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町の時間
春木が守りたかったのは“効率”ではなく、“ゆるやかな時間”だった。
翌週。
市役所での報告会。
モニターにはデータが並ぶ。
「平均滞在時間+12分」
「通り内の回遊率+24%」
担当の小野寺が笑う。
「結果、すごいぞ。売上より、“町の時間”が増えてる」
春木は頷く。
「そうなんです。
人が待たなくなった分、話す時間が増えたんです。
“余裕”って、数字じゃなく人の目に出るものなんですね」
河原が静かに立ち上がる。
「通りが、昔みたいに温かくなった。
あんたの言う“町の時間”、確かに戻ってきたよ」
拍手の中で、春木は深く頭を下げた。
その胸には、長い夜を越えた重みと、確かな誇りがあった。
【作者より】
「余裕」は数字では測れない。
この回を書きながら、改めてそう感じました。
▶「答え合わせ」につづく




