表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灯火  作者: 暦海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/15

……でも、なんでだろう。

「…………わぁ」



 それから、数十分ほど経て。

 少し肌寒くも穏やかな陽が心地の好い街を、エリスと共に歩く最中(さなか)のこと。

 ふと、感嘆を洩らす。そんな私の視界には、ガラスに映る衣服の数々。赤、青、白、黒、さまざまな色の可愛い服が、私の目をぐっと惹いて――


「……入るか? ソフィ」

「……へっ? あ、ううんいい! ちょっと見てただけだから」 

「……そっか。でも、俺がちょっと入ってみたいんだ。だから、もし良ければ付いてきてくれないか?」

「…………エリスが、そういうなら」

「サンキュ。それじゃ行くか」


 そう、柔和な微笑で告げお店へと入っていくエリス。そんな彼に、心の中で謝意を告げつつ軽い足取りで付いていった。




「…………うわぁ」



 それから、ほどなくして。

 店内にて、感嘆の声が洩れる。さっきも似たようなリアクションで、我ながら芸がないとは思うけども、それはともあれ……うわぁ、すごい。やっぱり、綺麗な衣服(ふく)がいっぱい。


「――ねえ、エリス。これ、貴方に似合うと思う」

「……いや、俺には似合わねえだろ。それよりあんたの方が――」


 などと、ほのぼのと会話を交わしつつゆっくり店内を歩いていく。……うん、ほんとに楽しい。でも、これも私一人じゃきっとそうでもなかった。こんなにも楽しいと思えるのは、隣に――


「…………あ」


 すると、ふと声を洩らす。そんな私の目をひときわ惹いたのは、白と薄桃色を基調としたフリル付きの可愛い衣服(ふく)。それは、まるでさっきの――


「――これが、欲しいのか?」

「……へっ? あっ、いや別に――」

「……遠慮すんなよ、ソフィ。さっきのとそっくりだよな、これ。あんたがさっきじっと見てた、あのウェイトレスの制服(ふく)と」

「…………あ」


 すると、クスッと微笑み告げるエリス。……そっか、見ててくれたんだ。そして、気付いてくれてたんだ。私が、あの可愛い服に憧れていたことに。……そっか、エリスは――



「……実は、意外とコスプレ趣味?」

「そっかそっか、こっちの真っ黒のドクロTシャツの方が良かったか」

「ああ冗談ですごめんなさい!!」





「……その、ありがとエリス」

「……それはもう、何度も聞いたって。それより、あんたが喜んでくれたなら俺も嬉しいし」



 それから、しばらくして。

 朱色(あか)青色(あお)が織り成す綺麗な空の下を、ほのぼのとそんなやり取りを交わしゆっくりと歩いていく。そして、私の腕の中には先ほどエリスが買ってくれたあの可愛い衣服(ふく)の入った白い袋が。あっ、ドクロの方じゃないよ?


 あの後、再び十数分ほど店内を回り、その後は豊かな自然に彩られた大きな公園でゆったりと過ごして。以前から、エリスがよく一人で来ていたとのことだけど……うん、知らなかったな。ずっと住んでいた街のはずなのに、あんな素敵な公園(ところ)があったなんて。


 

 ……ところで、それはそれとして――


「……ん? どうしたソフィ」

「あっ、いや、なんでも……」


 そう、不思議そうに尋ねるエリス。と言うのも、隣を歩く彼を私がじっと見上げていたから。まあ、なにか用件があるわけじゃないんだけど……チラと、辺りを見渡す。すると、今もあちこちから視線が……まあ、私というよりエリスにだけど。


 ……やっぱり、目を惹くんだ。あの服屋さんでも、その前のカフェでもどこでも、周りに人がいる時は常にエリスには『そういう視線』が注がれているのが当の本人でなくても十分に感じ取れて。まあ、当然と言えば当然。私だって、最初見た時思わず息を呑んだくらいの美男子で――


 ……でも、なんでだろう。こんなことに……こんな当然のことに、こんなにも嫌な気持ちになってしまうのは。



 


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