29. ある試験休みの日
七月の中旬。
梅雨も開けて、肌に突き刺さる日差しに頭を悩ませる今日この頃。
蒸し暑さが止むことはなく。
絶えず肌にまとわりつく衣服が、不快感をもたらす時期だ。
試験休み期間中のアリスちゃんは、ダラダラ…しているわけでなく。
朝からせっせと学校に向かった。
いや、お兄さん感心です。
何でも、部活らしい。
超常現象研究会 (通称:オカルト研) というものらしく…。
魔女っ子キャッシーに誘われたらしい。
エレナもいるんだとか。
UMA、UFO、宇宙人、悪魔、幽霊…etc.のみならず、ゲルトルート式魔術についても扱うとのこと。
魔術は地球バージョンに変換し、行使できるようにするというもの。
「火とか出せるの?」
と我が家のアリスちゃんに聞いたら、
「出せますよ?」
とアリスちゃんに言われたので。
危険じゃん!と思ったら。
何でも、普通にライター使った方が早いとか。
水道と湯沸し器があれば問題ないとか。
「ケン君、現実を見てください。」
とアリスちゃんに諭され、夢の無いことを言われてしまった。
エルフの少女にだけは言われたくなかったです。はい。
そして、今朝出掛けていった。
■■■
「おはよー」
今日も三階にあるオカルト研の部室に入ります。
「あっ、おはよ。アリスちゃん」
部長のシンディーさんがいました。
高校二年生です。
私より身長が高くて、スラッとしている人です。
ルカさんとはまた違う、魅力がありそうだなと、女の私でも思うのです。
「アーリー、ス!」
ガバッ
後ろから抱きつかれました。
キャッシーです。
「ちょっと!キャッシーてば!」
「いいじゃない?アリスちゃんと私の仲なんだからさ?」
抱き付いてくるのは…良くないけど良いよ?
でもさ。
お願いだから髪の毛を嗅がないで欲しいです。
「アリス、どこの使ってたっけ?」
「普通に…」
「ふーん、そうなんだー」
五分ほどして解放された私。
「仲いいのね」
「仲がいいというか…」
「そうなんです。私とアリスちゃんは太い糸で結ばれて…」
「…ません。」
「つれないね、アリスは…」
「…フフフ」
そうこうしていると、
「アリス、キャッシー、オハ!」
エレナが入ってきました。
他にも部員がいて、
高校一年のシズルクさんに、中学三年のリンさんとルーさん。
シズルクさんは冷静沈着とも言える男の子で、部長の補佐みたいで…。
リンさんとルーさんは姉弟で、妖精なんじゃないかと思うほど小さくて愛らしいです。
キャッシーとエレナが暇を見つけては抱きついているので、私は手が出せていません。
そして、私達三人と、顧問のエミリー先生。
生徒七人、先生一人の計八名です。
今日はいつものように集まって。
ビッグフットの話でもするのかと思っていたんですが…。
「一回ぐらい、プールに行きたいわ…」
という、シンディーさんの一言から話が変わりました。
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