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十話目

あの人間は頭がおかしい。これでも私は5神の一角だぞ!?

何処の世界に神様を敵中の視察に出すドアホウがいる!?

見つかればこの外見だ。正直何をされるかは分かったもんじゃない。

黒というのがまたな…選んだのは確かに私なんだが。

ア~…こうなるならもっと小さいあの雀とかいうのにすればよかったかな。

あれなら小さいし、色合いもこんなに特徴的ではないし。

まぁいい。さっさと終わらせて戻るか。

アイツの部屋は…おお、あれか。窓枠にでもとまれば声は聞こえよう。


受「よろしかったのですか?あれは最近噂の無契約者ですよね?

武玉に契約神もランクも表示されないのですぐにわかりましたよ」

オ「ああ、間違いないだろう。黒い鳥を連れた黒服の男。

あれだけ目立つ存在も珍しいな」

受「では何故登録させなかったんですか?街の壁すら壊せるほどの力。

我がギルドで持っていた方が何かと便利ではないですか?」

オ「…それだけではない。私が持っている情報ではあれは龍ランクすら殴り飛ばしたらしい。

教会に押し入った時にな。鬼や龍が大勢いる中であれは無傷で生還したようだ」

受「殴り飛ばした!?龍を!?であるならば実力は問題ないのではないですか?」

オ「教会長直々の要請だ。あれをギルドに登録させるなというな」

受「それはまた…何故?」

オ「聞いた話によると国王があれを欲しがっているそうだ。

それはそうだろう、それだけの力だ。国からすれば喉から手が出るほど欲しい。

だがあれは国に仕えないかという話を蹴ったそうだ。だがどうしても諦められない。

実力から考えてもあれが我がギルドに来るのは誰でもわかる。

ここで仕事が出来ないとなれば国に仕えると考えているのだろうな。

それらの国の状況を考えて教会長がそういった要請をしてきたのだ」

受「…しかし、それ程の実力者を全く使えないというのは勿体ないですね。

あれのもたらす利益は計り知れませんよ?」

オ「分かっている。だが現時点教会と揉めるのは面倒なのでな。

出来れば無契約者の方で何か行動してくれればこちらもそれに便乗できるのだが…」


なるほど、これはあのくそジジィの差し金か。そこまでしてあいつが欲しいとはな。

まぁ、分からんではないが…だがこうなると今後の動きには気をつけねばならんな。

最悪…あのジジィを消せば解決するか?とにかく、あいつに報告だな。




自分の所に戻ってきたアレイスが話した内容は大体理解した。

要はあのくそジジィが自分の力欲しさに就職を邪魔していると。


鬼「…あの時に消しておけばよかったかな」

ア「私と同じ発想だな。ある意味賛成だが、それはやめておこう」

鬼「だが…こうなると他のギルドにも話は行ってるな。

ギルドで働くというのがそもそも無理になったか」

ア「そのジジィがそこまでしてお前を欲しがるとはな。

多分、ジジィだけの感情ではないな。国からもある程度の圧力はかかっている気がするな」

鬼「国に仕えろって話しだもんな。…さてどうするかな…」


金無し、仕事も無し、就職にも希望が無し。

だが、それでもあのジジィに屈するのだけは我慢できん!

力っていう資本はあるんだ。元手は十分。後は…金にする手段か。



色々と考えながら歩いているとここには結構な数の人間が出入りを繰り返している。

身なりも多種多様だ。職人風の人もいれば、宝石なんかをつけた成金のような奴も居る。

全員さっきの受付の建物中に入っては書類をもってまた別の建物に行く。

もう一度さっきの建物に近づくとそれらが依頼人というのが分かった。

書類を持っていく先はここでほとんどの敷地を占めている工場部分だ。

ついていくと中には大量の魔族の体が保管されていて依頼人は必要な物だけを受け取っている。

魔族の体と言ってもすべてを使う訳ではない。

ほとんどは一部分だけを必要として、契約者から買い取り、他のギルドに売られる。

依頼の手数料にそういった不用品の販売。ギルドもがめつく儲けてやがるな。

このギルドが一番金儲けてんじゃねぇのか?

色々とぶらついていると工場をいくつも回って歩ている人がいた。

持っているのは…魔族の体の一部か?ギルドの職員に頭を下げて貰っている。

あらら、ほとんど怒鳴られて追い返されてるわ。貰えるのは…使えるのかっていう端材ばかりだ。

それでも貰えれば喜んでいる。何だあれ?依頼人て感じでもなさそうだし…

貰ったいくつかの魔族の体を台車に積んでエリアを離れていく。


鬼「あれ…何だったんだろ?依頼人とかじゃないよな?

