9. エルフィンローズ、再び
今後も続けていきますが、毎日の更新ができない場合があるかもしれません。
基本的に6時更新で行きます。
「お出掛けですか?」
土曜日の朝。
エルフィンローズのマスターから今日連れてくるように (来るように)言われている。
ということで、エルフィンローズにアリスちゃんを連れて行こうと思ったのだが…。
「昨日行っていた、お店に…行くんですよね?」
なんだか不安そうなアリスちゃん。
「そうだぞ!」
こういう時は元気が一番とばかりに声を大きく宣言する俺。
「私、連れてかれてしまうのですね…」
悲壮感の漂うアリスちゃん。
その時だった。
グー
お腹の虫が、鳴きますこと、泣きますこと。
アリスちゃんだった。
真っ赤なお顔。
「俺の言うとおり、着いてきてくれたら、このふわふわパンだけじゃない。板チョコもあげるんだけどな?美味しいんだけどな?」
アリスちゃんは釣れた。
物で釣れすぎちゃって、お兄さん、心配です。
カリウドグループにも、きっと、
「お菓子上げるから…」
とかで、連れ去られたんじゃないかな。
多分。
昨日買った服を着せて、帽子をかぶせて、外に出た。
本日は晴天なれど、蒸し暑し。
そんな気分だ。
6月の初頭とはいえ、町並みは、蒸し暑くなり始めていた。
自宅の上野イーストコートは今日も陽光をキラキラと反射している。
頼むから止めてほしい。
清洲橋通りを南へ。
新御徒町へ向かってもいいのだが、10分程度しか距離が変わらないので、御徒町へ向かうことにした。
アリスちゃんは、
「へー」
とか、
「ほー」
とか言っていた。
「どうしたっ?」
と聞いてみれば、
精霊様も魔力の欠片も感じないんだ、とか。
取り立てて高層建築にも驚いていなくて、俺は不思議に思った。
「建物高いなーとか、思わないの?」
そんな風に聞いてみたら、
「ゲルトルード王国でも、特に、ゲルトグラード特別区には、これくらいの建物はありましたよ」
何て言っていた。
異世界は中世じゃなかったのか…。
「黒い線が気になりますね…」
なんて言っていた。
確かに邪魔よね。
それはわかる。
アリスちゃんは電車にも驚いていなかった。
魔列車なるものがあるんだとか。
異世界の発展度合いにお兄さんビックリだよ。
そんなこんなでいつしか、秋葉原に到着して。
アニソンの流れるなか…。
なんちゃってメイドさんがチラシを配るなか…。
訪日外国人がたくさんいるなか…。
アリスちゃんは悲壮感の漂うなか…。
俺達はエルフィンローズに着いていた。
「なんだか魔力を感じます。」
そうアリスちゃんは言った。
まじで?
じゃあルカさんは…。
そう思えてならなかった。
そして、アリスちゃん。
君はなんで、そんなに"この世の終わり感"を纏ってるの?
エルフィンローズは、Closeだった。
ただ、人の気配がするので、扉に手をかけて中に入った。
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