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ただ光ってるだけ


「サメっていいよねぇ……」


 まずフォルムがカッコいいよね。そして攻撃に全振りしたような牙、血を好むという厨二病のような設定。これほど見ていてワクワクする生物も珍しいよね。

 

 ……あ、どうも私です。


 今は牢屋の壁に水槽フレームを貼り付けて心を癒してます。霧化の能力を外してね。


 うん、すまん。ちょっと幽霊にビビっちゃってお出かけする気分じゃないんだ。


「マジもんの幽霊はダメでしょ〜……」


 目に見えないのにガラスには映ってるんだよ? ホラー映画の演出かっての……。


「……」


 まじめな話……あれ何だと思う?

 レイス系の魔物とか、もしくはこの世界には当たり前に幽霊が存在するとかも考えたんだけどさぁ……。


 たぶん違うと思うんだよね。


 なぜなら私が幽霊として怖がられた経歴があるから。


 レイス系の魔物がいるんだったら、真っ先に幽霊だなんて騒がれないで、魔物が出たぞって話になる。それを考えると、幽霊っぽい魔物は存在しないか一般的ではない事になるよね。


 次に本物の幽霊って説はどうだろうか?

 こっちは少し良く分からない。なぜなら前の世界だって幽霊の存在を確定させてなかったからね。

 普通に考えると、人間の妄想を補完したものだと思うんだけど、魔法がある世界だし――。


「ありえるのかなぁ……」


 少なくとも、この世界でも幽霊の存在は確定してないとは思う。だって私が怖がられたから。

 確定しているならあんなに幽霊を怖がってるのはおかしいよね。

 幽霊の何が怖いかって私は、正体が不明な事だと思うんだよ。分からないから何をするか分からない。

 そして不明だから何が出来るのかが未知数。


「不明な物が怖いのは前の世界でも、この世界でも一緒だろうね」


 というか意思ある存在の宿命でもあるか……。


 まぁ私の結論としては、幽霊がいるかどうかは分からない。そして幽霊の扱いとしては前の世界とこの世界では一緒って所だ。だからこの世界においても、あのドレス女の幽霊は異常ってことだね。


「まぁ何をされたって訳じゃないから……気にしてもしょうがないかな」


 とか思うんだけど……。


「やっぱこえぇよ……」


 カーテンのスキマとか気にしちゃうよ……。

 あれ、これって私がやってる事と変わらんくね? 隙間から覗いてんのは私もやってることだったわ。



 ――――――――――――――――――――――

 


「やぁテレサ、こんばんは。準備はいいかい?」


 ハリウッドメガネは宣言通り、三日後の真夜中に訪問してきた。


「お、今日は大人数ッスね」


 五人の青色制服も一緒だ。筋肉質なやつが多いから護衛かな?


「なにがあるか分からないからね。テレサの護衛だよ」

「ははは、たとえば逃亡とかっすかね?」


「……」

「……はははは」


 護衛ってか私を逃さない為じゃないのぉ?


「それじゃあ社に向かおうか」


 無視だよ……。マジで逃亡防止じゃねぇか。

 そういや、一回逃げられてんるだったね。この誘拐メガネ。


 拘束はされていないが、囲むように連れ出された。そして向かった先はというと……。


「遊園地の中かぁ……」


 まぁそう来るよね。真夜中だから勿論お客なんていない。そんな遊園地の中を進んで、たどり着いたのはミラーハウスだった。


 あんまり映る物がある場所行きたくないんですけど……。ドレスの女が映ったらどうするんだよ。


 そして明らかにスタッフルームのような場所を通って、洞窟のような通路を進み目的の場所に辿り着いたようだ。

 どう考えても一般の客が来るような場所じゃない。


「さぁ社に着いたよ、封印を解いておくれ」


 ハリウッドメガネは翼の生えた四本足の石造に誘う。


 う〜ん、なにこれ? 古くなっていてよく分からないけど……羽の生えたイタチかな?


「封印ねぇ……」


 封印、封印……。うん、ちょっと分かってきたぞ。

 つまり白髪親子が狙われていたのは、この封印とやらを解く為でいいんだよね? いや、勝手に解けやって話じゃないんだろうな。


 白髪親子じゃないと解けないってことか? いやそもそも封印ってなによ。

 この世界の常識か?


「どうしたんだいテレサ?」


 ニコニコ顔のメガネから僅かに苛立ちのようなものが伝わってくる。


 いやそんなん言われましてもねぇ。私、封印なんて解けねぇんだもん。見た目は白髪幼女でも中身は私よ。


 さぁて……どうするかな?


 このまま逃げるか?

 ……いや、逃げるのはいつでも出来るか……。だったら誤魔化してみようかな。

 えーっと……どうしよ。

 ひ、光らせてみる?


「うぃ〜ッス……危ないから下がっててくださいねぇ」


 そういうとハリウッドメガネど護衛たちは大人しく後ろに下がる。


「光滅玉……」

 パリン、パリン、パリン、パリン……。


 私は小声で光滅玉を発動させると、イタチ像をいい感じに光らせる。

 そして、チラリとハリウッドメガネの顔を窺う。


 ニッコニコやん……。


 なんか、納得したらしい。

 必殺……なんか不思議な事やってる振りだ。

 嬉しそうじゃん……よかったね。像を光らせるくらい幾らでもやってあげるよ?

 封印なんて一ミリも解けてねぇけどな!


 ――――――――――――――――――――


「テレサ、お疲れ様。今日はそろそろお終いにしようか。力を使って疲れただろ?」


 三十分くらい無駄に石像を光らせていたら声が掛かった。

 いやいや、別に疲れてないよ。石像光らせてただけだし。


 どうやら封印を解くのは疲れる作業らしいね。解いてないから知らんけど。


「続きはまた三日後の夜にしよう。それまでしっかりと休んで、力を蓄えておいてくれ」


 あ、うん、よく分からんけど、お前が満足ならそれで良いよ。


 お望みなら三日後にまた石像イルミネーション見せてあげるからさ。




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― 新着の感想 ―
[良い点] ハリウッド眼鏡をからかってるようなもんだからこれはこれで楽しそう。 すぐ飽きそうだけど。
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