客に怒鳴りつけるのがこの世界の接客ってんなら驚かないけど…」

ア「余った体の一部を貰って回っているようだ。ほとんど断られているみたいだがな」

鬼「この距離で声聞こえたの?すごいな」

ア「なんだ、あれが気になるのか?」

鬼「ちょっとねぇ…気になるから後つけてもいいかな?」

ア「どうせやる事もないんだ。お前の好きにすればいい」


後をつていくと人魔エリアにたどり着いた。自分が住んでた場所とは全く違うエリアだ。

だが、街並みはほとんど変わらない。彼も人魔クラスか。

人の多い場所からは少し離れた殺風景な所に彼の家はあった。

街中を歩く道中、彼を見て笑う人が数名いて、何かを言い合っていた


民1「おい見ろよ。あいつまた端材貰いに行ってたみたいだぜ?」

民2「依頼も出せない位金が無いなら自分の工房なんて持たないでどこかに就職すりゃいいのによ。

ああ、同じ鍛冶職として恥ずかしいぜ」

民3「あれだろ?確かあいつの父親があの工房をやってたんだろ?

親父さんかなり有名な鍛冶だったモンな。

父親が死んであいつが後を継いだらしいが、客皆持ってかれたらしいな」

民1「ああ、父親の弟子やってた奴だろ?そいつも上手い事やったよな。

師匠の名前使って客全部持って行って。弟子も全員自分の工房に引き入れたらしいじゃねぇか。

アイツが修行場所から帰ってきてやる頃には抜殻の様な工房しか残ってなかったんだろ?

工房なんか売っちゃって、何処かに入ればいいのによ」


なるほど、そういう経緯か。それはまぁ踏んだり蹴ったりな。

しかし、こんな言われ方してまで何でやってるんだろ?


鬼「それであんな使えるかどうかも分からない端材をね…」

ア「その弟子とやらが上手い事やったものだな。息子が帰る前に二代目を名乗ったという事か」

鬼「…すいません!!誰かいませんか!?」

ア「お前、アイツに用でもあるのか?」

鬼「まぁいいからいいから。お前は喋るなよ?怖がられるから」


少し待つと扉が開き、中からさっきの人が出てきた。

歳は自分とそんなに変わらないだろうか?

鍛冶職とは思えないような若干細い体つきだ。


?「えっと…僕に何か用ですか?ひょっとして、仕事の依頼ですか!?」

鬼「いや、違うよ。さっきギルドで見かけてさ。ちょっと気になって」

?「ああ、あれですか。すこし素材を分けてもらってたんですよ。

契約者に依頼を出せる余裕は一切ないので…」

鬼「なるほど…貰った素材は何に使うの?」

?「あれで商品を作って他で売ってるんです。そうやってお金を稼いでいつかは…

いや、こんなこと初対面の人に話す事じゃないですね。それで話は終わりですか?

作業を行いたいんですけど…」

鬼「確認なんだけど…依頼が出せないってのは金銭的な話?」

?「そうですけど…なんですか?」

鬼「提案があるんだけど…自分雇わない?」

?「……はい?」

鬼「いやね、さっき闘人ギルドに行ったんだけどさ。

登録を断られちゃってね。どうしようかなぁって考えてたのさ。

そこで思いついたんだよ。登録が駄目なら直に依頼人と会えばいいかなって。

だったらギルド通さなくてもいいじゃんて」

?「イイじゃんて…そんな話聞いたことないですよ!?ギルドを通さない依頼なんて!

無理ですよ!」

鬼「でもさ、君だってあんな端材みたいな物じゃなくてもっとちゃんとした素材欲しいって思わない?

今なら格安で雇われるよ?」

?「格安って…どれくらい?」

鬼「今家が無いんだよ。とりあえず衣食住確保できればそれでいいよ」


これが一応自分で考えた手段だ。就職できないならフリーランス。

自分で営業して仕事と給料を確保する。ギルドを通さないってのがどの程度まずいのか。

それは分からんが…こいつの顔はかなり話に乗り気だ。

自分の今の状況を打破するにはこれしかないとは思っている。

だが、前例がないというのはどこの世界の人間も怖がるのは当然だ。

さて、こいつは話に乗るのかな?

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