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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ココアとコーヒーのアリス

作者: あかかかかkkk

ココアが好きですか?コーヒーが好きですか?

ちなみに私はですねぇ。

あとがきに書いておきますか。

1月23日


 ごくごく平凡な国での事なのです。

 喫茶店でココアを頼んだ後の事なのです。

「こんにちは~。こんばんは~」

 二人用席に座っていたので、当たり前と言えば当たり前ですがぼっちの私の前に知らない人が座りました。声を掛けられました。外見でものをいうのはおかしいですがとても優しそうな人でした。

 そしてその輩が朝の8時に「こんにちは~。こんばんは~」などとぬかしやがりましたなのです。

 早くココアが飲みたいのです。ちなみにコーヒーは苦手なのです。もうとにかく目の前の人はどうでもいいのです。

「君さ~。誰~?」

 大変申し上げにくいのですが――

「そもそも貴方は誰なのです?アホなのですか?」

 おっと。つい口から出ました――なのです。

「それを先に名乗るのが道義じゃないの~?」

 鏡見ながらそれ言って貰っていいですか?

 今日、知らない人に声を掛けられたのはx回目なのですが、変な人に声を掛けられたのもx回目なのです。要するに全員変な人です。ちなみに(x=1)なのです。

 私をつけてきたよくわからない鳥を含めるならば(x=2)に成り果てます。鳥は喋るものなのですからね。いやはや最新の技術は凄いです。ちなみにウザかったので魔法でシバいておきました。

 目の前の変な人(1人目)の周りには、見た目にそぐわない尋常じゃない量のゆるふわオーラが漂っています。

 多分私より年上なのです。ゆるふわお姉さんなのです。思考回路までもが極限にゆるふわでネジが外れていなければ良かったのですがね。残念ながらそちら側の人のようなのです。

「いきなり失礼ですね。わたしはアリスと申します。一部の方には博士とも言われていますよ。あ、コーヒー一つお願いします」

 急にキャラが崩壊しました。今度は私の頭のネジが外れそうなのです。敬語て。

「君も普段そんなじゃないでしょう?」

「……?」

 彼女は言いました。「君は語尾に『なのです』をつけたりしない。『です』だけでしょ」と。

「気のせいです――なのです」

「君の事はよく知ってるからね。当然だよ」

「ここで初対面のはずですが、貴方私のストーカーか何かですか?」

 実に怖いですね。

「君の心を読めるんです。私は」

 じゃあ、これは何です?

 例の鳥を取り出しました。いえ、正確には鳥ではないですね。機械の鳥、言わばドローンです。

「これで私をつけていたんですよね?」

「それは野生のドローンです」

「ここに小さくあなたの名前が――」

「違います野生のドローンです」

「それとここに――」

「野生のドローンです」

 成程ですね。主張を覆すつもりはないと。

「何故私の名前知ってるの?それこそストーカーじゃない?」

「さっき自供してましたね。というか今サラッと自分がドローンを飛ばした犯人だと認めましたね」

 まるでわからない、といったようにアリスさんは首を傾げたのち、思い出したらしく、表情が変わります。

 煽られた(事故)とは言えど名前を易々とバラしてしまったことに対する怒り。自分が口を滑らせた事に対する驚き。そして自分の愚行に対する羞恥心。要するに名前をバラしてしまうのはアリスさんにとって禁忌だったようです。

 見ていて飽きないですね。表情がコロコロと変わっていきます。

「ぐっ……一生の不覚……」

「アリスさん今まで何回名前バラしました?」

「わかんない……少なくとも一日に一回は」

 この人毎日一生の不覚作ってますね……

「そもそもドローンに名前刻印して飛ばしている時点でバラすも何も無いですがね」

「……確かに」

 口調が変わっても(だいぶ戻ってきたけど)、雰囲気や中身は変わっていないようです。要するにやっぱりネジが外れているお方でした。

「この際、アリスさんが私をストーキングしていたのは不問にしましょう」

 こう言っては失礼ですが、――あなたアホそうなので。と、心の中で付け加えておきました。

「いいんですか?」

「えぇ。でも次やったらどうなるか、貴方でもわかると思いますよ?」

「それってわたしがアホってこと?」

 そう言っているではありませんか。

「そう言っているではありませんか」

 ……あ。

「ごめんシバいていい?」

「これでも私魔法使えますので。朝飯前ですよ。そういえばまだ朝ごはん食べてませんでしたね」

 雑に軽口を叩いておきました。

「知ってる。けど負ける気がしないの」

「ストーカーが何言ってるんですか?」

「あーもうキレた。もうキレちゃった」

 アリスさんは武器らしき何かを取り出しました

「ふふふ……勝ったら何ができますか?」

「その時はわたしが奢る」

 これは本格的に勝たないといけませんね。燃えてきました。

 私は杖を取り出し、それを大きく振ります。――転送魔法。

「では場所を移しましょう」

 言い終わったときには一面緑に囲まれています。草原です。

 魔法は魔力を体内に取り込み、それを杖の先でいろいろな魔法に変換する。という原理ですが、その魔力はどうやら植物が生み出し、空気中に放出しているようなのです。なので草原には魔力があふれています。森の中ではさらに魔力が濃いようです。

 私のような魔法を扱える人にとっては森の方が圧倒的に有利に戦えます。ですがそれではあちらに不利ですし、何より見晴らしが悪いですからね。

「では、始めましょうか」

 魔法が使える人、総称《魔法使い》のお決まりのアイテム、箒に乗って宙に浮き、私はそう言いました。

「もう、良いんですね?」

 アリスさんがそう言った直後、アリスさんは拳銃のようなものを私に向け、発砲しました。

  パァン!

