25. 溢れ出すリビドーが止まらない。
古エッダを読んでいると、北欧神話についての理解が深まりますね…。
どうしてこうなってしまったのか…。
私にはわかりません。
ここには来てはいけなかったんだと思います。
私にはきっと早かったんだと思います。
オレンジ色の建物。
気になってしまい。
可愛いらしい女性の声が私の注意を惹き付け。
それに気がついたルカさんに。
「時間大丈夫そうだし、寄ろっか?」といって連れられて。
「虎穴に入らずんば虎児ををえずだよ」とか言っていました。
私は悪い子です。
今日私は新しい世界を知ってしまいました。
ルカさんとお買い物をしていました。
アトレの中で服を見たり、靴を見たり。
どうしても、ケン君と一緒の時だと、良く見て回れないですし。
女性としての視点も大切です。
その他にも、化粧品を見たり…。
こちらの世界ではマットな仕上がりではなく、微光沢で自然な色合いがいいと。フムフム。
えっ?油って肌の潤いが足り無くても出るものなんですね?
ルカさんとヨドバシカメラでクレープを食べて。
私、お鼻にクリームを着けていたらしく。
ルカさんにハンカチでふかれてしまいました。
私、もう、立派なレディなんですよ?
プンプンしていたら頬っぺたをつつかれました。
なんてこと!?
ルカさんは私の中では、頼れる先輩ではありますが、油断ならない人でもあります。
時たま、ケン君の視線を追うと…視線の先にはルカさんがいます。
何がいいんでしょう?
やっぱり胸ですか?
胸が大きい方がいいんですか?
見下ろしてみると自分のは慎ましく。
悔しくもあります。今後の成長に期待です。
私にだってありますよ?と言いたいです。
ヨドバシカメラから出て、秋葉原の道案内をしてもらって。
秋葉原練掘公園の方を回って437号線をエルフィンローズ方面に向かっているときのこと。
左側のオレンジ色の建物に気がとらわれたわけです。
7階。
とらのあな、というショップだそうです。
エレベーターを上がった先で待っていたのは。
かっこよさげな絵柄の男子、可愛い男子。
男性イラストが多いフロアでした。
隣のルカさんは…あれ?
猫のような目をしていました。
早速、一冊、二冊と取っていき…すでに五冊。
早いです。
ジャケ買いです。
「凄いは、…凄いは…」
そう呟いているルカさん。
鼻息が荒いです。
端正なエルフの顔からは考えられない表情です。
正直怖いです。
いけない薬でも吸いましたか?
「アリスちゃんはどうなの?」
そう聞かれました。
「何がですか?」
そう返したら、ルカさんに、
「…ちょっと見てみて」
そう言われてルカさんは手に持つサンプル本を私に見せたのでした。
これは何と言えばいいのでしょうか?
底知れぬものを私は感じました。
そこには小宇宙が広がっていました。
私の中で何かが起こり、形容しがたい愛おしさが沸き上がりました。
"尊い"そう感じたのでした。
初めての感覚に私は戸惑っていました。
この時の私はケン君のことなどポーンと抜けてしまい。
今朝から抱いていたモヤモヤが消え失せていました。
そして、いつしか。
私の手には、その本がありました。
「アリスちゃんもイケる達だと思ったのよ。」
そう、こともなげに言うルカさんと、私は歩いていました。
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