからないからね」

鬼「そういえば魂なんかどうやって取り出すんだ?」

エ「魔族は死後心臓に魂石という塊を残す。これに魂が宿るらしいよ。

これを加工してソウルマシンに装着するとマシンが動いてくれるってわけ」

鬼「…魂の方はしばらくはマシンの動力として確保しとくか。

魂の売却はもう少し後になりそうだな…親父さんに感謝だな。

こんだけのマシンおっかなくて金額聞くのも空恐ろしいわ。

でも…例の弟子とやら何でこのマシン置いてったんだろうな?流石に気が引けたか」

エ「これだけのマシンを運ぶと時間と手間がだいぶかかるからね。

折角自分の工房を持つんだもの。新品のマシンを揃えたと思うよ。

中古のボロイマシンなんか誰も欲しくは無いでしょ」

鬼「まぁ、なんにしても感謝だよ。置いてってくれたことにはね。

とにかく作業頑張ってな。高品質な武器を頼むぞ。高く売れるようにな」


中にいても邪魔になるだけなので外に出る。

素材の使用状況でも見ますか。今の所、動力も素材も問題はなさそうだ。

ただ、ここ数日やる事もないので少々手持無沙汰というのもある。

そろそろ魔族界にでも行って狩りでもするかな?

外の素材置き場に近づくとそこには男性と女性が立っていた。

男性の方はそれなりに整った身なりだ。そこそこの生活水準という事だな。

まさか、素材泥棒か?泥棒なら身ぐるみ剥いでボコボコだな。

…こんな身なりのいい泥棒がいるのか?


鬼「おい、あんた達ここに何か用事か?」

?「失礼だが、君は?」

鬼「あ~…ここで居候している身でね」

?「黒い服に黒い鳥…リアム様、彼は今噂の無契約者では?」

リ「何?…まさか君がこの魔族を狩ったのか?」

鬼「キリュウだ。無契約者なんてくそみたいな呼び方は二度とするな」

リ「それは失礼した。私はリアム・スウィニー。彼女はセレスト」

セ「初めまして。セレストです」

鬼「どうも、初めまして」

リ「質問に答えていただきたい。これは貴方が狩ったものですか?」

鬼「さて…初対面の貴方に話さなきゃいけない事でもないだろ?」

リ「では質問を変えます。仮にあなたが狩ったとして、どういう経緯でこれを狩りましたか?」

鬼「経緯?そんなこと聞いてどうすんのさ?」

リ「それもお答えいただけませんか?」

鬼「義理は無いでしょ?」

リ「…分かりました。ではこれで失礼します」


訳の分からない質問だけ残し、二人は足早に去って行ったが…本当にどういう用件だったんだろ?

素材を食い入るように見てたけど、そんなに珍しい物でもないだろ?


鬼「なんだ、あいつら?エルトに会いに来たんじゃないのか?」

ア「素材だけ見て帰り負ったな。確かにどれも魔格は6でそれなりに高価な素材ではあるが…

鍛冶職ならそんなに物珍しいという訳でもないだろ」


流石に気になるな…エルトに聞いてみるか。

工房の中に入り、作業中のエルトの手を止めさせて話を聞くことに。


鬼「今さ、男と女の二人組が来たんだけど心当たりある?」

エ「二人?男と女の?さぁ…知らないな」

ア「カミラとリアムと名乗っていたぞ?」

エ「リアム!?あいつが来たのか!?何しにだ!何を言ってた!?」

鬼「いや、特には…ただ外の素材をえらく珍しそうに見てたけど…」

ア「おい、どうした?珍しく怒ってるじゃないか?あの二人がどうしたというのだ?」

エ「女の方は知らないけど、男の方はよく知ってるよ。…僕の復讐の相手だ」

鬼「ああ、なるほど。そらこうなるわな」

ア「そうなると、ますます意味が分からん。何しに来たんだ?」

鬼「外の素材の事ばかり聞いてきたぞ?お前が狩ったのかとか、どういう経緯で狩ったのかとか」

エ「ああ、そういう事か。…外の素材をさ、闘人ギルドに依頼したら幾ら位かかるか分かる?」

鬼「さぁ」

ア「人の事は知らん」

エ「一体数百万単位、全部で一千万単位になると思うよ。状態も結構いいしね」

鬼「あ、そうなの。で?」

エ「考えても見てよ。僕は修行を修めてやっと帰ってきたばっかだよ?

駆け出しの職人が頼める依頼じゃないのさ」

鬼「ああ、それで素材の事ばかり聞いてたのか」

ア「だが、あれは来てたまたま見つけた物だろ。本来の目的は分からずじまいだ」

エ「それもそうか…僕に用だったんだよね?」

鬼「ここにお前以外に用事のある奴がいるのか?」

エ「キリュウとか?」

鬼「自分はここにきて日は浅い。ここに自分がいるという事自体知られては無いだろ」

ア「…この話はもういいだろ。私たちが喋ってても分かるわけもない。

エルト作業の方に戻ってくれ」


外に出てもう一度素材置き場の所に戻る。

流石にもういないか。何し来たのか聞きたいとこだが…

既に捨てた工房だ。今更何の用事だろうか。


鬼「あいつ結構いい服着てやがったな。それなりに儲かってるってとこか」

ア「既に実績のある工房で客もいたんだろ?

それで儲かってなかったらアイツの腕が悪い」

鬼「でも、名字が有るんならあいつも鬼以上だろ?なんで職人になったんかな?」

ア「すべてが魔族と戦う道を選ぶわけではない。

今までも聖や龍でも普通の人間として暮らす道を選んだ者も居る。そこら辺は本人の自由だ」

鬼「国としてはかなり痛手だろうな。そんな高位契約者が普通の道選ぶってのは」

ア「だが、無理矢理という訳にもいくまい。意志の無い者が戦場に行っても死ねだけだ」

鬼「ん~…色々気にはなる所だが、この話はこれで終了!エルトの邪魔になるだけだ。

今の作業が終わるまでエルトには専念してもらわないと。

残りの素材も武器にして、さっさと売りたいしね。金が無いと何も出来ん」


とはいうものの人間そう簡単に切り替われるわけもない。

ましてや怨みの張本人が来ちゃったんだもの。もう少し後のタイミングで来いよ~。

作業が止まったらどうしてくれんだよ!!

とにかく、そこら辺の細かい事情は今後調べますか。

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