格ゲーのストーリーって説明不足じゃない?
「そろそろ鉄格子を越える算段でもつけようかね」
鉄格子を越えるって言ってもそんなに難しい事じゃないと思う。
スリットみたいに幅広い使い方の出来る能力にするならそうもいかないけど、鉄格子を越えるって一点だけを考えるなら簡単なんじゃないかな?
「つーことで、『私の領域』」
とは言ってもピンポイントに能力を絞って探すとなると、これが面倒なんだよねぇ。
結局プレイしてみないことには、判断材料って説明欄とかPVで確認するしかないからさぁ。スリットみたいに能力がゲームの根幹に来ている作品ならいいんだけど……。
鉄格子を越えるのに苦労するのは、越える事じゃなくてゲームを探すことだよ。
まぁ、根気よく探しましょ。
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「『盗賊の流儀』名前の通り泥棒するゲームかぁ。鍵開けの能力とか出来そうかな? でも説明欄に明確に鍵開けの記載が無いのが気になるなぁ……次っ!」
は〜い、難航しておりまーす。手っ取り早く鉄格子を抜ける能力って見つからないもんだねぇ。
ジャンルを変えて探してみるか?
「いっそのこと、避けてたジャンルに手を出してみるか」
まぁ格闘ゲームなんだけどさ。私の能力の性質上、戦闘能力は弱ちくなっちゃうからさ。バリバリの戦闘寄りの能力になるであろう格闘ゲームは避けてたんだよね。
でも格ゲーが戦闘寄りになるってのは先入観があるだけで、実は思いもよらない能力が開発できるかもしれないよね。
「よし、格ゲーで探してみよか」
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「おっしゃ! これいいんじゃない!?」
苦労した分、見つけた達成感もひとしおだね。
よし、それじゃあプレイするゲームの発表行くよ〜。
『闇に生きるモノ』
なんか重苦しいタイトルのゲームだけど、いたって単純な格闘ゲームだよ。
格ゲーってジャンルの説明はする必要ないよね?
あらすじっていうかフレーバーテキストを読む限りの情報だと、世の中には人ならざる不思議な存在が人間から見つからないように隠れ住んでいる。そして、自分たちの存在を賭けて闇に生きるモノたちは戦うのだ……て感じの内容。
特筆すべきなのは、操作キャラクターのほとんどは異形の存在だということ。狼男や宇宙人、はては殺戮アンドロイドなど様々な種族がプレイアブルキャラクターとして選べる。
「格闘技で戦う格ゲーというより、魔法とかファンタジーな要素のある格ゲーって感じだね」
まぁ、このゲームを選んだ決め手っていうのがPVに登場していたキャラクターでね。そのキャラクターの回避モーションにビビっときたんだよね。
吸血姫 アリアド ヴェルシュタイン
青白い肌の吸血鬼。ゴスロリファッションに身を包んだ彼女は、ザ吸血鬼って感じの能力で戦う、人気のありそうなキャラクターだ。
「よし、プレイ開始!」
まずはストーリーモードから、対戦相手を一人一人倒しながらストーリーを進めるモードだね。
『あらあら……不細工なお人形さんだこと……壊しちゃおうかしら?』
一人目の対戦相手であるアンドロイドに向かって、私の操作するアリアドが喋る。へ〜もしかして対戦するキャラクター一人一人に、違う台詞が用意してあるのかな? だとしたら凝ってるなぁ。
「ぬ、ぐぐぐ……技が出ない」
コマンド入力で技を出そうとしたけど、思ったより上手く入力出来ない。結構シビアなのね……。
タイムボタンで使える技のコマンドが見れるんだけど、簡単そうなコマンドですらマトモに出せない体たらく……。
「ちょっと待て……なんだよこの超必殺技のコマンド……絶対無理じゃん……」
格ゲーをやったことがない私にとってハードルが高すぎる!
「あ、ヤバイ……矢印が多すぎてゲシュタルト崩壊起こしてきた……」
コマンド表記の矢印が遺跡の象形文字に見えて来た……。
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「いけいけいけいけ! あとちょっと! うしっ! 勝てた!」
ふひぃ〜……技が出なさすぎて最初の方はぐちゃぐちゃに操作してたけど、それじゃ勝てない相手が出て来た。仕方がないのでトレーニングモードでコマンドの練習をしてから再戦。
ようやくアリアドのエンディングまで辿り着けた。
「しかし、なんというか……クリアしたけどストーリーがよく分かんなかったなぁ」
いやまぁ何となくは分かったんだけど、説明不足というか。
対戦相手によっては『あらあら……お久しぶりねぇ……300年ぶりかしら?』みたいな掛け合いがあったんだけど、詳しくは説明してくれないというか……。
「ストーリーモードなのにストーリーが足りない……」
もしかして、この格ゲーって外伝的な作品で、ちゃんとした本編のゲームがあったりするのかなぁ。
まぁいいか、早速現実に戻って能力を試してみよ。




