外に畑を作ろう
「つー訳で……現在は宝石店でアルバイトしてるんすわ」
『ほお、なんだかんだ上手くはやってんだな』
どーも私です。
私をこの世界にぶち込んだ神様こと、ヤンキー神から通話がありました。
まぁ、現状を聞かれたので、ヤンキー神に、この世界であった事を軽く説明したところです。
これ定期的に報告する流れですかね? 割と面倒くさいんですけど……。
「いやぁ〜、子供だと雇ってくれる所もないっすからねぇ……ありがたいことですわ」
『子供? 何言ってんだテメェ?』
「…………」
…………。おい。
子供の体にされた嫌味を言ってやったら不思議そうな声が返ってきたぞ……。
コイツまさか……私を子供にした事覚えてねぇのか?
ふっざけんなよヤンキーが! 子供の姿にしたのはアンタだろ!
認知症でも患ってんのか!?
『あ……ちょっと映像繋ぐぞ』
私はブスっとしたままの顔で映像通話の許可を下す。
すると目の前の空間が歪んで、金髪ロン毛のイケメンが顔を覗かせた。
「ぶはっ! ふはははは! ちんちくりんじゃねぇか!」
と思ったら、いきなり破顔して大爆笑をかましやがった……。
「アンタがやったんでしょうが!」
殺すぞ!
殺されるか……。
ゲーム机をバンバン叩いて抗議するが、ヤンキーは呼吸困難になりながらヒューヒュー言ってる。
クソッ! 口汚く罵ってやりたいけど、相手は私より上位存在。下手に機嫌を損ねる訳にはいけない。
「ふはは、悪ぃ悪ぃ。あんまりにも太々しいガキが見えたんで笑っちまったよ。似合ってるぜ!」
「ロリコンの神様が上機嫌のようで嬉しい限りですわぁ……」
「あ゛あ゛? んだとぉ……てめぇ?」
損ねた!
沸点低すぎませんかね? つい口が滑っちゃっただけでしょ。
「だいたいよぉ、俺が必死こいて次元の壁を修復してんのは誰のせいだあ? テメェが思ってるより数億倍は面倒な仕事だからな……」
「うぐっ……」
それを言われると弱い……。多大な迷惑をかけたのは間違いないからね。
それにヤンキー神には私の暴走を止めてもらったり、壊した壁のことやらで借りがある。私はこれでも恩義を感じているんだよ。
しかたない、少しぐらいのパワハラは許容するか。
「……まぁいい、見たところによると超越者としての力は、僅かだが使い慣れてきたみたいだな。次の段階に進むか……」
そういって私の体を上から下まで見下ろして、吹き出した。
この姿がそんなに面白えか? どうやらヤンキーとは笑いのツボが違うみたいですね。
「私の姿はどうでもいいんで……次の段階って何すか?」
「ぶふっ……そうだな」
ヤンキー神はコホンと咳払いをして、気持ちを切り替えたようだ。
「まず最終的に、お前には次元の壁を修復する手伝いをしてもらう。覚えてるな?」
「もちろん。そして私が超越者としての力を扱えるようになるまで、この世界で練習するんすよね」
ゲームをプレイして能力を得るのもその一貫だ。
「まだまだ時間はかかるだろうがな……超越者としての力を扱う、次の段階にステップアップだ。超越者としての力の制御、その初歩としてお前がやる事は……『収穫』になる」
は、はぁ、収穫ッスか……。
とりあえず続きをお願いします。
「前に俺が超越者の事を、神じゃなかったら農家だと言っていただろ……」
言ってたかな? ……言ってた気がするわ。
意味は分からんかったけど。
「やる事は単純だ。『収穫』してエネルギーを得る。コレだけだ。難しくねぇ、やり方も教える」
「ふむ?」
「今テメェがいる場所は、『テメェの領域』だよな」
そうだね。ゲーム部屋こと『私の領域』だ。
ゲームどころか、それこそ何でもできる万能の場所だぞ。
「その領域を外で発生させろ」
「あ、それ無理です」
即答するのも当たり前、外でこんな万能空間を発生出来るなら、私はこんなに苦労してないよ。
「感覚の話だ。もちろんテメェの力で何でも出来る領域を発生させる事なんて無理だ。外に領域を発生させるのは、お前に分かりやすく説明すると『畑』だな」
「なんかいよいよ農業じみてきたな……」
でも、それならなんとか理解できる。外に領域という区分を作るのか。
「そうだ農業だ。領域畑とでも呼ぶか……」
「その領域畑で何を収穫するんです?」
流石に野菜とか言わんよね?
「あー別に何でもいいが……初心者なら、畑に入り込んだ知的生命の『感情』とかがいいんじゃねえか?」
「感情ッスか? 『楽しい』とか『悲しい』とか?」
まさかの無形物……。いや、これは感情を材料にしたエネルギーってことか。
「そうだ」
「んむぅ……やってみないとよく分からんすね」
「まぁ、そうだろうな。とりあえずやってみろ。そして領域でエネルギーを貯めろ。そして得たエネルギーを使ってその場所の畑を強化していくんだ」
肥料でも撒く?
「そうすることで『領域畑』を『自分の領域』に近づける。そうすれば万能とまではいかんだろうが、色々な事ができるようになる。たとえば領域畑にいる存在にルールを押し付けたりな」
「うむむ、とりあえずやってみますわ。人間の感情を集めればいいんすよね」
「そうだ。まぁやってみれば感覚で分かるだろ」
「了解ッス! 農家やらせて貰います! ちなみにヤン……神様も農家やってんすか?」
「テメェ今、何を言いかけた? ……まぁな。俺の場合は複数の世界全体を畑にしている。最近はどこぞのゴミクズのせいで大工だがなぁ!」
すんません。すんません。
私が壊した次元の壁修復ですね。
いったい私は何枚の世界の壁をぶち破ったんだ?
聞くのが怖いから聞かないけど……。
「まぁいい、定期的に進捗を聞きにくるからサボるなよ」
「ウィッス! お疲れ様ッス」
最後に、ヤンキー神は私をチラ見して吹き出した。
いやマジでアンタがやったんだからな……。
そこんとこ自覚しようね。




