2
本日2回目の投稿です!
「ふふふ、やっと二人っきりになれましたわね」
「良くないと思うんだけどなぁ……」
「あら、わたくしと二人っきりは嫌だと?」
「それはないんだけれど」
「ふふ、知っておりますの」
「そりゃあそうだろうね」
うふふ、と上品ながらもなんら悪びれないアネッサお嬢様に、クリスはジトっとした視線を向ける。目的地の間にある、とある街の宿であった。
ワンフロアを借り受けて、一行の宿泊場所にし、それぞれに寝室があてがわれた。女騎士が詰める寝室に、『プリンセスオーダー』が詰める寝室、そしてお嬢様、メイド達。クリスも同じように『プリンセスオーダー』と共に詰めようとしたのであったが……。
『クリス様はこちらですわ。お布団の中でも、わたくしを護っていただきたいですの』
どろり……、
シャーリーの鼻からは濃く粘ついた赤いモノが溢れてきた。
クリスははじめは固辞したのであったが、お嬢様の要望と、そして鬼気迫った様子で勧めてくるシャーリーの前では断りきれなかった。
『クリス様への依頼の一つは、わたくしの精神安定もありますの。夜は、護衛からわたくしの甘やかし係にお役変更ということですわ』
『なぁッ! なんて羨ましい……クソッ、貴族め!』
『狡いぞ! クリス、帰ったらオレにもな、オレにも~、オレの尻尾、抱き枕にしていいから~』
『それだったらあたしだって! あ、あたしの腹筋、良い枕になると思うんだけど、な?』
『あ、あはは、考えさせてください……』
クリスの戦いは、帰ってからが本番らしい。
そして当然、
『天国はここにあったのですね……』
シャーリーが満ちたりた顔をして天に召されていた。
そうしたワケで、クリスはアネッサと同衾することになったのであった。
そうなると当然、超肉食系お嬢様が止まることはなく。
「ちょっ、アネッサ様、駄目ッ!」
「善いではありませんの。それにお布団の中に隠れてしまえば、分かりませんもの」
「あっ、あっ、駄目、そこを握っちゃ……うぅっ、もっと慎みを持とうよォ、伯爵令嬢っ」
クリスの戦いは、今ここから始まるのであった。
「おはようございます」
「おはようございます、クリス様、昨夜はお愉しみでしたね」
「あ、あはは……」
「えっ、本当に……?」
ふぁ~っ、と、シャーリーの魂が抜けるのを、クリスはハッキリと目撃してしまったのだった。
◇◇◇
アネッサが『真実の瞳』にまつわる依頼を受けていた街へは、つつがなく辿り着くことが出来た。
――ひとまず、行きには何もなくて良かった。それで、これから先は依頼のあったところへと向かうんだよね?
アネッサの馬車が向かうがままに付いて行けば、そこには立派なお屋敷があった。
「ようこそ、おいでくださいました、ラスティア伯爵令嬢」
「ご依頼の件で参りましたわ。さっそく拝見させていただいてもよろしいですの?」
「――ええ」
とお嬢様は鹿爪らしく頷く。相手は、クリスから見ても、アネッサを怖れ、そして忌避している様子がありありと見て取れた。
――そうか、アネッサ様はこれまで、こんなものを受けて……。だったら、アネッサ様が求めてくれるのなら、ボクももっとそれに応えるようにしないと……。
そう、クリスが想っているのもアネッサには筒抜けなのである。
彼女ははしたなくも内腿をもじもじと擦り合わせてしまっていた。
「これは、発情している匂いだな」
ビクぅっ! と、ハクラの発言に肩を跳ねさせてしまいそうになるアネッサであったが、彼女はしっかりとそれは押し止めた。
依頼と言うのは、商会から横領を行った男の余罪を暴くことであって、それはつつがなく行われた。隠していたものを次々と暴かれて、そうして追い詰められていく相手を見れば、確かにこれは怖れられ、恨まれることもあるだろうな、とクリスには思えた。
『プリンセスオーダー』の面々には、アネッサのスキルについて話しても良いと言われたので話していた。
カーラは、
「すげぇな、相手の攻撃とか読めたらめちゃくちゃ強いな!」
ハクラは、
「え? 匂いを嗅げばだいたいわかるだろ?」
と、そのような反応であったため、アネッサもそれが分かっていたので話しても良いと許可を出したのだろう。
「クリス様はあれですわね、女難の相はありますが、出逢いには恵まれているようですわ。良い女難の相が」
良い難とは如何なるものか。
まあ、確かに、彼女達と出逢えて良かったとは思うが。
依頼を終えて皆で帰途に着いた。
その屋敷に逗留するように言われたが、それは固辞して街を経つことにした。そのためにもアネッサはさっさと本題を切り出したのであったろう。
そうして行きに泊まった宿に再び泊まってしっぽりとし――もうすぐ目的地の街であったのに、ワザと別の町に泊まった意味を、そこでクリスは気が付いた。あの屋敷に泊まらないように、一日で往復できる場所に宿を取るようにしていたのだと。そうしてラスティアの街への帰路を行っている時であった。
ハイオークの群れが現れた。だが、『プリンセスオーダー』を加えた護衛達は消耗もなく屠った。そして――。
「おや、助太刀する必要ななかったかな?」
「そうですね、素晴らしいパーティーです」
現れた二人組の冒険者パーティー。
赤髪赤眼の剣士と、狂戦士のフルフェイスの装備をしていたが、この声は間違いなく――、
――ジーナお姉ちゃんに、エレノアお姉ちゃん……。
クリスは思わぬところで、二人の姉達に再会を果たすのであった。
◇◇◇
端的に言えば、クリスのことは、お姉ちゃん達にかかれば即見破られた。
それで『プリンセスオーダー』の二人にもバレ、それから彼は女難の相の名の通りに皆から狙われることとなる。やがては他の冒険者にもバレ、ちょっとしたオプションが付いているくらい問題ないと、新たな性癖に目覚める者達も現れる。
スキル『姫騎士』に目覚めてしまった男の娘のクリス。
ちなみに彼が師事した師匠は、絶世の美女――に見える男性であった。クリスは師匠運に至るまで抜け目がない。
女の子達に狙われ、それでも冒険者として大成してゆく。
彼の冒険は、まだまだはじまったばかりである――。
ということで、以前掲載した時のまま、打ち切りエンドのままでの投稿となりました。
なんとか書き直せないかと思っておりましたが、結局書き直せず……。色々と画策しようとして一度消したのですが、そちらもそちらで上手く行かず、こちらに上げ直しておこうと思ってアップした次第でした。
そんな状態でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
ちょっとこちらのサイトでは更新しておりませんが、別のサイトで別の名義で投稿は続けております。
もしかしたら、見かけているかも知れない感じの知名度ではあります。
実は知られていることを願って。
お読みいただきありがとうございました!




