競合の足音
“便利さだけ”を売りにした競合サービスが現れ、町の信頼が揺らぎ始める。
数日後。
商店街の掲示板に、新しいチラシが貼られていた。
「導入無料! 最短1日でデジタルオーダー導入!」
坂本が眉をひそめる。
「春木、これ……」
「ええ、競合です。“早くて安い”を全面に出してますね」
川嶋は苦笑いした。
「うちは“遅いけど優しい”だから、張り合う気もないけどね」
しかし、状況は変わっていった。
いくつかの店舗が「試してみたい」と離れていったのだ。
「結局、“効率”のほうが分かりやすいのよ」
そう言いながらも、川嶋の手は止まらない。
アミナが心配そうに春木を見た。
「負けちゃう?」
「いいえ。町の信頼は、速さじゃ買えません」
翌朝。春木は理事会で提案した。
「他の仕組みを悪く言う必要はありません。
僕らは“人の声が届くサービス”を守ります」
河原がうなずく。
「言葉で競うな。行動で見せろ」
その日、通りのホームページが更新された。
『この通りは、顔が見える便利を選びます。』
競合との戦いは、静かに始まっていた。
【作者より】
競合との戦いは、“理念の試練”でもあります。
町の人々の信頼が、春木を支えてくれますように。
▶「よみがえる通り」につづく




