眠れる真影の巻
この物語は謎の真影に纏わる二人の少年の数奇な運命を追う冒険譚である……
───2025年6月18日
ウゥゥゥゥゥゥ……
辺りにサイレンが鳴り響く。猪狩にとって、初めての大地震である。
「どういう事なんだ? 零細!?」
半径100mを包む、透明のバリアドームに猪狩は驚きを隠せない。
「……予言の日が、今日?」
零細は何か、独り言を呟いている。
「予言……?」
「後で話す。とりあえず着いて来い!」
そう言うと零細は、マンションを後に走って行った。慌てて猪狩もついて行く。
……… 大津波警報が発表されました……
南東側が海に面する神无露町。猪狩達が今いる場所は海抜3m。津波は間も無く到達する。
「なぁ……これも敵の攻撃なのか……?」
歳のせいか足が鈍っている。易々と先を走る零細を必死に追い続ける。
「一ヶ月前、何があったと思うか?」
(……………?)
思い返すも、それと言う心当たりが一つもない。
「地震だ。そうか……お前は知らないんだった」
神无露町では何故か、滅多に地殻変動が起こらない。零細曰く、震度2以上の地震を観測したのは、実に30年以来だったそうだ。
「神无露町に断層は通ってない。なら何故、ここが震源だと思う……?」
「……?」
先を急ぐ零細を追うのに必死で頭が追いつかない。
「……漫画でよくあるだろ? 『特殊能力』」
猪狩の足が止まる。「特殊能力」、その言葉に彼の思考が停止した。
「……地震を、起こせるのか?」
零細も立ち止まる。
「……恐らく。それに、A.Fの本部はここにある」
「でも、まだ敵と決まっては無いだろ」
───本部を狙っての攻撃。零細の様に応用の効く能力なら、態々町全体を襲撃しなくていい筈だ。
「……偶然とは考えられない。何せ、震源は本部だ」
────────
走り始めて3分。津波は未だ到達せず、避難する人を逆走する様に、零細は人混みの隙間を抜けていく。見覚えのある道筋……公園に向かっている。
「ちょっと……早過ぎっ」
同じ年齢とは思えない零細の体力に、猪狩は段々と差を付けられていた。
「どうした猪狩……? 早く仲間と合流しな…………あ」
何かに気づき、零細が10m程引き返し猪狩の足にそっと触れる。触れた箇所から、徐々に足の疲れが抜けていく。
「何だコレ……!?」
「仲間の力だ。俺の物では無い……」
(…………?)
───公園の案内看板が大分先に見える。後1.5kmと言ったところだ。
(何だ? 何か足速くなったような……?)
「それも効果の一つ。しかし、効果の寿命が短いから、切れる前に急ごう」
「…………因みに、このルートは公園だよな?」
「…………よく覚えているな。俺達の合流場所だ」
…………ザザッ
零細が更にスピードを上げる。公園は街の北部に位置する。その為、振り返れば津波が押し寄せてる光景が目に映る。
───数分後
総合公園にある中央庭園。高台避難所として人が多い。漸く二人は止まった。
「着いた…………」
第二章開幕です!お待たせしました!
サイドストーリーとして「阿呆鳥」も連載中です。
そちらもご一緒に!
できればブグマお願いします。
未だ0で虚しいです……。
それではまた次回お会いしましょう!




