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オオバケ!   作者: 羽兎
第一章〜運命〜
10/47

W.CとA.Fの巻

勇気の、讃歌

猪狩はまだ、佐野を知らない。



────日付は変わり、2023年6月16日


「羽外山戸一郎。38年間ずっと君を探し続けたんだよ、佐野君……」


「佐野って誰だよ!? 俺は猪狩だ!」


 恐怖のせいで気が気で無い。扉を思い切り叩く。


「いいや、君は佐野。佐野惟兎だ。猪狩君……」


(……何を言っている?)


「何言ってるんだ……か」


 一ノ瀬同様、心が読める様だ。それは猪狩の不安を更に煽った。


「まさか一お前、一ノ瀬と同じ!」


「その通り。我々はX-phy(アクス・ファイ)。君を迎えに来たんだ。佐野惟兎君……」


「だから、佐野って誰だよ……!?」


「君は猪狩弘じゃ無い。()()()()()()()()()()()


 一層襖を強く叩く。障子一つ破れない。


「何で一ノ瀬を……? 一ノ瀬は仲間じゃ無かったのか!?」


 猪狩はそう叫び放つ。俄然襖は破けない。


「一ノ瀬は溺れた。()()()の正体が知られる事は決して無い」


 羽外山は多喜の首根を掴んで持ち上げた。


「おばあさんはまだ、生きている」


 羽外山は多喜の傷に手を当てた。すると彼女の体から、瞬く間に銃弾が落ち、傷跡も塞がり始めた。


「あれ、私は……? 剛……? 弘……?」


 男ば多喜を静かに離す。多喜には見えていないのか、彼女は自然に階段を降りていった。



「あれ……?確かに弾が……!?」


「死んでいなければ、傷跡を治すこと位我々には出来る。そう、君もな」


 


 そう言うと男は、自然と姿を消し始めた。



「待て、まだ聞きたい────」


(……これも何かの能力なのか?)

 

 気がつくと、羽外山は消えていた。



(何だったんだアイツ……?)


 

 彼が消えると共に、猪狩は耳鳴りが聞こえた。それと同時に、彼はその場で失神した。




───────────────────────




ピピピピ……ピピピピ……ピッ!


「うるせぇ! こん畜生! この…目覚ましぃ!」


(……?)

 

 時計の音に目を覚ます。経験のある出来事にふと疑問を感じ、時計を見る。午前7時。



───2025年6月14日


「戻って……るのか……?」


 以前とは違い、記憶はが定かである。一ノ瀬が死に、彼の呪縛が解けたようだ。


「…………今朝のニュースです───」


 テレビにに気がつく。見覚えのある、名前も知らない天気予報士がそこに居る。


「6月11日、朝7時。今日も元気に……」


 リモコンを持ちテレビを消す。


(……11日? 体重計に乗る前……)


 ふと思い出し、体重を測る。


───ピッ! 63kg


「……やっぱり、あのタイムスリップが原因なのか……………?」



 突然何かに気づいた様で携帯を手に取った。


(確かおばぁの余命……)

 

 2022年時点で余命が確か、三年。急いで病院へ連絡してみる。


「はい、こちら、神无露総合病院案内所です」

 

 多喜の安否を尋ねる。暫くして連絡が返って来た。


「猪狩多喜さんなら、既に、こちらの病院には……」


「いえ、元々入院しておらず……」


「…………」


 沈黙の後、猪狩は電話を切った。

 


(行方…………不明?)



 スマホを置き、猪狩は仕事の支度を始めた。今日は確か社員総会の日。

 

 7時25分、毎度お馴染みの朝支度が始まった。コーヒーは沸かすのが面倒くさいので、口の中で粉とお湯を混ぜて飲む。彼独特の習慣である。



ガチャン!


 玄関を閉めて、猪狩は下の駐車場へ走る。


(確かここで一ノ瀬と……)


 記憶は鮮明に戻っている。彼と戦ったことも、勿論鮮明に覚えている。




 突如、誰かが、背後から猪狩のことを呼び止めた。


「猪狩……? 猪狩なのか……?」


 背後を振り向く。そこにあるのは懐かしい顔。



───ただ一つ違っているのは、胸に"A.F"と書かれたバッジがある事だ。






「お前まさか…… 零細か…………!?」







寒さにお気をつけて!

修学旅行、学年末考査でしばらく空きます。

その旨宜しく!

では皆さん、また次回お会いいたしましょう!

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