ブラック俺がとった選択
〜1〜
もし安全に帰る事ができたら、まずネットで情報収集だ。
タクシーを拾って、人目につかないように、帰ろう。
なぜなら、俺は偶然にも大金を拾ってしまったのだから。
ざっと見積もっても、一千万あると思う。
仕事の帰り道、駅のトイレで、緑のボストンバッグを見つけてしまったのだ。
しばらく個室に篭って、人気が去るのを待った。
誰も外にいないのを確認して、逃げるようにその場を去った。
ボストンバッグを抱えたまま。
無事に家に帰る事に成功し、改めてカバンの中の大金を数えた。
お金の他に、青い封筒が入っていた。
封筒の内容は、
「このカバンを拾った方へ〜」
という内容だった
〜2〜
いま全体の約50%程のお金を数えたところだ。
一千万は超えていた。
それと手紙の内容は、
一部のお金を、とある海の家に届けて欲しいという内容だった。
赤の他人が、この金を拾う事を想定していたのだろうか。
どんな意図があるのだろう。
謎が多すぎる、信用していいのだろうか。
このまま全額もらっても、ばれないだろう。
偶然にも、手紙に書かれた海の家は、青春時代にアルバイトに行った事がある場所だった。
〜3〜
海の家ローカルルールに、翌年は客として顔を出す慣例があった。
俺もバイトしてた翌年、彼女を連れて挨拶をしている。
緑色の小さな小屋で、若い男女が元気に働いている。
割と人気店なのだ。
日焼けで、真っ赤になった事が、今ではいい思い出だ。
大金と海の家の関係がよくわからない。
誰のお金で、なぜ駅のトイレにあったのか?
どんな意図があるのだろう……
〜4〜
考えられるのは、この金は非合法のお金で、
俺は、ただの運び屋にされたのかもしれない。
または、この金は、何かの恩返しで持ち主は、何らかの事情で持っていけない。
それよりも、このままネコババする選択肢も俺にはある。
困った困った。
金は欲しい。
それと、謎が多すぎる。
ブラック俺が、さっきから謎がネコババをすすてめくる。
欲望に耐えられない……
届けるか届けないか、白か黒か、どうする俺。