真の証明の巻
絶賛、裁判中
「零細、異論はないか?」
零細が証人台へと向かい、満と入れ替わる。右にいた裁判官が、自身の腕時計をチラリとみた。
───18:50
「……はい」
(気のせいか……? 変な間があった様な……)
「それでは被告人の証人を改め、零細義隆を指名する」
まずは猪狩弘の本人証明から始まる。零細達は予め猪狩の過去を追跡し、証明となる猪狩への質問を作成していた。
手元に配られた質問票を見ながら裁判長が進める。
「………まず、この名前で間違いありませんか?」
零細が質問を始める。しかし、その目に猪狩の姿は入っていない。
「……はい」
「それでは生年月日をお願いします」
距離感が遠い零細に違和感を感じながらも、裁判を受け続ける。
「1985年……」
(───これが何の証明なのか?)
そう猪狩が思ったのは十問目辺りのこと。問われるのは猪狩の個人情報ばかりである。
───18:55分、11問目。
「15年前の2010年……」
聞き覚えのある日付が猪狩の耳に響く。数える間もない程、十五年前のあの日を思い出した。
「……植松事件について教えて下さい」
───目の前で25人が殺害……そのトラウマが零細からは消えていない様に見えた。
「あの事件…………」
猪狩が説明を始め30秒。零細が一人の裁判官に何か手で合図を送った。
「…………」
「……………………」
二人のやりとりには猪狩だけが気づいている。横目で怪しげに様子を伺いながら、話し方を変えずに続ける。
「………………」
トラブルが一つ……一ノ瀬の能力説明が厄介である。一触即発の状況で、猪狩は思考を巡りに巡らせ答えた。
「では次……」
(…………疲れた)
「2年前の11月11日…………どこで何をしてましたか?」
身に覚えのある日付に猪狩は再び震える。視線を横に逸らすと、猪狩の視界端に満が映った。
ー───全て打ち合わせ通りに───
(…………打ち合わせ?)
メモにそう書かれている。零細は横目でチラリと確認し、裁判官に再びサインを送った。
───時間がない、早くまとめて───
質問に答えながら、満が書いた文字に反応して、猪狩は手元の時計を確認する。
───6時58分
秒針が10を指す。零細は手元で小さくサインを送り続ける。
(そう言えばあの裁判官、一言も喋ってないな……?)
───それに、肩に白い鳩を乗せている。男は俯いた表情で、猪狩からは顔がよく見えない。
「…………次です」
比較的簡単な質問を猪狩に行う。
「…………
お疲れ様でした♪
二章残り2話位です。よろしくお願いします。
それではまた次回お会いしましょう♪




