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九話目

契約者全員に渡されるという武玉。

身分証明と財布代わりというそれなりに便利な代物らしい。

ここの貨幣は全部コインか。確かに数を所持するには面倒だな。


鬼「ここではコインが金なんだな。あんまり大金だと持てないわな。

そういえばここの通貨は何なんだ?」

ア「ディア。1ディア2ディアと数える」


ここの通貨はディアか…それ以前に金なんか持ってねぇよ!よく今まで無一文で生活してたな。

なんとか手っ取り早くある程度の金を稼がないとな。


鬼「しかし、えらく便利な物が有るんだな。財布代わりに身分証明書。

それがこんな玉一つで出来んだもの」

ア「昔は無かった代物だ。兄弟方も色々やっていたらしい」

鬼「さてと、なんか仕事を探さないとな。何をするにも金は必要だ」

ア「そうだな…職に就くのが普通だがお前にそれは勿体ない。

力をフル活用出来るのが一番だろうな」

鬼「なんかあんのか?」

ア「この世界で一番金になる物は何だと思う?」

鬼「宝石?希少金属とか?」

ア「魔族だよ。体と魂を売るのが一番手っ取り早い」

鬼「それは何、適当に魔族をぼこぼこにすりゃいいの?」

ア「それが一番稼げる方法だな」

鬼「そらいいがよ、金に換える手段はどうすんだ?街中でポンポン売れる代物でもないだろ?」

ア「そうだな…ギルドに登録するのが一番早いだろう。仕事の受注や魔族の体魂の買い取り。

そういった雑務を一手に受けている。契約者は仕事に集中できるという訳だ」

鬼「しかし、そんな物騒なモン誰が欲しがるんだ?」

ア「様々だ。鍛冶ギルド、ソウルマシンギルド、建築関係ギルド、宝飾ギルド。

魔族の体や魂は人間達にとっては宝の山という訳だよ」

鬼「そういう事なら高位契約者にこぞってなりたがるのも分かるわな。

魔族ぼこってりゃ一財産か」


魔族を専門に扱うギルドは闘人ギルドというらしい。

魔族を扱うという危険な部署のため、人魔エリアからもかなり離れた外れにあるらしい。

そらそうだ。そんなもんが街中にあったらおっかなくて生活なんかできないって。

街を離れてかなり歩いたところにそれはあった

街を区切る壁が建設されており、外からは中は一切見えない。

入り口らしきものが見えたのでとにかく中に入ってみますか。



これは…工場か?大きなドーム状の建物がいくつも建ち並んで工業地帯というのが一番合うだろうか。

近づくごとに何かの叫び声やら鳴く声やら吠える声やら…騒音公害決定。

入り口のすぐ近くに集会所と書かれた看板のある建物にはいってみた。

建物内は受付が有るだけで非常に簡素な造りだ。

とりあえず受付行けばいいのかな?


鬼「あの…ギルドに登録ってここですればいいんですか?」

受「はい、ここで行います。新規の方ですね?では武玉を貸していただけますか?」

鬼「はい、お願いします」


ここでさっきジジィに貰った例の玉を渡した。

何かの機会に玉をはめ込み画面と睨みあう事数十秒。

段々と険しい表情になり何も言わずに奥に引っ込んでしまった。


鬼「…なんだろ?あの表情。すんごい気になる」

ア「一応聞くが…私のせいではないよな?兄弟達もこの姿にはそれなりに驚いてたが」

鬼「いやぁ、お前がおっかないってんなら会った瞬間に驚いてるでしょ。

画面睨んでたけどこの玉に問題あんじゃねぇの?」

ア「あんのくそジジィ、不良品掴ましたか?」


暫く待っていると先ほどの受付の女性ともう一人、男の人が出てきた。

身なりがそれなりに整っている。こら、それなりの立場の人間だな。


?「失礼。私この闘人ギルドの長をしております、

オリバー・ライフェンと申します。キリュウ殿ですね?」

鬼「はいそうですが…何か?」

オ「申し訳ありません。我が闘人ギルドは契約者のみ登録することができます。

ですので、無契約者の方は登録できないのです」

鬼「あ~…そう来たか…いや、これには事情がありまして。

自分戦闘には自信があるんですよ」

オ「それが基本ルールになっていますのでご理解ください」

鬼「いや、何かテストでも」

オ「お帰り下さい」


ギルド長だか何だか知らんがあいつ嫌いだ!!

テストも何もしないでこっちが無契約者ってだけで…この世界では十分か。

しかし、弱ったな。これで金を稼ぐ方法が閉ざされたと。

なんか、普通の職にでもつくか?


鬼「なぁ、どうする?これじゃあ一般職しか就職できそうにないぞ?」

ア「…アイツおかしいな」

鬼「あいつ?あのギルド長か。そうなんだよ、あんの頭でっかちが!

少しはこっちの力を見てから決めても…」

ア「そうそこだ。私がおかしいと言っているのは」

鬼「ああ?」

ア「確かにお前は表向きは無契約者だ。多分あの武玉にもその旨は載ってるんだろ。

だが、お前のある程度の力も噂にはなっているはずだ。あの壁も民衆の前で壊しているしな。

ましてや、あれは闘人ギルドの長だぞ?そういった契約者絡みの情報は細かく把握しているはずだ。

なのにだ。今巷を賑わしている無契約者がここに居るんだ。その力がどの程度なのか興味はあるはず。

それをさも迷惑だとばかりにこう追い返すというのはどうにも腑に落ちん」 

鬼「そうだよな…龍ランクを潰した件はともかく壁壊しの実績はあるんだ。

全くの無能って決めつけるのはどうだ?」

ア「多分何かの事情があるはずだ…」

鬼「少し中を探りたいな。でも自分行ってもまた追い返しを…」

ア「そうだな…何だ?なぜ私をじっと見るのだ?」

鬼「お前ってさ自分から離れることは出来るの?いつも肩にいるけど?」

ア「いや別にどんだけ離れても問題は無い。肩は楽だから…ちょっと待て。お前まさか…」

鬼「分かってるなら話は早い!頼むよ~。情報が無いと動けないじゃん」

ア「…お前の世界では神を使い走りにするのが常識か?」

鬼「動いてるものは親でも使えってのがこっちの世界の常識」

ア「分かったよ。行けばいいんだろ行けば!」


ぶつくさと文句は言っているがどうにか行ってはくれた。

理由がこれで分かればいいんだけど…分かったところでというのはあるが。

しかし、力が使えないとなると…何ができるんだろう?

就職活動は嫌だぞ~。

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