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知らない方がいい事もある

 本日二話更新 これは一話目


「ウィッス! おはようございます!」

「……ういっす」

「キャッ!」


 朝になってOL女が起きたので後ろから声掛けたら、悲鳴を上げられた。いや、驚かすつもりはなかったんだよ。すまんすまん。

 そんなに睨まんといて。


「……酔って幻覚を見てた訳じゃなかったってことね」

「ははは、飲み過ぎは良くないッスよ?」


 昨日の夜、目の前で消えたりしたから警戒させたかな? いや、違うか……酔いが覚めて冷静な判断が出来るようになったから警戒してるんだね。


「……アナタ達いったい何者なの? 呪いを簡単に解いたり目の前で消えたり……普通じゃないわ」

「いやいや、目の前で消えたりしてないッスよぉ。昨日は姉ちゃんが部屋に泊めてくれたんじゃないっすかぁ」


 よし、コレで押し通そう。


「泊めてないわよ……間違いなく目の前から消えたわ」


 うっせぇな……。いいから誤魔化されろよ。

 

「お酒の飲み過ぎは良くないッスよぉ?」


 ヘラヘラと笑いながら、お酒のせいにする。

 ……ダメかな? う〜ん、思ったより警戒心の強い姉ちゃんだな。……もしかして人選間違ったか?


「ッ! ……わ、分かったわ。もう聞かない……だからその目をやめて」

「ほ? そうッスか?」


 お、一応は納得してくれたみたいだね。大人らしい判断ありがとね。


「そうそう、姉ちゃんは私達を上手く利用してくれればいいんすよぉ……私達も利用させてもらいますから。……後腐れなくていいでしょ?」

「…………」


 信用しなくていいんだよ。お互い利益を貪るウィンウィンの関係でいようぜ。その方が幸せになれるよ。

 


――――――――――――――――――――――



「……歩かなくていいのは楽」

「そだねぇ。ここの所歩きっぱなしだったからねぇ」


 ただいま車で移動中。

 朝メシを食ったらOL女が店に戻るってことで、幼女ーズも一緒に連れてってもらってます。


 OL女の車って訳じゃなくて、人を運ぶ車ってかんじだね。たぶんタクシー的なもんだと思う。

 どうやらこの世界の車は運転席と後部座席が分断されてるタイプが多いようだね。運転手に会話を聞かれたくないならコッチの方がいいよね。


「あ、そうそう。姉ちゃんは買い取りもやってんだよね?」

「そうよ。宝石だけじゃないけど、主に宝石を取り扱ってるわ」


 横に座るOL女に問いかける。

 なるほど、買い取りもやってるなら、ちょうどいい。メシに移動代にスキマの拡張、お金は幾らあっても足りないからね。

 

 売れるもんがあるなら売ってしまおう。今までは子供だから売買ができなかったけど、一時的な協力関係になったこの女なら買い取ってくれるだろ。


「ならコレを買い取れませんかねぇ?」


 そう言ってポケットから取り出したのは、三つの宝石。


「……ちょっと見せて貰うわね……」


 しばらく移動する車の中で鑑定を始めるOL女。幼女ちゃんは外を見ながらボーっとしてる。


「……ちゃんとした道具がないから詳しくは調べられなかったけど……無造作にポケットに入れてていい物じゃないわ」

「ふむ、買い取ってもらえるってことでいいっすかね?」


「お店に帰ってちゃんと鑑定したいわね……何でそんな物持ってるのよ……」

「あぁ、豚貴族の屋敷から掻っ払って来たんですよ」


「盗品じゃない! なんて物取り出すのよ、貴族の盗品なんて誰が買い取るか!」


 あ、そうよね。盗品でしかも貴族からとか、普通は買い取らんか。


「まだ、イッパイあるんすけどねぇ」

「はやくその特級呪物を仕舞ってよ! 二度と私の目の前に出さないで!」


 OL女は頭を抱えてしまった。

 いよいよもって盗んでた貴金属が不良在庫になりそうなんだけど……。いっそ豚貴族に買い取らせるか? いやそもそもアイツの持ちもんだったわ……。


「……やっかいなのと関わっちゃったわ……」


 ご愁傷様……逃がさんよ?



 ――――――――――――――――――――――



「着いたわ、ココよ」

「……ほわぁ〜」

「おぉ、ここが姉ちゃんの店か」


 着いたのはオシャレで落ち着いた雰囲気の建物。宝石店というよりは博物館みたいだ。

 この世界って土地が余ってんのか、いちいちスケールがデカいんだよね。子供の姿だと移動にも一苦労だよ。


 どうやら店の一部を自宅として使っているようで、車を降りたら店の裏手に連れてこられた。


「住む所と食べ物だったわね。使用人とか必要かしら?」

「ん〜、メシと部屋さえ貸してくれれば要らんすね」


 使用人とはいえ人に見られるリスクを増やしたくない。


「…………あらそう。分かったわ。じゃあ部屋に案内するから」

「んふふ、どーも……安心していいッスよ」


 分かってるよ。いま探り入れたでしょ?


「……何をかしら?」

「私は貴族の子供じゃないから安心していいっすよ」


 ニィイイ……と笑うと、OL女は気まずそうに視線を逸らす。使用人がいるかどうかって貴族かどうか判断しようとしたんだよね?


「ちょいと上等な服着てますけどね。貴族じゃないッスねぇ」

「……そっちの白い子は?」


 ん? 幼女ちゃん? 違うよね?


「……ぬ。違う……」

「らしいッスわ」

「知り合いじゃないのキミ達?」


「あぁ、お互い詮索はしないタイプなんで」

「つまり私にも詮索するなと?」


「別にそんな事いってないッスよ? でも――」


 貴族に狙われてるのは本当だからねぇ。



「知らない方がいい事もあるよね」


 ニッコリ笑って言ったら、顔を引き攣らせてた。


 


  

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