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一人称の夜
誰もいない部屋で、画面の光だけが彼の証明だった。
夜中の2時。
小さな部屋に、パソコンの光がゆらめく。
「違う、ここじゃない……」
春木は独りごとをこぼしながら、コードを打ち直す。
ミスのたびに画面が止まり、ため息が漏れる。
けれど、そのため息の奥には確かな熱があった。
「人を待たせないって、こんなに難しいのか……」
ふと、画面が切り替わる。
小さな通知音。
「注文が完了しました」
一瞬、時間が止まった。
そして春木はゆっくり笑った。
「……動いた。」
部屋の静けさが、祝福のように広がった。
【作者より】
夜の静けさの中で、春木の中に少しずつ火が灯りました。
次回は、その小さな灯が“現実の誰か”につながります。
▶ 「最初の灯」につづく




