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最初の灯
初めての実証実験。春木が見たのは「技術」ではなく、人の笑顔だった。
「これで本当に届くのか?」
坂本祐介がスマホをいじりながら首をかしげる。
地元の公園は、マルシェで賑わっていた。
春木は緊張を隠せない。
「届きます。押すだけです。」
数秒後、キッチンカーの端末が震えた。
“新しい注文です”
「おおっ……! 本当に来たぞ!」
坂本が笑い、周りの客も覗き込む。
「なにそれ、並ばなくていいの?」
「そう、スマホで注文できるんだ」
列が短くなる。
春木はその様子を黙って見ていた。
ただ、人が“楽そうに”している。
それだけで胸がいっぱいになった。
夜。
缶コーヒーを片手に、春木は星を見上げた。
「たった一人でも使ってくれた。それだけで、十分だな。」
【作者より】
初めての「注文」。
それは、春木にとって“誰かが認めてくれた”瞬間でした。
次回は、商店街との出会いから、物語が大きく動き始めます。
▶ 「商店街の影」につづく




