最後の国のカエル
その国は最後の国だった。
世界はなぜか滅びようとしていて、人間や他の種族はバタバタ倒れていく。
それで頑張って生きながらえようとしていた種族たちは、力を合わせて、滅びにあらがった。
皆を絶滅させようとしている悪と戦ったり、世界ごと引き裂くような大災害を防ごうとしたり。
でも、それでも敵わない。
みんなみんな、死んでしまった。
最後に残った、その世界の住人は、一匹のカエルを除いていない。
けれども、最後の時を迎える前にカエルは、別の世界からやってきた旅人に助けられたのだった。
その結果カエルは、生きながらえる事ができ、たくさんの冒険をしながら寿命をまっとうする事ができた。
そうして、長いカエル生を終え、死期が迫った時に、カエルは自分の世界に帰りたくなった。
きっと戻っても何もない世界だけれどーーと。
カエルは、最初からずっと助けてくれた旅の相棒と共に、故郷へ向かう。
やはりその世界には、誰もおらず、何もなかった。
けれど、カエルは自分がカエルではなかったことを思い出したのだった。
生き延びるために何でもやった最後の国の住人達は、自分達の体を作り替える事で滅びにあらがおうとした。
それが、カエルになる前の誰かだった。
その誰かは、どんなものになるか選べたため、カエルになることを選んだのだ。
いつか最後の国に来る前に生活していた、故郷に帰れるようにという願いをこめて。
しかし、カエルは体をつくりかえるときの事故で、記憶を一部失ってしまっていた。
だけど、死の間際になってその願いを思い出したカエルは、相棒に頼んだ。
本当の本当に自分の生まれた国へ行きたいと。
旅の相棒はその願いを聞き届ける。
そしたら、自分の体をその世界の一部へと作り替えた、顔も知らない同郷の誰かと再会する事ができた。
懐かしい思い出話に花を咲かせたカエルに、穏やかな眠気が訪れる。
カエルは故郷で生き残りに会えたことを喜びながら、自分の寿命を迎えたのだった。