A.Fの仲間達の巻
新たな、仲間
「…………着いた」
中央庭園。100年もの歴史がある、神无露町の観光スポット。そこも今や、水に沈もうとしている。
昼間はいつも人気が少ない。しかし、高台避難のため今は人で混んでいる。
「……ここで誰が?」
余りにも人が多い。本当にここが合流地点なのか、猪狩はそう思った。
「いや……こっちだ」
零細は庭園の端にある公衆トイレの方へと向かった。中に入るものの、誰もいない。
「……え?」
「こっちだ」
零細は奥から2番目の個室へと入った。周りを確認して、防犯カメラの赤外線センサーに目を当てて、こう唱えた。
「我ら集いし者、時は今来たり」
猪狩も防犯カメラの方を見つめる。辺りが白い光に包まれ、二人は赤外線センサーに吸い込まれる様に、公衆トイレから姿を消した。
────────
「ん…………?」
「気づいたよー!」
顔の上から女性の声が聞こえる。瞼が重い。
(何だ……? それに体も……冷たい?)
「あれ……? 俺は確か…………ここは……?」
ようやく目が開く。蛍光灯が強く照らす其処には、零細の姿もある。
「ここは私達の集合地。あなたも彼と、一緒に来たのよね?」
(そう言えばトイレに吸い込まれて……)
「零細と一緒に…………ところでアンタは……?」
「おい冬香………そろそろ警戒解いてやれ」
今度は少し畏る、男の人の声が聞こえて来た。
「はいはい……もう、わかってるってば!」
焦りながら彼女が猪狩の額にそっと触れる。猪狩の体から冷たい物が消え去り、飛び起きた。
「ごめんなさい! あなたが本物かわからないで……」
(…………ホンモノ?)
───部屋は広くて寒い。辺りは土で囲われている。
「すまん。一応ルールで……もしかしたら、知らぬ間にすり替わっている可能性もあるからな」
「別に……ここは…………?」
「ああ、緊急集合場所だ」
先程の威圧感のある男がそう答える。
「よろしくね〜、猪狩くん」
背中きら声がしたので慌てて振り向く。若い青年がそこに立っている。
────────
「……て言うか、お前ら自己紹介」
零細がそう言うと、先程の女から自己紹介が始まった。
「はーい! 私は藤峰冬香。よろしく、猪狩くん」
(……悪くないな)
何を査定しているのか、猪狩は藤峰を見て何か言いた気な様子である。
「よろしく……お願いします」
(……キャラ変えたな猪狩)
「あ、ハイハイ次! 戸愚呂ちゃん!」
藤峰の隣にいる、猪狩より年下の男にそう言った。
「私は戸愚呂……戸愚呂影」
(さっき警戒解けって言ってた…………)
猪狩はどこか不穏な空気を彼から感じ取った。
「あの……よろしくお願いします」
男は黙り、返事がかえって来ない。
「あー、次は僕だね〜」
「僕は雁野流。リューでいいよ! よろしく、猪狩さん」
礼儀正しい茶髪の好青年。無愛想な猪狩に対しても優しい。
「おう。よろしくな」
「はい次! 省吾さん」
雁野は隣の男に渡した。
「あ、私ね……。私は東雲省吾。宜しく、猪狩さん」
吃音混じりの、おどおどした口調で自己紹介を始めた。痩せ細った体に窶れた顔……。ごく普通の中年てある。
「あ、よろしくお願いします」
「はい……後はえーと、リーダー?」
零細はそう言うと後ろを振り返った。
「あぁ、何でだろう……どうしてなんだろう……」
何やら女性が隅っこでぶつぶつと喋っている。あまりの気配のなさに猪狩は忘れていた。
「あぁ……私? 私は、羽外山……満」
(…………………羽外山?)
ありがとうございました。
ドラマで言うと1シーズン終わったも同然です。
ここまで読んでくださっている方、感謝です!
ブクマ0ですのでよければ(マジで……)
それではまた次回お会いしましょう!




