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引っ越しとリフォーム


 お姫様抱っこってあるよね。よく女の子が憧れるって言われてるアレだよ。


「あれって運ぶって目的でも優秀だと思うんだ。兵士さんはどう思う?」

「……」


 私を小脇に抱えた兵士さん、無視だよ。言葉通じてないんだからしょうがないんだけど。

 今私は兵士さんに干したハンドタオルのように運ばれてます。

 丘の発着場から階段を下り、自然公園のような舗装された道を抱え続けられる私。楽でいいわ、そう思おう。


 それにしても何処に向かってるのかね? しばらく歩いているけど目的地はまだかな。

 しかし、この自然公園風の道、明らかに人の手が入っているはずなのに人っこ一人見当たらない。……もしかして私有地か?

 だとしたら……豚貴族の持ち物だよなぁ。たぶんココって豚貴族の家だろ。どんだけ悪い事したら、こんな広大な土地を持てるんだよ。最低でも発着場のあった丘から此処までは自分家な訳でしょ。

 

 それともこの世界の貴族ってコレが当たり前だったり。

 自分家で迷子になるわこんなん。て言うか車だせよ車。舗装されてんだから走らせられるだろ。

 

 前を歩く豚貴族を見てみると、ノッシノッシと普通に歩いている。意外と健脚ですねお貴族様。


 はい目的地に着きました。多分ね。洋館……でいいのかな。そんな感じの建物……の集合体。それが広大な土地に広がっている。

 なにこれ? 街? 豚貴族……お前の家って遊園地みてぇだな。


 なんかメイドの集団が頭を下げながら待っている。豚貴族率いる私たち集団は、数百人くらいいるメイドの間を通って建物の中に入っていった。


「ヤクザのお出迎えみたいだね」


 もしくは全校朝礼で生徒の間を進んでいるみたいか。


 そして私はまた牢屋に入れられました。あ、はい。お引越しですね。

 また、スキマの能力で行動範囲広げなきゃな〜。一からやり直しだわ。


 牢屋は広くなった。殆ど客室と言っても良いんじゃないかな? と言うかたぶん客室だわ。ビジネスホテルからスイートルームに変わったわ。ちゃんと鉄格子で部屋を半分仕切られてるけどね。


 牢屋に入れられてしばらく探検していたら、豚貴族と軍人執事が入って来た。


「あ、いらっしゃい。どうする? 風呂にする?」


 当然無視されました。いや、浴室がさぁ数人入れそうなほど広かったから沸かしてたんだよ。テンション上がるじゃん。


 豚貴族と軍人執事は、部屋の壁を指差しながら話し合っている。

 そして、しばらくすると色んな道具を持った職人風の集団が入って来て、壁紙を剥がし出した。


「り、リフォームかな?」


 そして、剥がした壁に宝石を埋め込んで魔法陣みたいな模様を書いていった。魔法!? もしかして魔法なの?

 それを軍人執事の指示で至る所にやっていく。溜めてた風呂のお湯も抜かれた。


「脱走防止にしちゃ大掛かり過ぎませんかね?」


 悪いけど多分抜け出せますよ? そもそもコレって本当に脱走防止なのかな。

 しかし、リフォーム職員も皆んな私の事、完全無視だな。なんだか……私に興味が無さそう。私の牢屋なのに居心地悪いわ。

 床に胡座かいて座っていたら、邪魔だったのか持ち上げられて椅子の上に置かれた。


 そして最後に鉄格子の向こう側、つまり尋問をする際に豚貴族と軍人執事がいるであろう場所に高級そうな椅子とテーブルを向かい合わせで設置して帰っていった。


「そっちを居心地よくするんかい!」


 短時間しか尋問しない癖に、なにちょっとでも居心地良くしようとしてんだコイツら。


 テーブル挟んでソファーみたいな椅子を設置するんじゃない! 向かい合わせの椅子とか二人で談笑する気満々じゃないか。オシャレなカフェかよ。

 テーブルと椅子の配置からして会話するのは私じゃなくて豚貴族と軍人執事だろう。

 お貴族様の考えることは分からんわ。


 しばらくするとご飯が運ばれてきた。相変わらず学校の給食クオリティ。


 私の扱いっていったい。厨房に忍び込んだから分かるんだけど、出そうと思えばもっと良いもん出せるはずなんだけどね。

 いや、囚人の身で贅沢なのはわかってるんだけど。それならなんでリフォームなんてしたんだ?

 

 うーん、大切にされてるって訳では無さそう。


 まぁ殺されるって感じでも無いからいいか! 情報は言葉が分かるようになってからだね。


「よっしゃ! 晩飯も食べたしゲームしよ」


 よくよく考えたら、私は働きもしないで遊んでる生活してる訳だよ。勝ち組と言っても良いんじゃないかな?


「私の領域!」


 さて、slitースリットーもクリアしたし次は何のゲームをしようかな?



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