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答え合わせ
成功の裏に残った“問い”。
春木はもう一度、自分の原点と向き合う。
夜の喫茶。
照明の下で、春木と川嶋が向かい合っていた。
「もう、通りは安定したわね」
「はい。でも……」
「でも?」
春木は少し笑って、カップを見つめた。
「俺、本当に“町のため”だけにやってたんでしょうか。
誰かに認められたくて、走ってた気もします」
川嶋はカップを持ち上げた。
「それでいいのよ。
自分のためでも、誰かが笑ったなら、それは正しいことよ」
アミナが片づけをしながら言った。
「春木さん、“待たない町”できた。でも、みんな“待つ”時間、まだ好きですよ」
「え?」
「誰かを待つ時間は、嬉しい時間。
仕組み変わっても、それ残したのが、春木さんのすごいとこ」
春木は目を細めた。
「……ありがとう」
雨音のような優しい笑いが、店内に広がった。
【作者より】
春木が自分と向き合う時間。
彼の“迷い”こそ、人間らしさの証だと思っています。
▶「次の町へ」につづく




