第1話「最初の村と“神託”」
「……ここは、どこだ……」
目を覚ました俺――元トッププレイヤー《レヴナス》こと斉藤悠真は、目の前に広がる風景を見て確信した。
──ここは、《ファンタズム・オブ・ワールド》の世界。
だが、ゲームはもう終わっている。数年前に、サービスが終了したはずだ。
「創造主様、お目覚めになられましたか」
声をかけてきたのは、かつてチュートリアルで登場していたNPC「ミリア」。
しかし、彼女は以前のような定型文ではなく、生きた人間のように震えた声で言葉を紡いだ。
「長き眠りから目覚めし神よ。どうか、この滅びの世界をお救いください……」
……え? 神?
⸻
俺の脳裏に、かつて使っていたアバターのステータス情報が浮かぶ。
名前:レヴナス
種族:創造主
レベル:∞(限界突破)
スキル:バグ技含む全系統Sランク魔法
装備:イベント限定神器フルセット
まさか、俺のキャラデータそのままで転移してるのか?
だが、ゲームとは明らかに違う。風は冷たく、土の匂いがする。NPCも感情を持っているようだ。
これはただの夢じゃない。間違いなく「現実」として存在している。
「ここは“エル=ノアの村”。あなた様の目覚めを、代々の巫女たちが千年待ち続けてきました……」
「いやいや、千年とか……サービス終了してからそんな経ってないし」
「創造主様、失礼ながら、そのような謙遜はおやめください……!」
村に入ると、ミリアに連れられて中央広場に向かう。
そこでは村人たちがひざまずき、俺を見て震えていた。年寄りも子供も、誰もが「神」として俺を崇めてくる。
……やばい。完全に“救世主ムーブ”じゃねぇか。
「神よ、どうかこの村を……あの魔獣からお救いください!」
突如、鐘の音が鳴り響く。村の門番が血相を変えて駆けてくる。
「ま、魔獣だ!《断罪の獣》が森を抜けてこちらに……!」
《断罪の獣》。サービス終了前に追加された高難易度レイドボスだ。
その強さは、20人フルパーティでようやく討伐できるレベル。
「……マジかよ。いきなりチュートリアル超えてんじゃねぇか」
でも、もう逃げるわけにはいかない。
俺はこの世界で、“神”として振る舞わなきゃいけないらしい。
「……いいぜ。神様(仮)のお仕事ってやつを、やってやるよ」




