表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オオバケ!   作者: 羽兎
第二章〜真影〜
31/47

希望と絶望…第二章,完の巻

副編メインの、本編メイン

男に触れられた猪狩は、1時間前の世界に戻っていた。


「何を見せたいと……?」



───班員棟の地下通路。

 男が言うに、元々班員棟は地下にあったらしい。

 敵襲に備え、狭く複雑で行き止まりも多々ある"地下要塞"───長年使われていないからか、今はもはや幽霊屋敷の様相である。


「…………」


 猪狩が質問するも、男は頑なに無言を貫く。代わりに鳩が流暢に会話を交わす。


「ここが元18班係室…………私達の元事務所です」


 入り組む通路を抜け、一層暗い部屋に辿り着いた。男が扉の前で棒立ちしている。


「てことは、二人は元々…………同僚?」


「…………」


 今度は鳩の方からも返事が返ってこない。気遣いからか、猪狩が慌てて話題を逸らした。


「…………そもそも、何で鳩が喋ってんだ!?」


「それは……話すと長いですよ? 因みに私はメルです」


 鳩が男の肩を軽く叩いた。何故だろうか、猪狩の思いとは逆に、鳩が男を指示している。


「それに……お前誰だ!?」


 色々状況が飲み込めない中、説明皆無で連れて来られたことを猪狩は思い出した。まだ二人の名前も聞いていないのだ。

 鳩が軽く2回、男の口を優しく叩く。男は初めて口を開いた。


「富士谷です…………富士谷で結構です」



(何言ってるんだ…………?)


「ほら……ここです。着きました」


 立ち止まって目の前にあるのは、錆び古びた鉄の扉。到底二人では開けられようもない。


「長年内側から閉まってます……何故か真影でも開ける事ができず…………」


「そこで君の力を借りたい。猪狩君」


「…………え? 俺?」


 真影保持者でもない自分に何を任せるのか、猪狩は不思議であった。

 

「猪狩君。これを預……エネから頂きました」


 差し出された紙切れを受け取り、上からそっと広げた。


「まだ私達も読んでない。そう言う掟だ」


 薄く焦げた紙に3人が目を通す。小さく、3文字だけ写されている。


───予言書


「…………予言書?」


 訳もわからず、驚いた表情を見せる猪狩とは別に、二人は各々沈黙している。


「…………?」


 猪狩の方を見ながら、二人が同時に口を開ける。


「"定められし者"」


(……………………俺?)


「取り敢えずこれを読んで……」


 富士谷が猪狩に差し出したのは、雑な筆記体で書かれた…………再びの紙切れ。


「これは……?」


「AFの希望と絶望の書……シアンの予言」


───シアンの予言

 零細が以前話した、未来を予知する真影『絶対(エターナル)予知(フォーキャスト)』の持ち主、シアン。彼女が60年前に残した『秘匿』の予言書である。 

 手紙の存在を知る者はごく僅か。富士谷達はある目的のもと、この予言書を探し求めていた。

 

薄い予言書の巻頭に書かれていたのがこの一節。


───次世の(しるし)小半(こなから)。我天の神が全てを()に帰す…………


(……………厨二病?)


───しばらく続き、最後の一節。


───月満ちし天命の子ら。光を手にし、神を欺く愚者、新天の神となるであろう───


(そういや俺が生まれたの満月だったな……)


 偏りのある小説を熟読している猪狩。時間を要する内容でも、猪狩には内容が一瞬で読解できた。


「『これから"神"とやらを凌駕する真影を手にして、敵と戦え!』って言われても……な?」


「……はい。ですが猪狩さn……」


「待て、メル! これ以上彼にs……!」


「…………?」


メルは一度止まって、話題を微妙にずらして再び話し始めた。


「……これがシアンの予言の全容ですが、もう一冊別のg……!」


 メルが突然話を止める。猪狩を覗き込むその瞳の端には、半開きの扉が見えている。


…………ギ


「………?」


 猪狩達のいる扉の向こうから鈍い物音がし、メルと富士谷は扉の方を振り向く。視界に何かが映る前から、不吉な予感は猪狩に走っていた。


「…………動くな」


 首が170度手前で静止する。富士谷が10度先の何かを凝視しながら注意を促した。


……ギギギッ


 二人の前の重い扉が開き、暗い地下通路の中に光が差し込む。


……ドサッ


 眩しさに2人が目を瞑っている間、扉の反対側から、何かが倒れる重い音が鳴った。


「なんですか今の音……! 大丈夫ですか富士谷さん!!」



──────返事がない。


「富士谷…………さん?」


 寒気がより鮮明に、猪狩の全身を走る。首と体は俄然動かせない。

 

「富士谷さん……聞こえますか!!」


 力を入れると同時、猪狩の胴体が富士谷の方を振り向いた。


───それと同時に、扉の向こうの部屋に誰かが入っていった。


(誰だアイツ……?)


 注意を扉の奥に逸らした、その時だ。


「富士谷さん………? 富士谷さん!?」


 猪狩が振り向く時にはもう遅い。




 背中合わせに伝わる静寂……富士谷の姿がない。


















『死んでいた』という表現、敢えてです(流石に詳細書くのはヤバすぎるので)。



第二章、とりあえず終わり。

ここまでありがとうございました。 

またのお越しをお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