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スーパー妖怪殲滅2〜アヤカシ球を生成する能力


「うにゅにゅにゅ……」


 私は手のひらを合わせて集中する。


「……うむむむ……ほいっ!」


 手のひらにビー玉のような物体が現れた。うん、妖球あやかしだまだね。正直、能力はコレ以外思いつかんかった。


 私は空中に浮かんだアヤカシ球をキャッチして親指と人差し指で挟み、光に透かしてみた。


「おほほぉ〜、なかなか綺麗じゃん」


 光に晒されたアヤカシ球はキラキラ煌めいて、中には揺らめく炎が点っている。炎滅球だよ。スーパー妖怪殲滅2における基本的な属性球だ。


 ポケットから取り出した三つの炎滅球と合わせて四つ。これで一応は炎を放てる……はず? ここで使う訳にもいかないから、試せないんだよ。


 まぁ私の能力は戦闘能力に変換すると効率が落ちちゃうからね。一応、一個の球を生成するのに三分掛かるっていう制限を付けたから全く無力じゃないと思いたいけど……。


 お守りだ! お守り! 使えない能力だったとしてもいいじゃない。いざとなったら目眩しくらいにはなるだろ。


 四個の炎滅球をポケットに仕舞って代わりに懐中時計を取り出す。蓋のガラス部分を覗き込むと時刻は十二時を指していた。


「今日は見回りが来ないのかな? 流石に十二時すぎたら来ないよね? よし、牢屋から出よう」


 う〜ん、毎回鉄格子を超えて脱走するのも芸がないね。せっかくだから別の出口を作ってみよう。


 灯りを消して風呂場へ。そして見上げたのは換気をする為の物体、換気扇だ。ココにスキマを作れば外に出られるはず……

 出られ……

  で…………

 

「手が届かん……」


 はい、子供の身長忘れてましたね。椅子を踏み台にしようと思ったけど椅子が重くて運べません。無力さを感じます。


「大人しく鉄格子から脱走するか……」


 脱走が大人しいかどうかは置いておいて、とぼとぼと鉄格子に向かう。

 

 鉄格子の向こう側は尋問官スペース、又の名を豚貴族のリラックスコーナーだ。

 居心地を良くする為、コレでもかと手が入れられた空間は隙間がおおい。設置されたテーブルは……ちょっと遠くて手が届かない。

 

 ならばキッチンだ。アイツら尋問スペースに小型のキッチンを設置しやがったからな。茶をしばく気満々である。

 鉄格子から腕を入れてキッチンの開戸に手を伸ばす。蝶番側の縦枠をスキマにした。


 ほいっと脱獄成功。今度は廊下と部屋を繋ぐ扉にスキマを設置。慣れたもんよ。


 扉のスキマから廊下を覗いて見たんだけど、排気口が見あたらねぇ……。そうか、飛行船と違ってすぐ側に窓があるもんね。排気口はそんなにいらないのか。

 基本は部屋の扉にスキマを作って行くしかない。時間は掛かるけど仕方ない。見つかるリスクも多くなるなぁ。


 これは更に慎重に行動しなきゃな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うわ、この屋敷迷うわ。広いのは分かってたけど、似た景色が多い。しばらくは牢屋を中心に行動範囲を広げていくか。最悪、マップを表示できるような能力も検討しなくちゃな。


 今日はもう牢屋に帰ろうと思ってスキマを頼りに戻っていると、私の進行方向で若い執事が作業をしていた。

 夜勤のお仕事ご苦労様です。

 ……いや、悪いけどそっちが進行方向なのよ……。早く何処か行ってくんないかな?


 若い執事は、チカチカして調子の悪そうな廊下の灯りを点けたり消したり、首を捻ったりしている。新人か? よく分かんないなら上の人呼んできた方が良くない?


 その隙にそこ通るからさ。


 ……粘るね! 君!

 もう三十分はそうしてるよ! 無理だから! コレだけやって直らないなら業者呼ぶべきだって! お願い! 私を牢屋に帰してよ!


 やっべぇよ……。このニーちゃん不器用だよ。何が不器用って自分が無理な事をひたすら続ける性格が不器用だよ。


「……仕方ない」


 あんまりリスクのある行動を取りたく無いんだけど。


「せーのっ」


 ニュン……ペタペタペタペタペタペタペタペタッ! ヌルん……。

「!?」


 セーフ! セーフか? よしセーフだな。


 隙をついて作業している執事の真後ろを通ってやったわ! はははっ……いきなり近くで足音が聞こえたから驚いだだろ。

 たぶん大丈夫だ。見られてないはず。暗かったしね。

 執事が音に気づいてこっちを振り向いたけど、ざんねん。私はすでにスキマの中だ!


 執事は挙動不審で辺りをキョロキョロしていたが、いくら探しても人影はないので最後は青い顔をして帰っていった。


 すまんな。この屋敷で変な噂が流れたら私の所為だ。



 

 これが後々、屋敷を徘徊する子供の霊が現れた最初の事件となった。 


  

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