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十三話目

エ「嘘~!?マジで!?こんだけの素材なんか見た事ないよ!」

鬼「そうだろうそうだろう?こっちだってそれなりに苦労したんだぜ?」

エ「鋼狼ガルダスに牙豪猿シガイダ、高鬼族のグルイバス!

武器にはもってこいの素材ばかりだよ!状態も凄くいいよ!毛や鱗なんかで防具も作れる!

…よく分かったね?これだけピンポイントで使える素材ばかり。

それにどうやってここまで運んだのさ?」

鬼「自力で担いで来たに決まってんじゃん。あ~、肩凝ったわ」

エ「担いだ?この重量を?…常識外れもそこまで行くとどう驚けばいいかわからないよ」

鬼「そして、魔族の情報を教えてくれたのは僕の相方の彼です」

ア「では自己紹介といこうか。何せ一つ屋根の下に住むのだ。

だんまりというのは私が疲れる。カラスのアレイスだ」

エ「………今これ喋ったの?」

鬼「喋れる鳥。珍しいでしょ?」

エ「まさか…魔族なのそれ!?動物で喋れるなんて魔族しかいないよ!?」

鬼「違う違う。こいつはこことは別の地域の鳥でね。この種族は知能が高いから人語を話すんだ」

エ「そ、そうなの?初めて聞いたよ?」

鬼「えらく個体数が少ない種族だからね。ほとんど知られてないってのはあるかな。

とりあえず自分の家族だからよろしくね」

ア「そういう事だ。安心しろ。人間を襲ったりはせん。見ての通り小さいのでな。

契約者相手にどうこうできるほどの戦闘力は無い」

エ「はぁ、よろしく…」

鬼「さてと、エルト君。君こんな事している暇はないんじゃない?」

エ「ああ、そうだ!今すぐ作業に入るね!あ~、もうたまんないなぁ!」


興奮冷めやらないという感じで素材の所に行き、必要な部位を切り取り作業場へ。

今まで碌な物を使えなかったんだものな。そら楽しいだろうさ。

しばらく、これで素材はいいだろうが…一つ問題が出てきた。

アイツの専門は武器の方で防具は不得手らしい。苦手な物を作らせて低品質な物作ってもな。

出来れば、もう少し人手が欲しい所だ。一人で作業するには大変だろうし。

防具の職人も欲しい所だ。スカウトしようにも人脈もコネもないし。

資金が出来てからスカウトといこうか。しかし、そうなると現時点である素材が無駄になる。


鬼「ん~…何処かに余ってる職人ていないもんかね。防具造りと武器造り。

やっぱり分担した方が効率はいいよな」

ア「それに今の状態ではもう一つのお宝の売却はどうする?」

鬼「魂だろ?そうなんだよな。魂はどこが買い取ってくれるんだっけ?」

ア「ソウルマシンを専門に作ってる工房だろ。そこ以外使い道は無いわけだしな」

鬼「…ここみたいな弱小工房って他にもないかな?

どの工房も資金潤沢で活気のあるってとこばかりでもないでしょ」

ア「それはあるだろうが…お前次は何をする気だ?」

鬼「少し工房ギルドに行ってみようか。知らない事には先には進められないし」





キリュウが素材を持って帰ってきてどれくらいの時間が経っただろ?

少し休憩がてらに外に出てみると外はもう夜だ。

うわぁ、こんな長いこと工房で作業したのなんていつ振りだろうか。

今まで端材でコツコツ作業をしてたのが嘘のようだ。


エ「今日はこれくらいにしてそろそろ今日はもう休もうかな。

そういえばキリュウは何処にいるんだろ?魔族界から帰ってきてから見てないけど…」


家の中を探したけれどもいない。こんな時間に何処に行ったんだろ?

少し遅めの晩御飯を食べていると彼が帰ってきた。


エ「遅かったじゃない、何処に入ってたの?」

鬼「すこし、工房ギルドの方にね」

エ「工房ギルド?あそこは依頼人の斡旋とか工房の管理とかしているところだよ?

何しに行ったのさ?」

鬼「まだ、考え中なんだけどね。魔族の体ってさ基本どんな職人も欲しい代物じゃない?

捨てる部分なんてあんまり無いってぐらいだしさ」

エ「それはまぁね。僕達みたいな鍛冶職はもちろん、毛や皮は服、肉や内臓は食料や薬の材料。

中には宝飾品に加工されるような魔族もいるらしいね」

鬼「現時点魔族の体は100%活用しきれているかといえばそうではないよな。

でだ、できれば仲間を増やして生産できる商品の多様化を図りたい。

ここに一大商会を創りたい。素材の確保、商品の生産、販売。

そこまでできたら面白いよねぇ」

エ「…君の話は本当にいつも突拍子もな話ばかりだね。

聞いた事の無い発想ばかりだ。本当に揉めるよ…」

鬼「今は確かに少数派だが…いづれ多数派になればこっちが勝さ」

エ「勝つ?一体何にさ?君は…何と戦うの?」

鬼「さてね…最後のは忘れてくれ。ではお休み」


部屋に戻り今後の事を考えてた。思わず出た言葉だった。勝つ…この世界に?国に?

ただ、この世界の常識通りにいくと言うのはあまり面白くは無いとは思う。

そうなると…闘人ギルドに断られてよかったかな?


ア「お前、あんな事を考えてたのか?」

鬼「ああ、結構面白そうだなって思ってるよ。武器が売れて資金が出来たらここの改築とかもね。

いずれはきちんとした店舗に作り替える。工房も人数が増えればデカくしたいしね」

ア「そんな、増えるか?あまりにも常識外れの話だぞ?ギルドも黙ってはいないぞ。

お前自分で言ったではないか。自分の利益を損なうものを人間は許さぬと」

鬼「そうだね。必ず横槍は入るだろうさ。下手すりゃ計画そのものが頓挫する事も考えてるよ」

ア「何だそれは?ではなぜこんな事をするのだ?わざわざあいつの状況も利用して」

鬼「ん~…実験、かな?この世界で自分の力がどの程度通用するのか。

常識無視はどの程度の反応が返ってくるのか。そんな所だね」

ア「巻き込まれたアイツが不憫だな。お前の復讐にまでかり出されて」

鬼「だから、可能な限り自分が表に立つ。

この計画がつぶれた時にエルトに迷惑がかからないようにね」

ア「そうならないようにしたいものだがな」



自分で言うのもなんだがこの計画にはかなり無理があるのは自覚している。

今あるギルド組織全体に喧嘩を打っているようなものだ。

どの程度の嫌がらせ横槍無理難題が降りかかるかは分かったものじゃない。

出来ればエルトにある程度返せる物が出来るまではなんとか踏ん張ろう。

この計画に巻き込んだせめてものお詫びとして。

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