 見た感じ、魔力の塊のようです。

「貴方も魔力を扱えるんですね。意外でした」

「それはちょっと、違うかな」

 その言葉の意味はよく理解できませんでしたが、関係ないことです。

 箒に乗った私にはこれを避けるのは造作もないことです。何なら当たって差し上げても良かったのですが、いくら空気と同等であっても、魔力にも流石に圧力がありますからね。ほら、空気圧っていうじゃないですか。そういう事です。圧力の差によって生まれるもの、簡潔に申し上げますと風です。

「よっと」

 なので避けました。決して怖かったのではありません。横を強風が通り抜ける感覚がします。

「怖いんですか?」

「いえ。そんなこと無いですが。むしろ当たって差し上げてもよかったのですが」

「成程成程。つまり怖いんですね?」

「おりゃ」

 ウザかったので、アリスさんに魔力の塊をぶち当てておきました。言い換えれば風魔法でもあり、衝撃波でもあります。

「きゅう……」

 勝負は一瞬で終わりました。弱いですね。思ったより。アリスさんは負け際にありがちなセリフを置いて目を回しています。

「……生きてますか」

「生きてます~」

「……起きてますか」

「起きてません」

 とりあえず飲みかけの水筒の水をぶっかけておきました。

「あぷっ!何するの!酷いじゃない!でもいい匂い!たまらんですよ!」

「すみませんどちらか片方にして頂けると幸いです」

 何故怒っているのかはすぐ分かりました。水をぶっかけたからです。

 何故喜んでいるのかは分かりませんでした。頭の中で即座に「アリスさんは特殊な人である」という考えを捨てたので、何も可能性が残りませんでした。

「ぐへへ良い匂いですね女の子大好き」

「……きもいですね」

 先ほどゴミ箱に捨てた考えをゴミ箱から取り出しました。そしてそれであると結論付けました。

 とりあえずハンカチを取り出し、それでアリスさんの顔を拭きました。このままでは喫茶店に戻れないですし戻ったとしても確実に怪しい人になりますからね。

「あ……いい匂い」

とりあえず殴りました。鼻のあたりに当たったようで。

「ぐぇ」

「痛いですか?」

「痛いですが中々イイですね」

 正直もう駄目だと思いました。

 その後喫茶店に戻り。

「今回はわたしの奢りね」

 私は少々理解に苦しみました。

「今回()?」

 それを言葉にしました。

「これからもお世話になる予定だからね。前々から調べてはいたし」

「お世話になって欲しく無いですね」

 そう言って、私達は席に座りました。

「それで、結果はどうなったんです?」

 傍にいたウェイトレスさんに聞かれました。恐らく私達が行った直後にコーヒーとココアを運んできたのでしょうか。興味津々のご様子で。

「私が勝ちました。なので彼女の奢りですよ」

私は手を挙げながらそう言いました。

「今回()、でしょう?次は君に奢って貰うよ」

「出来れば次がなければ良いのですがね……アリスさんに振り回されるの面倒ですし」

「ははは……」と私達は苦笑を漏らしながら自分の目の前にあるカップに手を伸ばします。

「あれ、私はココアを頼んだはずなのですが。アリスさん、これ、シロップです」

そう言ってアリスさんにシロップを渡します。

「アリスさん、結構砂糖入れるんですね。コーヒーに」

「まぁね。よく言われるよ。まだそのままのブラックは飲めないんだ。だけど結構好きだよ」

「そうでしたか」

 私はそのままのココアの味を楽しむタイプですので。ミルクココアですが。

 私達は同時に一口飲みました。

 ――その時は気付いていていませんでした。元々喫茶店にいたときに座っていた席と逆の席に座っていた事に。つまり、私がアリスさんの席に、アリスさんは私の席に座っていた、と言う事です。

「「ブッ‼」」

 喫茶店でやっていいことではありませんでした。ですが吹き出してしまいました。

 私はココアだと思いながら苦いコーヒーをそのまま飲み、アリスさんはコーヒーだと思っておぞましい量の砂糖を入れた甘っっっっったるいミルクココアを飲みました。

 その結果がこれです。

「にっっっがい‼」

「あっっっま‼」

 同時でした。意外と気が合いそうですね。


 ――日記を閉じました。

「アリスさん。こうしてみると、初対面の時中々やばかったですね……」

 と、私。

「あはは……確かにね。――アリス」

 と、アリスさんでした。

 私は、アリス。

 彼女も、アリス。

 ただ名前が同じなだけの2人です。

 ただそれだけ。深い意味もありません。違うとすれば、年齢、身長、性格、好きなもの等々。

 具体例を言うとすれば、――ココアが好きか、コーヒーが好きか。それだけです。

暇人が持て余した時間を使って書き上げたものです。

特にオチもなく終わった、本当に起伏がない話だったかと思います。

それでも、楽しんでいただけたなら幸いです。

ちなみに、ココアが好きですか?コーヒーが好きですか?

私は小さい頃、コーヒーを一口飲んで「にっっっが‼」となった事があります。

ですので未だにコーヒーを本格的に飲んでいません。

簡潔に申し上げますとココアが好きです。

でもコーヒー飲めたらいいなぁ、と思い、これができたという訳です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 二人の掛け合いなど、読んでいて面白かった。 [気になる点] ないですね [一言] ほんわかした空気を崩さずに、内容を展開し話を進められていて、楽しかったです。
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