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2話

これまでになかった、αのステータスがある。

ていうか、αってなんの意味だ?


再び聞こえた悪魔の声。

運のことを説明始める。


「バフ『幸運』は3つの形態で適用されるぞ。


まず、お前が見た通り、追加的な能力値がお前の行動にランダムに適用される。

マイナスはないから安心しろ。


二番目に経験のブースティング。

同じ経験を積んでも、今の何倍にもなる成長速度を見せる。


最後がメインである、ランダム能力値の大幅向上する。

命中率、致命率、回避率、スキル発動成功率などの運が絡むスタットが、今までとは比較にもならないくらい上がったはず。」


「運ってここまで作用するのかよ?」


「そう、まさにチートだ。だから思いきりやりたいことをやってみろ。

俺はお前がするのを見守ってるぞ。」


声は途切れた。

これからはどうすればいいだろうか。


「まずは、人のいるところを探すのが先だろう。」


足を運ぶ。

ところで見た覚えがある場所と思ったら、ここはダンジョンの入り口だったか。

ダンジョンの…入り口…?


「こんなことしてる場合じゃないだろ!?」


全力で走り出した。

ダンジョンとはモンスターを引き込む性質であるため、内部はもちろん、周りにもモンスターがたくさんいる。

入ってきた時は『白鷲』と一緒だったので楽勝だったが、一人である今はあまりにも危険な状況だ。


しかしこうした状況が顔負けなことに、モンスターが現れた。

しかも普通のざこモンスターでもない、オークの群れだ。


「...悪魔、テメー!本当に運っていうのが作用してるんのかよ?!」


叫んだのを脅威と受け止めたのか、オークたちが飛びかかる。

武器はさっきダンジョンでなくして、肉弾戦は無理で、魔法しかないのか。

倒すのは無理だとしても、時間稼ぎはできるだろう。


『プレイムショット』


火炎はオークを覆う。

これをあざ笑うかのように炎をかき分けてカイルに向かって歩いてきている。

そんな中、先頭に立っていたオークの火の手が急に強くなった。

クリティカルの適用である。


クリティカルのダメージは通常の3倍以上。

いくらタフなオークでも持ちこたえることができない。

先頭のオークが倒れると,他のオークが慌てたように足を止めた。


「ははっ、本当にできた?それならもう一度!」


再び火炎がオークを覆い、今回は2匹のクリティカルが成功した。

あっという間に3人の仲間が倒れるのを見たオークが逃げ出した。


「成功だ…!俺一人でオークを退治したんだ…!」


今すぐ危機を乗り越えたというより、こんなに強くなったのがうれしい限りだ。

これまで受けてきた無視と侮辱を報われた感じだ。


「おっとっと、のんびりしている場合じゃないと自分で言っておっては。

早く脱出しよう。」


ある程度歩いてダンジョンの領分圏をはずれた。

ここからはモンスターの数ははるかに減り、いても弱い奴らだけだ。


「ふぅ、なんとか無事に出てきたね。こちらもやはり運がよくなるのか。」


「バカなこと言うな。ステータスはただステータスにだけ影響を及ぼすのが常識。

本当に運がすべてを解決してくれるんだと思うな。」


「うああぁっ、びっくりした!人を驚かせるのが趣味…

考えてみたら悪魔だったよね、こいつ…」


「バカなことをして事をしくじっては面白くないから。

これからは理由もなしに話しかけることはないだろうよ。」


再び悪魔の声は途絶えた。

カイルも再び足を速める。



「ついに町か。」


日が暮れてから村に到着した.

ここに来るまであまりにも多くのことが起こってしまった。

少しでも気楽に休みたい気持ちだけ。

じゃあ、旅館から…


「荷物をダンジョンに置き忘れた…」


今お金になりそうなのはベルトのアイテム収納用の袋だけだが、これを売ることはできないし…

身につけていたアクセサリーを売れば金になるかと思ったが、結局ははした金だけ手に入れた。

旅館どころかご飯1食でもまともに食べれば幸いなお金だ。

何とかお金が必要だが、日が暮れて仕事を見つけるのも大変だ。


「ひとまずご飯から解決しようか。力があってこそ何でもできるだろう。」


それさえも安い居酒屋に入って簡単な食事を注文した。

もう残ったお金はほんの少しだけ。

悩みが多い中、居酒屋が騒がしくなる。


「さあ、今日のゲームは噓じゃねんだぞ!

一儲けしたいなら今日がチャンスだ!」


賭博場が開かれている。

運のスタットがあんなところでも適用されればいいのに。

そうなれば、このはした金もすぐに…


「それで今日の賭けは何んだ?」


「はっはっはっ、友達からもらったこれを使うよ。

エッグクラッシュという賭博を少し変えてみるつもりだ。

このように鉄板を置いて、この棒で鉄板を潰す人が勝者だ。」


「何だ、それはギャンブルじゃなくて力持ちの方が有利じゃないか。」


「それはね、これは賭博用に特殊製作されたんだ。

クリティカルでない以上、大抵の攻撃にはびくともしない。

それに曲がってもゴムのように元に戻る。」


どう見ても実生活での運もついてくるんじゃないかな。

こんなタイミングであんな賭博をするとは。

カイルは賭け事に参加した。



「この辺では初見だね。

何、俺が先に相手にしてやろうか!」


「よろしくお願いします。かけ金はここ。」


「銅銭3枚?子供のいたずらじゃねんだぞ?」


「いや、運を試してみたいんですので。

勝ったら当然増やすつもりです。」


こうして賭博が始まった。

コイン投げをして先攻を取ったのは相手。


「じゃ、俺から行くぞ!」


力の限り打ち下ろされた。

強烈な音が鳴ったが、鉄板は平気だ。


「やっぱり最初からは無理か。さあ, 君の番だ.」


今回はカイルの番、カイルも失敗してしまう。

そして相手の二度目のチャンス, 矢張り失敗だ

観衆は徐々に緊張感を露にし、応援を始める。

そして、これに応じたかのように、カイルの二番目でさっきよりも大いに鉄が鳴った。


「ははっ、負けてしまったな。じゃあ、しっかり行ってみようか?」


賭け金は再びオールイン、そして3度目で勝負がついた。

相手は運が悪いと思ったのか、勝負をやめた。


「さあ、次の挑戦者は?この男に一発食わせてやるやつは今すぐ出て来い!」


かなり大勢の人がかかってくる。

そして30分後…


「銅銭が金貨になった…」


金貨は銀貨の10倍の価値、銀貨は銅銭の10倍の価値だ。

今、手に入れたのは金貨3つに銀貨7つにコイン6つ。

しばらくお金のことは心配しなくてもいいお金だ。


「くそっ、あいつマジでいける日じゃないか…。」


幸いなことに、全勝ではなかったのがむしろ得になった。

あくまでクリティカルの確率が高いだけで100%ではないため、稀に敗北もした。

そのおかげで詐欺だとは思っていないようだ。

この辺でやめようと思ったが…


「へえ、面白そうだね。今度は私がやってみてもいいかな?」


「うおおっ、ちょうどいいところに来たぞ!あいつに一発食らわせてくれ!」


「よっーしゃ!まかせてくれよ!」


雰囲気にのまれて、一人の女と対決することになった。

これだけやって本当に終わらせよう。

先攻はカイルがもたらした。

鉄板をたたいたが、曲がらなかった。


「じゃあ、私の番!」


力いっぱい鉄板をたたいた女、直後に金切り声が鳴った。

クリティカルヒット、カイルが敗れた。


「よーし!とりあえず1勝!」


やめようとしたカイルだったが、いざ敗れると負けん気が出る。

すぐに次のゲーム、今度はカイルの勝利。


「やっぱり先のは偶然だった。俺が2回連続で負けたことはなかった。」


「ふう、ムカついたぞ!このまま最後の一戦に行ってみよう!

さて、金貨三枚。」


今まで多くても5枚の銀貨をかけたカイルは慌てたが、なんとか受け入れる。

また始まったゲーム、先攻は今回もカイル。


最初は二人ともアウト。

二番手でもアウト。

そして3番目、カイルは今回もアウト。


「金、ありがとう。もらった!」


鉄板が曲がった。

勝者は女の方。


「ふう、おもしろかった!あのう、あんたの名前は?」


「カイル…」


「カイル、またやろうよ!

私の名前はルーシー、よろしくね!」

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