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オオバケ!   作者: 羽兎
第三章〜急襲〜
36/47

時空消滅の巻

運命の、エンブレム

「猪狩……猪狩?」


 誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。ここは総合病院棟の303号室。現在猪狩がいる病室である。


(ん……? 誰だろ……というか体が動かん……)


 途中から記憶がない。確か富士谷に能力を解除してもらって……それから……?


「気づいたか……猪狩弘」


 どこからか声がしたので、猪狩はゆっくりと目を開けた。体を横にして見てみると、何と富士谷が椅子に座っているではないか!



「富士谷さん……? 生きているんですか!?」



「………」



 富士谷からは返事がなかったが、猪狩は少しほっとした。



「他の二人は……?」


 あの後、メルとエネはどうなったのか……猪狩は気になって富士谷に質問した。



「……横、って言うか真横」


 慌てて体を横に向ける。真隣のベットでエネが、その横の机にメルが寝ているのが見え、猪狩はまたほっとした。


「……それにしても戻ったんですね……本当に……」


「……そうだな」



……ザワッ


 富士谷の声に猪狩は何故か寒気がした。何処か……何かがおかしい様な……そんな不気味な声だったのだ。


「………あれ?」


 隣のベットからエネが目覚めた。いつの間にかメルも目覚めている。


「……メル、エネ……起きたか。4人で少し話をしよう」

 

「どこ……ここ、病院?」


 エネとメルが不思議そうに、同時にそう言った。


「そう言えば……ホントだ」


 富士谷に驚きすぎて猪狩はここが何処なのか、まだ気が付いていなかった。それどころか……何故ここにいるのか……何故自分の体が動きにくいのか……?



「今……夜の9時半だ。お前たちがここに運ばれて来て1時間が経つ」



「1時間……って事は……あれ? 8時半に着いた?」



「そう、お前達がここに着いたのは8時30分」



 裁判所突入が午後7時20分。そこで気絶したにしては間が長すぎる……。


「え、じゃあそれってまさか……?」


何かに気がついたのか、メルが少し驚いた口調でそう言った。



「そうだ。お前達が今いるのは……元の時間軸、つまり俺が死ぬ前の時間軸だ」





ー7:20


 猪狩が富士谷と接触した瞬間、富士谷の能力を解除する能力……"|時空消滅《disappointed》"発動した。裁判所からは忽然と猪狩、メル、エネの4人が姿を消して、一時法廷内は騒然としていた。



「猪狩……? どこ行ったんだアイツ!?」


 いち早く異変に気がついたのは零細だった。その1週間前、零細は富士谷と接触していた。







ー約1週間前(零細が猪狩を捜索しに行く直前)


 メルが他の任務で外出中、富士谷は一人で零細に会いに向かっていた。藤港のAF入口……古屋にて、二人は遭遇したのだった。



「貴方は……どこかで見覚えがある様な……?」



「久しぶりだな……零細君」


 どこで面識があるのか、久しぶりの再会に零細は動揺している。



「……猪狩弘を……か。遂に来たな……」



「ええ、やはり()()()の予言通りになりましたね。富士谷さん」


()()()の予言……。


「ふっ……そうだな。ようやく来た。この時が……」



「それに、あなたの最期の時も……」



「あぁ、その話をしに来た。私が最後にやるべきことを……お前に伝えに来たんだ」


「……? 俺に何かやれとでも?」



「いや、そうではなく……猪狩弘にな。ちょっと仕掛けて欲しいことがある」


「………? 危険事なら俺は嫌ですよ?」



「違う。このバッジだ」



 そう言って富士谷が零細に見せたのは『A.F』の文字が刻まれたエンブレムの様なもの。



「この中に俺の血を入れた」



「……? まさかそれって……」



「シアンの予言を見て気付いたことがいくつかある……特に猪狩弘、佐野惟兎……この2人」



「"猪狩"……やっぱアイツの事でしたか……」



「そう。予言通りに行くと、アイツは真影が芽生えない。だから……」


最後に、富士谷はこう伝えた。




「猪狩弘に授けるんだ。俺の力を……」















10話辺りに出て来たエンブレムは結局、防衛力なんてものはありません。詳細は次話に公開予定。


もう伏線だらけですね。

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