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この世界の常識とか知ったことか


 いったああああい!

 

 どーも私です! って言ってる場合じゃねぇわ!

 

 ちょっと! 体バラバラになりそうなくらい痛いんですけど!


 ぐおおおお、あの変態殺人鬼マジでふざけんなよ! 幼女のぷにぷにボディに容赦なく蹴りをぶち込みやがって。吹っ飛び過ぎて一瞬何が起きたか分からんかったわ。


 だいたい蹴られた体が当たって壁を壊すとか漫画でしか見た事ない演出だよ!


 いや、ちがうか! 変態殺人鬼が漫画みたいな力を持ってる証拠だわ!


 そして知ってた? 石橋って叩いたら砕けるんだよ。用心し過ぎでしょ!


 ぐうううう、やっぱこの世界舐めてたわ。忘れてた訳じゃないけど、この世界は前の世界と違うんだよ。


 あんなん化け物や。人間が、熊や象に絶対勝てないように、どう足掻いても勝てない相手ってのはいるんだよ。


 よ〜し、考えを改めよう。

 私はこの世界の人間は強いって思ってたんだけど、違うね! この世界の人間は私の知ってる人間じゃないんだよ。

 人間という名の完全な別種だ。

 私はこの世界の人間を人間と認めません!


 あんな身体能力を持ってる化け物が同じ種類な訳あるか! オリンピックひっくり返るどころか同じ競技にすらならんわ。


 まぁとは言うものの、元の世界の人間だったら形すら残らない様な蹴りをくらってても辛うじて生きてる私も人間じゃないか! ハハハッ!


 よかったー! 超越者やってて。

 どーも私! 超越者の末席に置かせてもろてます。人間とは違うのだよ人間とは。


 とまぁ超越者イキリしてみたものの、体がボロボロなのは一緒でして。逃げるより死んだふりがいいと思うんだけど……どう?


 おお? 行けそう行けそう。

 変態殺人鬼は私のこと眼中にもない感じで豚貴族にトドメを刺そうとしとるわ。


 そら子供があんな蹴りくらって生きてるとか思わんわな。

 よしよし、豚貴族が殺されたら流石にどっか行くだろ。そのうちに私はスタコラサッサさせて貰いますわ!


 いや〜悪いね豚貴族ぅ。私はテメーの屍を超えていく!


 短い付き合いだったけど衣食住助かったよ!

 まぁ自業自得だ。化けて出るなよ。


 殺されて当然のことやったんだから、ちゃんと償いなされ。


 おっと、考え事は止めにして死んだふり死んだふり。

 バレるなよ〜…………。





「………………」

 ……

 …………

 ………………

「………………」

 ……………………

 …………………………

「………………………………」




 

 

  「……………殺されて当然かぁ」


 

    「…………本当に……そう……かな?」






 微かに呟いた言葉は、嫌なほど耳に響いた。


 本当に殺されて当然か?

 

 確かに今まで死んで当然の事をやってきたんだろうよ。

 

 そもそも今回殺されそうになってんのは何でだ?


 ああ……なんか馬鹿息子が殺そうとしてんだっけ?


 惚れた女の実家に嫌がらせしたんだとか?


 ふ〜ん……やっぱ最低だな豚貴族。そりゃ恨まれても仕方がねぇよ……。



 でも…………。



「殺すほどじゃなくない?」



 豚貴族がやったのはただの嫌がらせだろ? それは人が死んでんのか?

 

 当ててやるよ……。死んでねぇんだろ?

 

 豚貴族なら殺したなら殺したって、嬉しそうに言うはずだ。それをわざわざ嫌がらせって言ってんだからな。


 トドのつまり……豚貴族はザマァをされた訳だ。

 そして嫌な奴の末路として死亡を望まれてるシナリオってことでしょ?


「……」



「…………やりすぎじゃない?」


 嫌がらせされたから殺すとか、死体の山が出来上がるわ。


 なぁ……馬鹿息子。そうなる事でお前は自分が正しいと思いこんでるんだろ?

 悪い奴は不幸になりましたメデタシメデタシ……。


「テメーは主人公きどりか」


 テメーはそんな事で親を殺そうとしてんのか? それがこの世界の常識ってやつか?


 もういいよ……。

 この世界の常識とかどうでもいいんだよ。


 ムカつくんだよ!


 馬鹿息子が欲しがってる当主の指輪だっけか。

 それ豚貴族の財産が欲しいって事でしょ。

 お前、彼女の事が大切だから暗殺者雇ったんじゃなかったっけ?

 

 あぁ、こう言う事だよね? 『彼女とのお付き合いにはお金が掛かるからお父さんお金ちょうだい。そして主人公ぶりたいから僕のために死んでよ』ってか?

 ハハハッ! 流石豚貴族の息子さん。


「舐めてんのか……」


 あ″あ”……イラつく……。


 おいナルシスト野郎。

 テメーそんなんで本当に親ぁ殺そうとしてんのか。


「……」


 ギリギリと奥歯が軋む感触が気持ち悪い。


 イラつくイラつくイラつくイラつく!


 私はなんで異世界に来てまでイラついてんだ!



 もういいよ……。


 


 どうせ死なねぇんだろ?



 

 だったら……

 



 憂さ晴らししてやるよ。




「………………私の領域……」

  

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