よみがえる通り
再び人が歩き出す通り。
春木たちの“余裕の仕組み”が、町に根を下ろしていく。
春木は早朝の通りを歩いていた。
アーチの上に掲げられた旗が、風に揺れている。
「今日はイベント、混みそうね」
川嶋が笑顔でカップを並べる。
「でも、もう怖くない。予約の山も、みんな事前に整理してあるから」
昼すぎ。
通りを行き交う人の波。
誰も並んでいないのに、全ての店が忙しい。
「これが“回遊”か……」
河原が感慨深げに呟いた。
坂本が頷く。
「通りの時間が、戻ってきたな」
アミナの端末が光る。
「取り置き、全部終わった!」
歓声と笑い声。
春木は少し離れた場所でその光景を見つめていた。
「……やっと、形になったんだな」
夕暮れ。
通りの電灯が一斉に灯る。
柔らかな光が、アスファルトに帯のように伸びていく。
「春木くん」
背後から川嶋の声。
「ありがとう。あんたの“余裕”ってやつ、悪くないわよ」
春木は照れくさそうに笑った。
「いえ、みんなで作ったんです」
空の色が群青に変わる。
通りの光が、夜の町を優しく包み込んでいた。
【作者より】
通りが再び光を取り戻しました。
でも物語は、もう一歩先へ。
▶「祭りの本番」につづく




