岩魂の巻
そう、雀魂
───入り口から2km先……
「……多分ここら辺がな?」
トンネルが崩壊する直前、鷲上は既に敵の居場所の周辺と思われる場所まで辿り着いていた。途中の銃撃で左肩辺りの羽を負傷して血が滲み出ている。
──4秒……これは弾が届いてから、発砲音が聞こえた時間差の話。弾は恐らく小銃弾(つまり秒速900m)、音速は秒速340mでその差が4秒……
……計算すると、可能性として2kmが最適。小銃弾でおよそ2km……最早、真影以外の何物でもない攻撃だ。
(誰も奴の気配を感じなかった……それに弾の気配も……何かが引っ掛かる)
勘の鋭い鷲上は何か嫌な予感がしていた。そして、とある答えに辿り着いたのだが……
……ガラッ!
鷲上の随分と後……猪狩達がいる方から、何かが崩壊する音が聞こえて来た。後ろを振り返ると、元来た道が瓦礫で塞がれているではないか……。
「……地上が見える? 大分と後ろで塞がっとるんを見るちゅうに……アイツらの所か!?」
──トンネル崩壊場所付近(鷲上から約900m手前)……
トンネル崩壊は猪狩達の居るおよそ1.0kmまで広がる規模。その崩壊した付近にも、また銃弾が一個……鷲上を狙った弾が、まだ一弾落ちているのであった。
最初の弾が発射されてからの時間差は約50秒……およそ50秒後に爆発する。
鷲上はトンネル崩壊の原因を知らない為、この弾の脅威をまだ知る余地もないのである……。
「……しても何でおらへん? もう探し飽きたっちゅうに」
敵のいるはずの2km地点は既に超えている……その筈なのに見当たらない。
「……やっぱし、2人おるっちゅうのや?」
──1分前(トンネル崩壊時)……
「猪狩、鷹星! 上だ! 早くこっちへ来い!」
爆発弾を投げた鷹星に一番近かった猪狩の真上が崩落し、無数の瓦礫が落ちてくる……。
「紡糸! 届け! 2人共早くこっち!」
雁野の放った手と猪狩、鷹星までの距離は10m……瓦礫が落ちてくる直前で右手が猪狩達を捕らえた。冬香が瞬時に氷の部屋を作り、間一髪で猪狩達が引っ張られて来た。
「……怪我は大丈夫!? 2人共……」
「あぁ……ちょっと破片が飛んできただけで俺ら2人は大した怪我は無い」
数十秒後、崩壊の音が止んだのを聞くと一同は猪狩と鷹星を置いて外を確認しに行った。
「おい! ちょっと全員アレ見ろよ……弾打ってきた奴はひょっとして、アホなんじゃねぇのか?」
氷部屋から外に出た畑が指差したのは弾が飛んできた場所……つまり敵の居場所。崩れた瓦礫が壁となり弾丸が飛んで来るなど有り得ない有様だ。
「待って! 敵も流石に私達が死なない事くらい承知のはず……離れた方がいいと思いますよ!」
2mほど積もった瓦礫の隙間を覗きこんでいる鷹星にメルが忠告したその時だ。
……ガラッ!
「そうだ。離れた方が良かったかもな。だがもう遅い……俺の岩魂はもうお前を離さない」
瓦礫の幾分と向こう側から語りかけるような声……距離が大分と有りそうだ。
「まずは目……」
「……うあぁっ!?……痛ぇな!!」
鷹星は瓦礫に顔を埋めたようにして、零細が引っ張っても瓦礫から顔を離さない。
「どうした鷹星!? 誰かいるんだな! 待ってろ今……」
「……ダメだ来るな! こいつに飲み込まれるぞ! クソっ! 見えな……」
顔と瓦礫の隙間が殆どない為、零細には何が起こってるのか理解しようが無かった。
「全結界"サーチ"……うん。誰かいるよ! 誰か瓦礫崩して!」
「俺と畑でもうやってるよ! て言うか、石焼いた所で何もないよ!?」
畑の極炎は石を焼くだけで何も先へと進まない。
「うるせぇ! 他に対抗手段ある奴いるのかよ?」
「……無いけど! 鷹星さんしっかりして!」
「……俺はいいから続けろ!そして向こうから掘れ!」
「精々……俺を見つけるのに苦労するが良い!」
「うるせ! 黙りやがれこの! くらえ極炎!」
「ちょっ!? 何やってる阿呆! 俺の方まで来てるって……止めろ炎を!」
「さぁ……もうすぐ時間だ……」
瓦礫の下から血が滲み出始めた。他の面々は猪狩を連れて、一先ず瓦礫の側から離れ氷部屋に逃げ込む。
「…7…8……あれ? 1人足りない?」
人数を数え直す。やはり一人足りない。
同じく数を数えるメルが気がつく。
「そう言えば見てないですね……志喜夜さん」
あ、8人ってのは
猪狩、零細、戸愚呂、藤峰、羽外山、鷹星、メル、エネ
の事。
因みに
戸愚呂の憑依能力使えばいいじゃん!
と思った人。戸愚呂は相手の姿を見ないと憑依できません。そう言う設定です。
久しぶりに書いて更新遅れました。ではまた次回。




