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次の町へ
通りが自立し、春木が見つめる次の風景。
旅立ちの朝、彼の胸に残ったのは「余裕」という言葉だった。
春木は段ボールを車に積み込んでいた。
川嶋とアミナが見送りに出る。
「本当に行っちゃうのね」
「ええ。隣町でも同じような通りがあるんです。
そこでも、“余裕”を作りたい」
アミナが笑顔で手を振る。
「次の町も、待たない町にするんでしょ?」
「うん。でも、焦らずにね」
河原と坂本も現れた。
「もう立派な“町の人”だな」
「みんながそうしてくれたんです」
春木は空を見上げた。
青い空の下、看板の旗が静かに揺れている。
「通りの時間、止まらないように」
そう言って笑うと、車のエンジンをかけた。
バックミラーの中で、仲間たちが小さく手を振っている。
春木は静かにつぶやいた。
「次の町にも、“人の余裕”を運ぼう」
車がゆっくりと走り出す。
風が通りを抜け、旗がやさしくはためいた。
それが、彼の“革命”の音だった。
【作者より】
ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
この物語は終わりですが、“待たない町”の想いは、どこかで生き続けています。
またいつか、春木悠真が別の町で登場できる日を願って。
――とむ




