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オオバケ!   作者: 羽兎
第三章〜急襲〜
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星紋章の巻

最強格、登場

───司令塔地下一階、総司令室(モニター室)


 幾百ものモニターが天井まで張り巡らされた異様な空間。現在、『監視』としての役割から離れ、対策本部へとその趣旨が移り変わっている。



「……零細さん達!」


 『非常事態』。そう赤く点滅するライトの下で不安げに立つのは、18班離脱中の省吾。人数調整の為、司令部員として駆り出されている。




……ズズッ、


 一瞬だが省吾は、微かに地面が揺れ動くのを感じた。しかし数秒後、それは確信へと変わった。



……ぐらっ!


 部屋全体が、モニターと共に大きく振動した。モニターを取り囲むようにして、司令部員と共に配置されたパソコン全体にエラーコードが表示され、更にはモニターの電源まで消えてしまった。



誤算『消』(エラー解除)


 省吾の隣に座る一人の部員がそう唱えた。瞬く間にパソコンの画面が赤色から変化する。


「……流石ですね。(みもり)さん」


 省吾の同期、御霊 衛(みつも みもり)。司令部員所属の27歳。


「僕の真影、『誤算(エラーコード)』。初披露ですね」


 性格も口調も、非常におっとりとしている。


「すごいですよ、衛さん! それにしてもさっきの揺れ………」



 再びモニターが起動し、とある場面が映し出される。その有様に、省吾は茫然としている。

 

「…………地下トンネル、完全崩壊!」


 報告の声に順応し、中央モニターに拡大されたのは、砂塵が舞い上がる光景。正しく、猪狩達のいるトンネルであった。



「………………全滅か」



 中央モニター前に座る白髪の女が淡々と語る。


沙原(さはら)司令部長、ご冗談を」


 彼女の秘書であろう、銀髪の彼女がモニターを更に拡大する。その先に誰かが立っている。



「……遂今まで……隣にいた……よな……?」


 沙原の一声に沈黙が渡る。班員へと指令を出していた省吾も、モニターを見て言葉を失った。


「………!」



────まず右奥に見えたのは、崩壊の衝動に耐え切れず、満身創痍と化した護衛班。



────その真上に見えるのは、落ちることのない『止まった』瓦礫。




────そして左手前に見えるのは、両手に二人の男を抱える一人の男。




───地下トンネル、司令塔側入り口



 瓦礫の雨は降り続き、砂埃が舞い散り、辺りは霞んで先が見渡せない。



「おい……みんな、起き……ろ…………」


 猪狩は煙に目を瞑りながら助けを求める。しかし、辺りからは声……いや、息の音一つ聞こえない。


「……あ、これ………死……」


 彼は瓦礫と爆発の熱風に喉と肺を焼かれ、他の護衛班と同じく死にかけだ。


 

……ガラッ


 猪狩が倒れるのとほぼ同時、瓦礫の音が止まった。頭上には、今にも落ちそうな勢いの瓦礫が空中で滞留している。



……カラッ、ガラッ!


 すぐ先から誰かが近づいてくる音が聞こえる。


「───間には…………会ってない、か」


 一人の男が瓦礫を踏み荒らしながら猪狩の方へと近づく。片目には其々、黒と青の瞳が備わっている。


「…………お前達がいる場所は、ここじゃない」


 全身細い棘で覆われた畑端と雁野を猪狩の側へ置くと、男は何かを唱え始めた。





『…………解き放たれる汝の(ひかり)、赤く燃ゆるは月の神』


───ジジッ!

 

 一瞬、辺りに白い稲妻が走る。左手が薄いモヤに覆われ始めた。


『……万事唱する永遠の理、創造する偽りの楽園』



 左手のモヤは一層濃く、更には右手にまで拡がり始めた。男の体に二度、頭から電撃が走る。



『我その邪気を葬る者、深く陥る悪をも恐れる』



 モヤが目視で見えるようになり、全身が薄い光覆われる。細かい電撃は猪狩にも伝わってくる。


『承るは其方の告示、心に宿る子の魂』


───ジッ!


 唱え終えた男の足元に地面に星の紋章が現れる。白い光はより一層、強い輝きを発し始めた。


『十七・天舞万錠(てんぶばんじょう)




 男がそう唱えると猪狩と護衛班全員が鎖で結ばれ、地面に現れた紋章を介して姿を消した。


「…………後は」


 そう言うと、班員棟側の方に向かいながら、男も同じく姿を消した。




────班員棟側出口


「…………ダレだ? オマエハ!」


 その時、敵は豹変した。




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