エピソード零…第一章、完の巻
人の出会いというものは運命で決められているのかも知れない
「お前……零細か……?」
懐かし声に猪狩が尋ねる。実に会うのは3年ぶり、同窓会以来の再会である。
「猪狩、久しぶりだな……」
神妙そうな表情で零細は答える。彼には昔のような面影が無い、猪狩はそう感じた。しかし見た目は変わらず、若気を保っている。
「何でお前がここに……?」
聞きたい事が山々、事を言い始めたらキリがない。
「お前に……伝えに来たんだ、猪狩」
不思議と、彼の胸元のA Fのバッジが、青白く光り始めた。
「俺のことを守ってくれているんだ。試しに俺を殴ってみろ、猪狩!」
「………………」
昔と変わらない彼のペースに、猪狩は手間を取られた。何を思ったのか、零細が壁に向かって突進し始めた。
「何やってんだ零細……!?」
猪狩は目を瞑った。
ドゴーンッッ!!!
衝撃音が鳴り響いた。猪狩は目を開けて驚いた。
「あれ……? 零細、お前……!?」
何事も無かった様に、零細が壁の前に立っている。しかし、壁には放射状に裂け目が走っている。一方の零細に怪我はない。
「………………!?」
猪狩は驚いて言葉が出ない。
「これが俺の力なんだ。猪狩」
ポーン! ポーン!
エンブレムが『身を守った』とでも言いたげに点滅している。
「俺は3年前から、AFの一員となった。一ノ瀬に会った、あの日からな……」
零細は3年前の、一ノ瀬が猪狩に化けて、襲撃して来た日の事を話した。
「一ノ瀬って確か、X-phyとかの一員じゃ……? 何でA.Fにいるんだ……!?」
確かにそうだ。羽戸山もそう言っていた。すると零細は答えた。
「俺たちが会う前からずっともう、こっちのスパイだった。だから奴は殺された」
猪狩は現状を整理し、なんとか納得した。零細は続けた。
「それに、俺達の目標は、奴らを倒すことではないんだ」
「…………?」
スマホから音が聞こえて来た。
ヴヴヴッッ! 地震です! 地震です!
「……?……!? 6強……?」
震源地神无露町。この古アパートは一瞬で崩壊する。
「なんでこんな時に……!?」
零細が驚いた様にそう言う。予震で地面が揺れ始める。
「零細、なんか知ってんのか……!?」
二人で階段を降りながら、猪狩は尋ねた。
カタカタカタッッ!
最初の揺れが徐々に強まる。
「ついて来い!」
やはり何か知っている様子である。そして何故か焦っている。
ゴゴゴゴゴゴッ!!
「コイツはデケェ……」
近くにある拡声器から緊急地震速報が流れる。改めて震度7。津波も来る。揺れが来る前に階段を降り切った。
無事にマンションを出終えると、零細は叫んだ。
「『サイドディフェンズ』ーッ! 守れッ!」
零細の足元から、半球状の透明なドームが出現した。何事も無い様に、揺れがこちらへと来ない。
猪狩達から半径約100mほどは、建物も倒れず無傷である。半径内に居た人々は当然困惑している。
────100mのその先は、瓦礫の山だ。
「そうか。今日だったんだ。あの日は……」
零細が一人、何か呟いている
「一体何があってんだ………!?」
───急に零細が来た。X-phyや、A.F、ましてや巨大地震。
(未来に戻って、一体何が?)
「……宿命の子…………人の齢して世を殺し、神をも恐れる存在となる。まさかこの日であったとは……!」
零細は続けた。
「我々はAF。呪われた運命にある猪狩弘を守る為、佐野惟兎との戦いは────」
─────2025年6月11日。
運命が、始まった。
修学旅行、寒かったです。
更新遅くなりました。どうもすみません。
取り敢えずこれで一区切りなので、ブックマークしておいた方が身のためです。
て事でしばらく空きまーす!
新連載の『阿呆鳥』もよろしく!
短編集のmy strange dreamsも!
ではまたいつかお会いいたしましょう!




